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24. ダイエット成功

 目を覚ますと白い天井がみえた。


 ここは……どこだ?


 少し考える。


 そうだ。


 俺、魔力切れで倒れたんだ。


 ってことは医務室?


「目が覚めたようだな」


 オリヴィアがベッドの横で座っていた。


「あっ、オリヴィア様」


「様はいらん」


「じゃあオリヴィア」


「さんは付けろ、馬鹿者」


 ポコンっと頭を(はた)かれる。


「暴力反対です」


「生意気なお前が悪い」


 なんだよ。


 SNSで晒したろうか?


 現代社会なんてSNSで晒せば一発アウトだからな?


 体を起こしてオリヴィアを見る。


 ちょっと眠そうな顔をしている。


 もしかして俺が倒れてる間、みてくれたのかな?


「どれくらい眠ってましたか?」


「3日だな」


「え、3日も……!?」


 想像以上で衝撃だった。


「そうだ。体調はどうだ?」


「特に問題はありません。お腹が減ってるのとちょっと気だるさはありますが」


 腹がペコペコだ。


「それだけか?」


「え?」


「自分の体に違和感ないか?」


「違和感?」


「窓を見てみろ」


 俺は言われた通り、窓を見る。


 今日も晴天だ。


 うん、いい天気だな。


 ん?


 なんか鏡に写り込んでる俺、おかしくね?


「痩せてる? ……え!? めっちゃ痩せてるんだけど!!!」


 俺がスマートな体型になってる!


 いやまだスマートとはいえないか。


 でも、以前よりもだいぶ痩せている。


 なにこれ、どういうこと?


「魔力の使いすぎだ」


「え、魔力使ったから痩せたってことですか?」


「たぶんな。エネルギーを消費しすぎたから、その分を脂肪から補給したんだろう」


 そんなことってある?


 いや、ないとは言い切れないか。


 魔法っていまだに謎な部分が多いし。


 てか、俺イケメンじゃね?


 イケメンまではいかなくても、悪くない顔をしている。


「お前……危うく死ぬところだったぞ」


「そう、ですね」


「そうですねってお前、わかっててやったのか?」


「わかってたというより、ちょっとヤバいなって感じはしてました」


 さすがにあんだけの魔力を一気に放出するのはまずかった。


 三途の川を半分ぐらい渡った気がする。


 ポコンと頭を叩かれる。


「ヤバいと思ったら止めろ。もしくは救援を呼べ。お前、自分の力を過信しすぎじゃないか?」


「はい、すみません」


 何も言い返すことができない。


 冷静に考えれば、あの場合他の人に頼るのが最善だった。


 先生でもいいし、オリヴィアやシャーロットに頼るでも良かった。


 でも、なんとなくだけど、そうするとダメな気がした。


「私がいなければお前……って、まあ説教はいいか」


「あの、ミーアはどうなったんですか?」


「普通に考えれば退学だな」


「え、退学?」


「当たり前だろ。学園内であそこまでの魔力暴走を起こしたんだ。死傷者が出ていてもおかしくない」


「でも誰も死んでないってことですよね?」


「それは結果論だ」


 たしかにオリヴィアの言うとおりだ。


 でも、退学ってのはちょっとやり過ぎじゃない?


 ミーアが意図的に起こした事件ならわかるが、今回はそうではない。


「普通に考えれば退学なんですよね? つまり、普通に考えられないことが起きたってことですか?」


「お前は言葉尻をとらえるのが好きなようだ」


「で、どうなんです?」


 オリヴィアは「はあ、まったく」と呟いてから答えた。


「そのとおりだ。二週間の謹慎処分で済んでいる」


「理由があるんですよね?」


「質問が多いな。まあそうだ。ミーアの体から刺さっていた短剣だが、分析したところ術式が施されていた。それもおそらく意図的に魔力暴走を仕向ける術式だ」


 なるほど。


 あの短剣、ほとんど形が崩れていたようだけど、ちゃんと分析できたってわけか。


「誰がそんなことを?」


「わからん。ミーアの話からすると男らしい。だが認識阻害をかけられていたらしく、顔までは覚えていないということだ」


「でも、学園の関係者ってことですよね?」


「おそらくな。ここに不審者が侵入したという情報はない」


 この学園は一つの島となっている。


 そうすると犯人は限られている。


 ただし、目的が読めない。


 学園に恨みがある人物?


 いやミーアへの私怨もあり得るな。


 まあ考えたところで仕方ない。


「どちらにしろ、彼女はここを退学することになるだろうがな」


 オリヴィアは何気なく言った。

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