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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第二章 ~『原点』~
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『仔猫様』

 リリアとの婚約に不満なんか無い、寧ろ大歓迎だ。


……いや、体当たりで不意打ちな接吻(ベーゼ)に物申したい気持ちはあるけど、それはまあいいよ別に。うん、役得だったし。



「ナスタ、説明」



 でも、流石に『奇襲婚約(あれ)』は無いだろうよ。



(10歳の女の子に何やらせてんだこの妖精(バカ)は……)



 リリアの『額紋』をチラ見しながら、ナスタに向き直る。



「悪いけど、予定が詰まってるの。簡単に説明するわ」



 睨むように見遣ると、ナスタも隣にいるシャリアも表情が固いのに気付いた。



(……マジか、何があった?)



 居住まいを正す。厄介事らしい。



「今回の騒動は全て隠蔽する。最初から誘拐なんて無かった事にするの」


「………………へ?」



 何で?



「あんたの所為なのよ?」


「はい?」



 しかも俺の所為とな?



「拷問なんかするから……」



……なんじゃそりゃ? 意味がわからん。



「別に構わんだろ? 犯罪者に人権なんぞ無いし」



 前の世界の本にもバッチリ書いてあったぞ。……ラノベだけど。



「あの拷問行為が発覚すれば、騎士団の発足が危ぶまれるの!」



 と、俺の行動がどれだけ迂闊であったかを懇々と語るナスタ。時間が無いとか言ってなかったか?


……悪いけど、『どうでもいい』。



「騎士団とリリアじゃ、リリア一択だろ?」



 比べるまでも無い。天秤に乗せる必要すらない程、判りきった事だ。



――『何度繰り返しても、俺は同じ判断をする』だろう。



「――ッ! あんたは「ナスタ」」



 ナスタの激昂をシャリアが止める。



「今はそんな場合ではありません。……ご主人様?」



 すっかり『ご主人様』が定着したな、シャリア。



「はい」


「一味はこのアジトごと埋めて隠します」


「………………」



 さらりと凄いこと言った気がするが、



(……ま、別にいいかな?)



 正直、奴等の末路に興味は無い。




……思い返せば、確かに我ながらかなり過激な対応だったかも知れないが、やはりどう考えてもリリア達の救出が最優先で、その原因となった彼奴らは死刑確定だ。


 手加減する気も、出来る余裕も無かったし、そもそも、この手の輩は生かした所で反省も自戒もしない。


 ましてや罪状が『女児誘拐』と『人身売買』である。


 更生なんて期待するだけ無駄だ。切り捨て御免、悪・即・斬がベターな対応だろう。


 拷問も状況的に最速の手段だった。


 最初から狙っていた訳ではない。レドルのお陰で機会に恵まれたのだ。


 道理を通さない相手に、『穏便に済ませる方法』何ぞを、態々(わざわざ)こっちが考えてやる必要など無い。……活かさない手は無いだろう。効率優先が最適解だ。




……何はともあれ、リリア達の救出は無事に叶ったみたいだし、隠蔽工作で諸々のトラブルが回避出来るなら、燃やすなり埋めるなり好きにすればいいと思う。



「この一味はそれで片付きます……問題は、この子なんです」



 そう言って屈むと、シャリアは下から『仔猫』を拾い上げた。リリアが隣から手を出して「いいこいいこ」と頭を撫でる。



「み〜♪」

「おおぉぉ⁉︎ どしたのその子⁉︎」



 むっちゃ美ニャン。超ぷりちー。


 模様とかが一切無い白猫だ。


 二本の尻尾が、ふりふりとパタパタしてる。



(……ん?)



