#11 睡眠自慢
素直に、一夜づけについて話すのが、一番だ。モテるためには、一番の近道だ。そう思った。
でも直接すると、ただの自慢男だ。だから、男子の友達を使おうと思う。男子との会話を漏れさせて、間接で伝わらせる。なんて、グッドアイデアなんだ。
休み時間になった。さっそく、仕掛けることにする。
「僕、夜寝る前に勉強したら、すぐ出来る人みたいで」
「えっ、何でも?」
「うん。料理とかマッサージも、やったら出来たよ」
「そうなの? スゴいね」
食い付きがスゴかった。友達のこんな顔、今まで見たことなかった。だから、嬉しかった。女子が興味を持たなくても、それはそれでいい。そう思ってしまっていた。
やや高めの声の、ザワツキがしている。なにかを、女子たちが話している声がする。それが、次第に近づいてきた。
後ろから近づいているが、たぶん僕に向かっているのだろう。気づいていない振りをして、話を続けた。
話していた男子の友達は、思った以上に興奮していた。たぶん、その友達からも、何か頼まれるに違いない。
「ねえねえ。何でも出来るって本当?」
クラスで、それなりに人気がある女子だった。普通に話し掛けられた。
「うん。やってみないと分からないけどね」
今まで、クラスの業務的な会話しか、して来なかった。だから、なんか変な感じだった。
「頼んでもいい?」
「いいよ。それで何を」
「家事全般を」
その言葉でなんとなく、その女子の家庭環境が見えた気がした。