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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第二章 ~『原点』~
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『家名』

 昼食後の歓談タイムで、建設についての詳細を確認する。



「建設って、結局何やるんですか?」



 俺の家は、ナスタが作るらしい。


……意味がわからないんですけど?



「……説明してもいいが、見ながらの方が早いだろう。君の邸宅の目処がついたら、一度バドムに戻らなくてはならなくなった」


「何かあったんですか?」


「ワールズから紋話が届いた。難事では無いが、私の案件だ」



 ワールズはランフェスの専任執事だ。フロードが人手不足なのに、北のバドムは余裕があるなんて事は無いだろう。長期こちらに滞在する代わりに、執事を置いてきたらしい。



「君との今後のやり取りは、カールネスが担当する」


「……え⁉︎ 忙しいんじゃ無いですか⁉︎」



 領主の専任を動かすのは、とても気がひける。



「私も暇という訳では無いのだが……まあいい。君の騎士団の扱いは、余人に預けられるものでは無い。将来、領主の直下の権威を与える予定の組織だ。迂闊に動かれても困る」


「……そうですね。……と言うか、そっちも何すれば良いか分かんないんですけど……」



 当たり前だが、騎士団の運営なんぞした事がない。



「業務はこちらで用意する。人員を割り振り、それを処理してくれ……そう不安そうな顔をしなくてもいい。子供の騎士団だ。子供に出来ないような仕事を要求するつもりはない」



 顔に出ていたらしい。苦笑混じりで指摘された。



「……そろそろ、いい時間だな。馬車を手配してある。移動しながら話そう」


「……本当に、いつもいつも何時手配してるんですか……」


「今回は偶然だ。もともと、こちらで少し打ち合わせをするつもりだったからね。私の次の予定に合わせて呼び出しておいたものだ。君が目覚めていなければ、建設計画の修正が必要だったが……」



 ランフェスが言葉を区切って、合間で喉を潤す。



「起きているのであれば、このまま行こう。可能なら、君絡みの案件を全て処理してから、バドムに戻りたい」


「……俺は構いませんけど……」



 寝ていたから、みんなのスケジュールを把握してない。



「……? どうしたの?」


「いや、他の人の都合は大丈夫なのかと……」


「……平気に決まってるでしょ? 主人の予定に合わせられないとか、それ、従者じゃないから」



……それもそうかも。



「……おっと、移動する前に……」



 ランフェスが黒い紙を取り出し、テーブルに置いた。



「これに、君の紋章を写してくれ。右手の甲を当てて、マナを通せばいい」



 マナを通せ、と言う単語でドキッとする。大丈夫だろうか?



(……ナスタ、これ平気?)


《あんたは手を当てるだけにしなさい。マナは私が動かすから》


(やっぱ、あかんのか……)


《……今度余裕のある時に練習させたげるわ。あんたの場合、マナが多過ぎて普通の人と感覚が違いすぎるの。マナプレートが一瞬で赤になるとか、尋常じゃないのよ?》



……まあ、仕方ないだろう。


 寝ている間も、当然呼吸はしている。


 まるまる2日分。


 相当に溜まっているはずだ。ビギナーが操るにはハードルが高いだろう、きっと。


 甲を紙に当てて、後はナスタに任せる。


 軽く熱を帯びたと感じた所で、《もういいわよ》と、ナスタから合図が届いた。


 手を離すと、俺の紋章が紙にくっきり残っている。……面白いな、これ。



「何に使うんですか?」



 紋章と言うより、小さい魔法陣のような模様を眺めながら、ランフェスに問いかける。



「……点状か……ん? ああ、君の『当主』の登録に使う」


(……当主……そうだった、家名!)



 俺は領主の系譜から外れるから、『フロード』の領名は使えなくなる。


 1から新しく家族というか、系譜を作る事になるので、領名から家名に代わる。


 誰でも家名を名乗れる訳ではなく、領主に願い出て了承を得なければならない。細かい申請の条件があった筈だが、詳しくは知らない。ランフェスが動いているのだから、多分クリア済みなのだろう。



「何がいいかな〜?」


「……何がよ?」


「家名。フローゼル・アーリスはどう見ても女の名前じゃん」


「「「………………」」」



 3人が顔を見合わせて、沈黙した。



「いや! いい名前だと思うよ! でも、俺男じゃん⁉︎ だから「いや、そうじゃなくて」」


「はえ?」


「家名って、確か自分で決められないわよ?」


「なぬ⁉︎」



 ランフェスが溜息を吐きながら、ナスタの発言を肯定した。



「君は本当に貴族に疎いな……ナスタ嬢の言う通り、家名は『初代の幼名の末尾に()を付けたもの』にせよ、と定められている」


「………………」


「あんたのフルネームは『フローゼル・アーリス・フローゼルス』になるわね」


「何処のお姫様だよ⁉︎」



 余計に酷くなった。


 嘆く俺とは裏腹に、周囲は爆笑している。



「くくくっ、……いや、すまない。だが、似合っていると思うぞ?」

「ぷふふ〜っ! 元々かなりの女顔じゃない。女装でもすれば完璧ね!」


「うるせーよ、そこ!! うう、シャリア〜〜」



 タチの悪いイジメっ子2人から逃れるべく、後ろに控えているシャリアに泣きつく。



「……シャリア・フローゼルス…………やだ、まだ早いです///」


「「「………………」」」



 1人だけ別の空間に居た。


 見れば判る。そっとしておいた方が良さそうだった。



「……移動しましょう」

「そうだな」

「行くわよ、ソシエ」



 時間の経過と共にポンコツ化する、自分の侍従の扱いに軽く頭を痛めつつも、



(……急速に打ち解けてる、って事かなぁ? まだ、12歳なんだし、夢見る女の子ってこんな感じなのかね?)



 と、シャリアの変化を微笑ましく見ていた。

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