 もう一回よく見てみる。


……左右に振った残像の錯視で二本に見える……といった訳ではなく、二本だ。普通に尻尾が二本ある。



「マイントリアーシュです」

「そいつが⁉︎」


 なんとビックリ。どっからどう見ても仔猫だ。



 そそっと、シャリアがそのマイントリアーシュを俺に手渡してくる。



「ととっ、と……、Oh(オゥ)……、近くで見ると本当可愛いな、こいつ」



 10歳の手からは流石にはみ出るが、それでも片手に乗っちゃう程小さい仔猫と言える。思わず「こんニャろう」と顔が綻んだ。


 猫は好きで、前の世界でも飼っていた。この愛嬌に勝てる奴は中々いないだろう。



「その子を生かすか殺すかで、動きが変わるのですが……「生かす方で」」



 マイントリアーシュの顎を指で掻きながら即答する。


 うむ、喉がごろごろしておる。仔猫セラピー半端無いですな、うひょひょ。



(……あれ?)



 こちょこちょする為に伸ばした右手。その袖口から見える右手首のそれ(・・)に強い既視感を覚えた。



(――いっ⁉︎…………あ〜、これが『厄介事』か?)



 色が違うが、同種のものだろう。



「……こいつと契約でもしちゃってんの?」

「――ッ⁉︎ 何で判るの⁉︎」



 ナスタが慌てる。その様子で、何となく察した。



(ナスタのミスか……)



 望んでやったとは思えない。不慮の事だろう。


 ローブの袖を捲って、右の手首を晒す。



「――ッ⁉︎」

「それは⁉︎」


 ナスタとシャリアが驚愕し、リリアが目を丸くした。


「……アーリス、また『印』が付いちゃったの?」



 右手首にぐるりと付いた、痣のような紫色の帯。


 一目でわかった。付いている場所が違うだけで、ナウゼルグバーグの印と瓜二つだ。


 かなり毒々しい色だが、マイントリアーシュの顎を撫でている時に、偶然袖口から見えてやっと気付いたくらいで、痛みは一切無い。



(……ま、これは後でもいいや)



 この印を消したければ、仔猫(マイントリアーシュ)を討伐しなければならないだろう。


……色々な意味で『無理』。考えるだけ無駄だ。


 それよりも、確認したい事がある。



「んで? 殺すとか、誰の提案?」

「……私よ」

「私も賛同しました。隠蔽するのであれば「アホ」」



 シャリアの言葉を途中で切り捨てる。ノードかレドルの提案かと思ったが、違ったらしい。



「こんな姿(なり)でも魔獣だぞ? 反逆の特性持ちで、『幸運』何て二つ名まで付いてる。『絶対に殺せない』だろ」


「「あ……」」



 呆然とする二人。



(隠蔽に躍起になって失念したか?)



――『マイントリアーシュには対応出来ない』。


 それが、俺が出した結論だった筈だ。




 今、俺の手の上で毛繕いしていらっしゃる仔猫様。


 その特性を、ゲームちっくなスキル名で例えさせて戴くと、


――相手の『敵意に反応』して反撃。

    《――先制反撃――プリエンプティブカウンター


――攻撃に魅了・混乱系の『精神汚染効果を付与』。

    《――精神破壊メンタルブレイク――》


――『LUK(ラック)極振り』のステータス。

    《――危険回避リスクヘッジ――》


……と、「なぁにこれぇ?」としかコメント出来ねえような構成になる。炎上不可避。


 トズからマイントリアーシュの特性を聞いた時に、俺が絶句したのは言うまでも無いだろう。


 この魔獣に本気で挑もうと思ったら、『即死・必中』のような、『概念』から攻められるスキルでも無いと、戦略すら立てられない。そして、当然だが現実(リアル)にそんなものは無い。……異世界でも無いだろう、多分。


 と言う訳で、マイントリアーシュはスルーでFA(ファイナル・アンサー)


 目の前に現れでもしない限り、意識にすら上らせないようにしていた。何を持って敵意とするか判らない以上、認識する事自体が危険だと思ったからだ。



(こんなニャンコだったとはな〜、取り越し苦労だったわ。敵意なんぞ持てん。……それにしても)



――完全に度外視していた魔獣との契約。


――二度目の『印』獲得。



(……俺、なんか妙な『因縁』でも背負ってるじゃないの?)



 アスガンティア(こっち)に来てから、やたらと魔獣に縁があるような気がした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 契約するだけで魔獣は超絶パワーアップできるんだから大人気になるわな
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