第7話:はじまり
剣と魔法が物語の中心では無い、ファンタジーを目指します。
戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
ばあちゃんが持ってきたのは、ボルトアクションタイプの古い小銃。
運んだのはチルだけど。
弾は5発が束ねられてるのが15個。
「 これ、何時から保管してたんだ? 暴発しないだろうな 」
「 安心おし。 きっちり魔法で保護しておいたから、痛んじゃいないよ 」
手に取るとやっぱり広がる光の波紋、これも魔法銃なのか?
確かに錆びてはいないんだが、完成したてに見える古い型、ちょっと不安になってきた。
銃口から棒を突っ込んで詰まりが無いかを確認してたら、ばあさんがクリーンの魔法を掛けた。
「 これで、中は綺麗になったよ 」
「 便利だな魔法! 」
「 何言ってるんだい。 クリーンの魔法は生活魔法だからね。 基本さね、基本 」
そうなのか。 それでも銃より魔法が使いたい。
ついでだから、銃口から風魔法で再度詰まりを確認してもらった。
「 やっぱり魔法凄いな! 」
「 獣人は機械も魔法も使えませんから、羨ましいです 」
おい。
「 チルさんや。 銃は機械だぞ 」
「 え? でも、獣人は? 」
「 間違いなく機械だぞ。 まぁ、機械って言うより武器だけどな。 だから、ばあちゃんが触ってたら動かなかっただろ 」
「 あんちゃんの言ってることは、正しいさね。 銃は機械で間違いないよ 」
「 でも、前は、じゃあ、・・・・・・ 」 おっと、チルがグルグルして来たか?
「 きっと、エージェント契約で使える様になったんじゃろ 」 それだな。
「 気にするな、今は使える。 それが全てだろ 」
「 ・・・・・・はい、マスター 」 泣くなよ。
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「 でだ、ばあさん。 こいつは、ここじゃ撃てないんだが 」
「 おや、どうしてだい? 」
「 この銃と弾だと、後ろの土壁を貫通しそうだ。 多分だけど 」 22口径の小銃と思ったんだよ。
直径は7~8mm、全長は80~90mm位か。 弾頭の表面がナイフで削れない硬い金属で覆われてるから、APだろ。
的の後ろにある土壁の厚みは10cm程度、この距離だと貫通しそうで怖い。
壁の後ろは別の家になってるし、撃たない方が良さそうだ。
裏に鉄板でも在れば良かったんだが。
「 そうなのかい? 困ったねぇ 」
「 空に撃っても、弾はどこへ落ちるか判らん。 撃たない方が良いだろ 」
「 まぁ、しかたないね 」
ボルトを上に捻ってから、手前に止まるまで引く。 クリップを押し当てて弾だけ押し込む。
ボルトを前進させて下げてロック。 クリップは拾っておこう、もったいない。
「 これで、撃てると思うけど。 ・・・・・・撃たないぞ 」
チルとばあさんが、キラキラした目で見てる。 そんな目をしても撃たないぞ。
チルのキラキラした目は何時もの事、ばあさんは止めてくれ、すまんけど精神的に無理だ。
チャコチャコやって、弾を排出。 ユックリ過ぎると、上手く排出しないからスムースに。
「 ま、こんなとこじゃ無いかな 」
「 マスター、教えて下さい 」
「 あいよ 」
残念ながら、チルは小銃を使えなかった。
力ずくで動かそうとして、ミシッて音がしたから途中で止めさせた。
「 マスター全く動きません! 」
悔しそうなんで、頭をクシャクシャしておいた。
「 拳銃は使えても、小銃は無理か。 〔 機力 〕が足りないのかもな 」
言ってるそばから、またミシッって音がしたんでチルから小銃を取り上げた。
壊したら弁償だぞ弁償。 今はお金持って無いんだぞ。
獣人の腕力は凄いな、素手で銃を壊すって。
