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プロローグ 〜勇者候補・レオン〜

「でりゃああっ!!」


 ラガノスという森の中で、少年は目の前の敵めがけて剣を振った。

 敵は熊の魔物、ジャイアントベアー。

 三メートルを超えるその体高に対して、少年はその半分あるかどうかという身長だった。

 ジャイアントベアーの岩をも砕くその爪を避け、少年はジャイアントベアーに止めを刺す。


「ガアアアァァァァッ!!」


 ジャイアントベアーは激痛に叫んだ後、息絶えた。


「よし、これで百体!」


 少年はジャイアントベアーを魔法袋に入れ、満足そうな表情を浮かべた後、その場から走り去った。

 この少年こそ次期勇者候補の一人、レオン・バルトである。




 僕はレオン・バルト、十四歳。

 ラガノスの森の奥にある一軒家に、僕の師匠と共に住んでいる。


 師匠というのは、ユウナという名前のエルフの女性だ。

 師匠は先代の勇者と共に魔王軍と戦ったこともあり、人々に英雄と呼ばれている。


 僕は、師匠に今日の課題として『上位種の魔物を百体狩ってくること』を言い渡され、早朝に家を出てから今までずっと魔物と戦ってきた。

 そしてようやく百体の魔物を倒して、家で待つ師匠に報告しに行こうとしていた。


 しかし、家の少し前まで来た時、師匠が誰かと話しているのが見えた。

 師匠は長命なエルフなため見た目こそ若いが、実際には五十歳は超えているだろう。

 一方、話し相手は四十代手前くらいの、少し渋い顔をした男性だった。

 会話は聞こえないが、師匠達は真剣そうな表情で話をしていた。


「邪魔しちゃ悪いな…。まだ日は沈んでいないし、どうせならもう少し戦ってくるか」


 僕は家に入るのをやめ、もう二、三時間ほど魔物を狩ることにした。




 それからさらに二十体余の魔物を倒し、日が沈みかけてきたので帰路に着いた。

 半日近く魔物と戦っていたことになる。


「ただいま帰りました。師匠」

「おお、レオンか。課題はどうだった?」

「魔物は全部で百二十六体倒しました。もちろん、どれも上位種です。疲れもありますが、何よりお腹が空きました」


 朝食を早朝の5時に食べてからは、師匠が作ってくれたサンドイッチを何個か口にしただけで、成長期真っ盛りの体にはきつい。


「おお、そうかそうか、百体を超えてきたか! では私も腕によりをかけてお前の狩ってきた魔物で上手い料理を作ろうじゃないか。お前は少し休んでいなさい。あと、晩ご飯の後に大事な話があるからな」


(大事な話? …昼間の人と何か関係があるのかな…。そういえばあの人は誰だったんだろう…)


 やや大事な話というものに引っかかったが、夕食ができるまで眠ることにした。

 そして師匠に起こされ、夕食を食べ始めた。


 夕食は、野菜炒めだった。

 料理に使われていたのは、僕が今日狩ってきた植物系の魔物五体と、動物系の魔物二体だった。

 今回狩ってきた魔物だけでも残り百二十一体あるし、前回までの在庫を合わせたら…数えるのも恐ろしいくらい在庫がある。


 しかし、魔法袋の中にある限り、魔物の死体は腐らない。

 魔法袋の中では時間が停止しており、そこに物を入れた瞬間から取り出すまで、入れた物の時間も止まる。

 また、入れた物同士で干渉はなく、取り出したいと思った物だけ取り出せる。

 さらに魔物を百体やら千体やら入れても容量が有り余っているというのも凄い。


 だから師匠は大丈夫だと言う。

 しかし、そういう問題ではないと思う…。

 魔法袋の性能が凄いことは分かったが、このままでは魔物の死体が増える一方だ。


 食べながらそんなことを考えていると、ふと気づけば師匠が若干困ったような顔で僕を見ていた。


 八年も一緒にいる僕には分かる。

 こういう顔をしている師匠は、内心ではかなり深刻なことを考えている。

 それを、表には出すまいとしているのだけど、僕には分かってしまうのだ。


「師匠、何かあったんですか? 顔色が良くないですよ」

「!! い、いや何でもない」

「何でもなくないです。僕にだって、師匠が困っていることくらい見ていれば分かります。先程言っていた、大事な話のことですか?」


 すると師匠は黙ってしまう。

 才色兼備で人々に英雄と言われる師匠でも、悩みはある。

 今まで一緒に過ごしてきて師匠が何かに困ること自体は少なかったが、だからこそ師匠が何かに困った様な仕草をしたら、少しも見逃さない。


「僕なら、大丈夫ですから。もうご飯も食べ終わりますし、大事な話、聞かせてください」


 恐らく大事な話についてだろうと踏んで、もう二言付け加えた。


「…分かった」


 うつむきながら小声ではあったが師匠も承諾してくれた。

 若干顔が赤い気もするけれど、どうしたんだろう。

 まあとりあえず、今は夕食をよく噛んで味わいながら素早く食べよう。


 そして夕食を終えて、師匠の話が始まった。


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