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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第二章 ~『原点』~
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『今後の方針』

 シャリアの用意した夕食の最中、俺は打ちひしがれていた。



――『イキる』。



 ろくすっぽその世界に造詣を持たないくせに、元の世界基準で色々決めつけてドヤ顔するという、中二病に似た一過性の病である。ああご飯美味しい。



(まさに『異世界の麻疹(はしか)』! 俺が罹患しちまうとはな……うふふ)



 なんかもう面倒臭くなってきたし、「全部領主に暴露っちゃってもいいんじゃね?」と、他人事ムーブで判断ぶん投げようとした俺を、ナスタが諫めた。



《やめときなさい。最初の監視云々(うんぬん)は兎も角、隠すのは間違って無いから》



 その後、あーだこーだとナスタやシャリアの考えを聞いて、改めて「こりゃあかん」と思い直した次第である。



(……言われると、確かにヤバイな。風って)



 最初からズレていた俺の視点。


 何故正すことなく応じていたのか? と二人に聞いてみれば、ナスタとシャリアは別の視点で風の危険性を感じていたらしい。


 隠蔽はノードよりも前……かなり初期の段階から計画していたようだ。




――ナスタは汎用性を危険視していた。


 俺的にはアニメやらゲームやらを参考にしただけなのだが、ナスタから見ると『埒外』と言えるような運用方法だったらしい。


 目潰しなんかは常套手段で、誰でも思い付く程度のものだ。が、それを風の属性で行うと、とてもタチが悪い。



『対象の意識外』から、

『黄石程度のマナ』で、

『風属性契約者なら誰でも扱えるのよ』。

                byナスタ



……確かに、汎用性が高すぎる。視界を塞がれた状態で行動出来る者など稀だ。決まればほぼ確実に行動を阻害出来る。何の心得も無い一般人に対しては効果覿面(こうかてきめん)だろう。犯罪への転用が容易に想像出来てしまう。




――シャリアは護衛の難度に危機感を覚えていた。


 他者に風を用いて攻撃された時、それに対応する事が困難であると感じているらしい。


『風は見えない』。


 その優位性は俺も『なんとなく』把握していたが、シャリアはその『なんとなく』をより具体的に捉えていた。



 アスガンティアには、戦闘の指南として『流れ』という考え方がある。


 起こり:構えのようなものだ。『起こし』とも言う。弓に喩えると、矢を番えて弦を引く迄に当たる。


 作り:起こりから動いた後の『当て』に繋がる一蓮の動きを指す。放った後の矢の軌道がこれだ。


 当て:主に命中した際の威力や部位を示す。「当てが弱い」とか「当てが悪い」みたいに使われ、『狙い』と表現する人もいる。



――『起こり』から『作り』を経て『当て』に至る。


 と、この三つをまとめて『流れ』と言うのだ。14歳が喜びそうな考え方である。……戦闘の心得として考えると、俺的には3つくらい足りないんだが、一々難癖つけるのも無粋だろう。


 ともあれ、シャリア(いわ)く風は見えないので、この流れの内の『起こり』がとても判別し辛いらしい。



(そりゃそうよ。『予測』が出来ないんだから)



 厳密には、起こりに至るまでの過程が無い。



 アスガンティア風に目潰しの流れを表現すると、


『砂を投げる→砂が飛ぶ→命☆中』


 と、ざっくりこんな感じになるだろうか。



 人間が砂を投げるには『拾う』必要があり、それを手に『持って』、放る為に『構える』必要がある。


 予備動作から起こりまでの過程が全て吹っ飛び、砂だけ飛んで来るのだ。判る筈がない。



……とまあ、以上のような懸念から、ナスタとシャリアの見解は一致していた。



――『絶対に広める訳にはいかない』と。



 今現在、風の属性は利用価値が無いものとして周知されている。その風評をそのまま維持すべき、というのが二人の考えだ。



(確かに……どう考えても碌な事にならんな)