「 良いもん見せて貰ったよ。 おいで、お礼に茶でもご馳走するとしようかね 」
そうだな、少し休むか。
「 チル。 ほら、行くぞ 」
小銃を取ろうとしない、手を出さない、真っ直ぐ歩きなさい。
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カウンターで、茶をご馳走になってる。 お茶菓子付だ。
この雰囲気で紅茶と言うのはどうなんだろか、とは思った。
色んな薬草の臭いがする中で紅茶。
「 銃を扱える者を見たのも初めてだけど・・・・・・、獣人までとはねぇ 」
「 祝福が在れば、使えるんじゃないのか? 」
「 ヒッヒッヒ。 あんたより [ 機力 ] も [ 器用さ ] も上でも、使えない奴は使えないのさ。 さっきも言ったろ? マスターでさえ使えないんだ。 銃を撃てる獣人なんて、この子が初めてじゃないのかね 」
ニコニコしてるチル、判ってんのかね。
「 マスター、このお菓子美味しいですね 」 そうじゃ無いだろ。
「 そりゃそうさ。 王都でも、最高級の菓子だからねぇ 」 チルが正解なのかよ。
「 祝福を受けた者達はね、必ず何処かの魔法屋に寄るのさ。 よっぽど、魔法が使いたいみたいでねぇ 」
「 魔法を使うのは、俺たちの世界じゃ夢だしな 」 それより。
「 銃は高いのか? 」
「 まぁ金貨100枚は必要さね 」
「 き、金貨100枚ですか! 」
チルの反応を見る限りでは、かなりお高いらしい。
護身用にって訳にはいかないか、手に馴染んで使い易かったんだが。
「 お金を貯めなきゃダメか 」
「 金貨100枚なら、普通のやり方で貯めようとし 『 カーン カーン カーン 』 おや? 」
甲高い鐘の音が連続して聞こえてきた。
少しすると別の鐘の音も加わり、あちこちから色んな鐘の音が聞こえ始める。
「 やかましいな。 何なんだ? 」
「 マスター警報です! また、魔物が襲ってきました! 」 また?
「 また、ワイバーンが来たのかも知れないねぇ 」
「 ワイバーン。 ワイバーンか! 見てみるか 」 見るでしょワイバーン。
魔法屋の外に出ると---、通りには誰も居なかった。
「 誰も居ない 」
「 マスター! 」
チルに店に引きずり込まれた。
「 どうしたんだ 」
「 外に居たらワイバーンに狙われます! 店の中に居て下さい! 」
「 判った。 店内からコソッと見るよ 」
そうは言ったものの全く見えない。
通りの両側は、2~3階建ての建物が在り視界が限定されている。 見える訳が無い。
見えたとしたら目の前に来た時位だから、ボーッと見てたら人生が終わりそうだ。
窓際で見てると、時々ドーンと言う音が聞こえ、窓ガラスが細かく振動する。
この振動の伝わり方は---爆発か! なんて言わないけど。
「 今回も、派手にやっとるみたいだねぇ 」
「 ひょっとして、何回も来てたりするのか? 」
「 はい。 最近は、2~3日おきに襲ってきてます 」
「 王国は何も対策して無いのか? こう、大魔法でドーン的な 」
「 魔法がね、当たらないのさ。 強力な魔法は詠唱に時間が掛かるしね。 ワイバーンのくせに、強い魔力を感じると避けるのさ 」
賢いなワイバーン。
「 矢は届きません。 特製のバリスタもです 」
「 被害は・・・・・・出てるよな 」
「 そりゃそうさ。 火は吹くし、爪も在るしね。 死人も出てる 」
ばあさんや、何でニヤニヤしてるんだ。 ひょっとして、何かを期待してたりするのか?
「 これを狙ってたのか? 」
「 どうだろうねぇ 」
「 ったく 」 これだから年寄りの親切は怖いんだ。
「 でもねぇ。 これだけ被害が出てるんだ。 神の祝福に期待したくもなるさ 」
あ~、これは行く方向か?
気が付かれた点など在りましたら、読後の感想をお待ちしています。