月へ
結局金策とか色々でスキル訓練は数年中止したままだった。エイダに言わせれば、月面でやればいい、と。
ストレージは岩石でかなり一杯になって、ミスリルだの何だの、量子脳なんかの一式ももう収めてある。
尻尾はなくなった。体内に上位宇宙トランスポーターがあって、そこでドコマデモ光と繋がってるってさ。
「再来年には隕石が着弾します。ご準備ください。」
エイダが言う。
地熱発電所の返却を連絡して、来年契約終了にして貰った。
評価は星5だ。
『初期の資金源として大きく活用させてもらいました。文句なしの星5です。』って書いといた。
契約終了時の相手からの評価も星5だった。
『安定した電力供給、契約終了時の迅速な連絡、メンテもバッチリでした。このまま他星に貸し出しが出来ます。貴星の発展を祈念しています。』
あんまりやってない。エイダが全部やってくれた。星を育てるつもりもあんまりないので評価が地味に心に来る。
一応自分の周りを分厚い一枚岩で囲い(エイダに加工して貰った)因果で呼び寄せた隕石を待つ。
エイダがいないと何も出来ない。ミスリルの溶岩に埋もれて永遠に地中に埋まってた。精神的にも年代ジャンプしたり、話し相手になってくれたり、心のケアもきちんとしてくれる。
エイダが外界からの映像を見せてくれる。
隕石が落ちてきた。まず、隕石の運動エネルギーを全部奪ってこっちの動力にする。次に、位置エネルギーを奪って相手の位置を下げながらこっちの位置を上げる。そしてこっちの岩塊に触れた所でストレージ行き。最後に隕石の一部をエネルギーに変え、こちらの残り動力とする。
あまりに静かで無駄がなかった。
「いよいよ月ですよ!さようなら冥王代!また35億年後に会いましょう!」
エイダ、俺、何にもやってなかったね?
「そんなことないですよ、マスター。地球に大きな影響を及ぼさないよう、静かに住むことが出来たのはあの地だけでした。あの地でマスターは地球に影響の少ない金策をご自分で立てられましたし、私に気を遣ってくれます。人格の修理だって待っていてくれます。」
エイダが肯定してくれる。前世で得られなかったものだ。それが分かったら涙がこみ上げてきた。俺、ずっと評価されたくて我慢してきたのか。
お互いの傷が癒えたらまたスキルの訓練しよう。
「はい、マスター」
こうして俺達は月へ、35億年の仮住まいへ飛んでいった。
一旦ここで「冥王代」として区切りを付けました。
お盆終わるまでには冒頭に戻りたいです。




