#01 睡眠学習
寝ている間が、一番身に付く。一番カラダに入る。そう気付いたのは、最近のことだ。
最近まで、何で気付かなかったんだろう。そう思う。たぶん、僕に限ってのことだろう。寝ている間に、身に付くのは。
他の人は、それぞれ違う場面や状況で、力を発揮する。きっと、そうだ。
一番身に付く。そう感じてしまった。でもそれは、間違っている。
そもそも、起きている状態では、何も身に付いてこなかった。いくらやっても、入らなかった。一番というか、唯一だという方が正しい。
極端に言うと、0か100か。天国か地獄か。ということだ。
気付いたのは、一週間前だ。そのときは、珍しく寝る直前まで、勉強をやっていた。その後、すぐに寝た。
起きたとき、ハッとなった。寝る直前までやっていた日本史。その全問題とその答えが、脳内に鮮明に現れてきたのだ。
そして、スラスラと解答を、言うことが出来たのだ。バカの中に、天才を見つけた瞬間だった。
バカと言われ続けること10年。モテることはなく。かといって、いじられまくることもなく。微妙な暗い人として、人生を歩んできた。
それが今、変わる。あんな人生とは、もうオサラバだ。天才として、生きてゆくんだ。
僕は、ベッドから起き上がった。そして、机に置いてある『歌がうまくなる本』を見つめ、トイレに向かった。
歌っている本人も、気持ちいいと感じる。そんなバラードを、トイレに響き渡らせた。