ようこそ、異世界へ。
次に目が覚めると、少年は、先ほどの女性とは別の女性に抱えられていた。
扉をくぐって5年、少年、清人はロネウという名をもらい、現在は、ロネウ・アスメアという。
この世界、生まれてすぐBCGのワクチンを打つように、魔法への適正反応を確認する。
これは簡単なもので、生まれた赤ん坊を体重計のような秤の上に乗せる程度のものだ。
わかるのは以下の二項目である。
一つ、木、火、土、金、水、無のうちどの能力が扱えるようになるか。
一つ、適正数値が確認できる。
適正数値とは、平均が100程度で、最大は200まで存在する。
適正数値の詳細は、以下の通りである。
0…使用できない。
1~50…使用できるが、初級のものだけ。
51~100…努力次第で初級~上級まで使用できる。
101~160…努力なしで中級まで使用できる。上級は努力次第。
161~199…努力なしで上級まで使用できる。最上級は努力次第。
200…努力なしで適正魔法全て扱える。
※個人差あり。
この適正反応で、ロネウは全属性を操れ、且つ適正数値は200という、この世にあるすべての魔法を生まれながらにして扱える、"天才"となっていた。
これはロネウの両親を大きく喜ばせると同時に、悩みの種とさせることになってしまった。
この世にある全ての魔法を扱える"天才"がいると聞いた貴族らはすぐに養子の件で多数訪ねて来た。
ロネウの住んでいるカミウという町は王都セントポーリアから馬車を乗って2日経った、周りには田園や家畜小屋だけが広がる小さな、辺境の地であるにも関わらず、毎日のように貴族が押し寄せてくるため、両親は誰かの養子にするべきかと悩んでいた。
そんな時に舞い込んできたのはグリサリィという能力育成機関、つまりは学校の招待状であった。
グリサリィといえば、世界でも一、二位を争うほどの名門校であり、両親はそこに寮生として入学させることに迷いはなかった。
それから時間は流れ、十年後、ロネウ15歳はグリサリィの門を通った。
このことは新聞でも大々的に取り上げられ、数多の貴族、また、他国の皇族までもがその話に夢中になっていた。
「ねぇ、君、ロネウ……であってる?」
門を通ってすぐ、赤毛の可愛らしい女の子が話しかけてきた。
「うん。あってるよ。」
「やっぱり!」
とても嬉しそうな赤毛の女の子はロネウと同じく15歳で、今年から入学する生徒らしい。
「君、本当に全部の魔法使えるの!?」
女の子は目を輝かせる。
「た、たぶん。僕も全部を使った訳じゃないからわからないけど。」
女の子は「そりゃそうだよね」とすぐに納得して、ふと、何かを思い出したようなそぶりを見せる。
「私、カンナ・ブーゲンビリア。私はカンナでいいよ!あなたは?」
「じゃあ、僕もロネウで。」
「わかった!」
元気の良い返事をするとすぐに、カンナはロネウの手を取って走り始めた。
「ほら!早く行かないと入学初日から遅刻しちゃうよ!」
ロネウは心底、疲れたようなため息をついて走った。
※今作品の後書きは本編に一切関係ありません。
読みたくない方は飛ばして構いません。
2日目です。
こんな辺境の作品を見つけくださってありがとうございます。
今作品に力を入れ出したのは3日目からですから、ここまでは正直、私も面白くないと思います。
3日目からも面白くないって言われたらどーしよ……。
まぁ、どうもしませんが。
ばぁい!