 マナさえ用意出来れば、誰でも不可視の一撃が射てるようになる。


 見えない攻撃が其処彼処(そこかしこ)で飛び交う世界なんぞ、誰も生き残れない。なんだそのルナティックを超えた世界は。


 風の力が軽視されているからこそ、今の防衛レベルで治安が叶う。攻撃手段として認知されれば、あっという間に崩壊するだろう。



(……あかんな)



 異世界で特性(チート)獲得した主人公って、その能力を余す事なくブッパして気分爽快な感じなのだが、俺がその機会に恵まれる事は無さそうだ。


 制限プレイで只管(ひたすら)隠密しないと、世界がヤバイ。


 世に与える影響をまるで考慮せず、知識や能力ひけらかすような真似は出来ない。



(おっかねぇな、異世界)



 自分の知識がオーパーツに近いものだと、もっと自覚すべきだろう。


 拳銃や、さっきの音楽談義で思い付いた再生機器なんかは、犯罪への利用が簡単に想像出来るので自分でブレーキが掛けられるが、もっと根本の部分で踏み留まる必要があるかも知れない。



(……反省と自戒は後だ。幸い、今からでも間に合う)



 最初の勘違いが無ければ、


 二人と話していなければ、


 隠す必要が無い、と風の力含めて全部報告していた可能性はあった……が、


 偶然、誤解を促すマイントリアーシュが居て、


 ノードが練った計画に無自覚のまま参加して、


 幸運にも隠蔽が成立する状況にある。



(…………もう一回考えるか……)



 色々とこんがらがってぶっ倒れたいが、やってしまった責任は取らねばなるまい。




 先ずは隠蔽に関する余波だ。


 二人の子供は問題無い。事情を聞くなら大人の方だろう。



――「でも、精霊術よ? マナが続く間だけだから、永続した効果は見込めないわよ?」――



 当然『審問』も同じだろう。


 自白剤に喩えたが、薬剤のような後遺症は考えられない。



(精霊術の行使には絶対にマナが必要で、行使されている間しかその効果は発現しない)



 要するに、精神的にも肉体的にも後遺症が残るような事は無い。ナスタとシャリアにも確認済みだ。



(仮に術を行使されても、情報が抜かれるだけ。二人に危険は無い)



 流石に隠蔽の為に二人を廃人にしても良いとは、俺も思っていない。



――「使われた記憶って残りますか?」――

――「それだけだと残るが、別の手段で消せる」――



 シャリアに聞けば、痛覚を『忘却』させる術があるらしい。


 その術が行使されている間、発生する痛みから逃れる事が出来るそうだ。……多分、これに似た術の応用だろう。


 術の間だけ、『痛み』を忘却させる。


 術の間だけ、『審問』を忘却させる。



……道徳を度外視すると言っても、限度はある。


 民は愚かでは無い。自身周囲の安全を脅かす存在には特に敏感だ。一度でもその類いの疑心や疑念を覚えれば、外部からそれ等を払拭する事は困難極まるだろう。


 無法に人命を軽んじるのは悪手……ただの暴君だ。あの二人がやるとは思えない。……というか、何の痛苦も与えず、誰にも悟られずに情報だけ抜きそうである。



(……うん、やっぱ誰にも危険は無いな)



 報告の遣り取りですったもんだするくらいだろう。許容範囲である。よしよし。



(次は……)



 風の力の方だ。


 ノードの報告がそのまま通れば素敵だが、流石に楽観が過ぎるだろう。



(アジト内での遣り取りは流れても問題無い。寧ろ流出していい)



 そのつもりで動いた。


 全員が奴等の遺体を隠す事に専念していた。死因について考えていた者はいない。



(……つっても、やっぱ出たとこ勝負になるか……)



 報告を聞いた領主がどう思うかまでは未知数だ。


 明日会うカールネスが何を聞いてくるか……上手い事誤魔化すしか無いだろう。

う〜ん、前話やらかしたなw

風邪っぴきで無理するものじゃないね〜(継続中)

方向はそれ程ズレて無いけど、描写があかん。

……まあ、色々書き方試してる所もあるので、修正は後回しです。今話も勢いで投稿〜。


書きたいシーンが増えたので、多分年内間に合わないなこれは……。


二章終了したらちょっと修正の旅に出ます(予告)

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