第18話 会話スキル
(告白したは良いけれど……。)
暁翔は頭を抱えた。元々饒舌なタイプでもなく、クラスの人気者や盛り上げ役には縁遠いタイプなのだ。いくら幼馴染みで昔からよく知った仲で、自分の特性をわかってくれていたとしても、こちらから告白しておいて、気の利いた一言も言えないなんて。
(こんなこと、誰に相談したら良いんだ。)
莉都子があのチャンネルを見ていると知らなかった時には、聞いてくれていたらいいのにと、ちょっとした悩みや弱音を吐いていたけど、本当に聞かれているとなれば、恥ずかしくて言えない。
(ハルが好きそうなものは?)
妹も同年代の女子なんだから、ちょっとは共通点もあるかも。ドラマや歌番組が好きで、イケメン俳優やアイドル歌手にキャーキャー言ってる。
(リッコもそうなのかな?)
想像してみるが、しっくりこない。だって、莉都子はアニメ好きの声優好きなんだから。ドラマは晴留が見るから、なし崩し的に見ているだけで、元々好きでもない。そして、アニメも好きではない。劇場版のテレビ放映なんかはたまに見るが、毎週欠かさずチェックして見ているような番組はない。
(詰んだ…。)
やっぱり声優ネタがいいんだろうなと思うものの、急に深夜アニメやラジオを聞き出したら、家族に怪しまれるに決まっている。話を合わせるにはそれが一番手っ取り早いはずだが、リビングにあるテレビで鑑賞したり録画したりするのは憚られる。
(貯金でテレビ買おうかなぁ。ダメ元でねだってみるか?)
それでも受験生。テレビが買ってもらえたとして、そんなに長時間アニメを見続けるわけにもいかないし、現実的ではない。
(やっぱり、無難に勉強の話をしつつ、好きなアニメの話を聞き出すのが良さそうだな。)
その時、ヴヴとスマホの通知が来た。見てみると、莉都子からのメッセージだった。
『あのね、ヒロタカの歌が聴きたいんだけど、聴かせてくれる?』
(構わないけど。いつ?どこで?今?ここで?ネット配信?電話で?)
急なお願いに動揺した。
好きな子からのお願いだから、当然聞いてあげたいけど、直接目の前で歌うには少し恥ずかしい。配信用のセッティングをしてギターを構える。アンプはつけないで、掠れた弦の音がする。
莉都子のおねだりする顔を想像すると、ちょっとにやける。そのかわいい顔は他の男には見せないでほしい。
『放課後の君は心なしか寂しげに見える。僕がその寂しさを埋められたら良いのに。
君のその伏せた瞳が僕の胸の奥をぎゅっと掴んで離さない。
君の名前を呼びたいのに呼べない、意気地無しの僕さ。』
一曲弾き終わって録画を止める。今撮った曲の動画を莉都子に送った。
もう一度カメラの角度を変えて顔が映るようにして録画する。
「好きだよ、リッコ。」
録画を止めるときには顔が真っ赤になってしまって、編集で切ろうかと思ったけど、そのまま送った。
これは、直接会ってサラっと言えるようになるまでには物凄く時間がかかりそうだ。




