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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第二章 ~『原点』~
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『新居設計』

 ナウゼルグバーグとの戦いの後、あまりの疲労から何もかもが面倒臭くなり、ナスタに全てを丸投げした後、予想以上に爆睡してしまったらしい俺。


 目が醒めると、丸2日ほど経過していた。



「何を言っているのか、わからねーと思うが、俺にもさっぱりだ」


「……アーリス?」

「にゃんでも無いです。作業を続行します」

「よろしい」



 先程、見知らぬ場所で「いい加減に起きろ!」と、ナスタに叩き起こされた後、マイホームの図面確認&作成の仕事を振られた。


 急ぎらしい。


 碌な事情説明も無い。



……酷く無い?



「ナスタさん、バリアフリ〜「却下よ戯け」」



 バリアフリーとは何ぞや? と問われ、これこれと説明している間に、却下の裁定を賜わった。


 防衛上、「有り得ない!」だそうだ。



(そんなんだから、居住性が後回しになるんだよ!)



 ぶちぶちと内心だけで毒突く。



「……そーいや、ナスタ? こっちの人間って、『飛べる』の?」


「……は?」


「ジャンプとか、空中遊泳、単独飛行みたいなの。2階の高さまで飛べる奴いる?」


「……人間が有翼族(エルゼン)みたいにって事? 出来る訳ないでしょ? 有翼族(エルゼン)以外の異種族も当然無理よ? 馬鹿じゃないの?」



……連打で否定された。



「ですよね〜」



 まあ、わかってたけど。




 アスガンティアの住居は、大きさは違えど、前の世界の考え方と差異が無い。


 家、巣穴などの、生物の住処。これらに共通する点として、『安心』出来るか否かが問われる。


……例外のある生き物も居るし、用途を重視する場合もあるけど、基本的に安心出来なければ、住居・住処としては欠陥になるだろう。



 2階やら3階やらの高さを、平気でポンポン飛び回れるような種族が居たら、前の世界と同様の建築様式で、安心なんぞ出来る訳がない。


 もし、人族の飛翔を当然とする様な世界があれば、その建造物の様相は変化していて然るべきだ。


 アスガンティアにはエルゼンが居るけど、どこぞの山の上に集落を構えていて、下界には降りてこないらしい。



(……制空権を主張する様な種族が、近くに居ないのは良いけど、異世界なのに自由に空を飛べないとか……夢と浪漫が足りない気がします)



 ふつふつとした不満があるが、飛翔の類いを警戒する必要が無いのは本当に助かる。



(マイホームなら、やりたい事は有るんだよね〜)



 私には、夢がある。



『2階に屋外浴場が欲しい!!』。



 前の世界で実現しようと思えば、多額の費用を必要としただろうが、そこはそれ、素力変換様である。


 費用は充分にござる。


 なれば作るしかあるまい。


 ナスタに色々聞きながら、構想をまとめていく。



(……中央の浴場の上でいいかな?)



 アスガンティアの水は、紋章術で浄化が可能だ。つまり、入れ替える必要が無い。当然排水も不要。上下に循環させる方法を考えればいいだけだ。何て楽ちん。




 まず、2階の浴場のど真ん中に、円柱をブッ立てる。


 円柱の天辺をくり抜いて浴槽にする。


 螺旋階段で柱沿いに上がれる様にして、手摺りも付けとく。


 円柱の下部に隙間。真ん中に、お湯を吸い上げる為の管を通す。


 下の浴場から、管を使って上にお湯を送り、噴水の様に覆う形で噴き出させる。


 こうすれば、上がる時に周りから見られる心配もない。


 円柱の浴槽にがっつり浸かった所で、お湯の供給を止めれば、景色が望めると言った寸法だ。




 アスガンティアの住居の高さは2階まで。それ以上のものは、領主館、見張り塔、各種防壁と、時計塔くらいしかない。


 高所の覗きは、気にしなくてもいいかも知れないけど……、



(うち)の嫁達の裸見ていいのは、俺だけだから!)



 絶対に油断はしない。断固阻止だ。




「ナスタ〜、紋章術でこの管からお湯を上に送れる?」


「……出来るけど、相変わらず面白い発想するわね、あんた」


「どの辺が?」


「外で入浴とか、聞いたこともないわ」


「……マジで? 温泉とか無いの?」


「……おんせん?」


「地面掘ると、お湯が出てくる様な場所無い?」


「……あんたの居た世界って、どれだけ『奇抜』なの? 地面にお湯が埋まってる訳ないでしょ?」


「………………」



(温泉って、何だっけ? 火山?……じゃないな、多分。お湯で済まなそうだし……地熱で温まった水脈が噴き出たものかな?)


 どうなんだろう? でも、水脈はある筈だ。無いと雨水とかの逃げ場がない。


 アスガンティアは精霊で水が作れるので、井戸のような物はなく、貯水も不要。水の為に地面を掘る必要が無い。



(にしても、土の精霊が居るんだから……て、そうか、話せないのか)



 精霊さんは情報源に出来ない。


 地面を隆起させるとか、穴を開けると言った精霊術があった筈だが、水脈に届かなければ意味が無い。



(……アスガンティアの地面の下、未開拓か?)



『石油王』の単語が散らつくが、見つけても使い方が分からん。



(石油って、プラスチックとかビニールの原料だったよな? 欲しいけど……)



 石油を活用する術を、何一つ知らない俺。



(見た目あんな怪しげなもの、迂闊に掘り当てても、良からぬ噂になりそうだし……)



 諦めるしかなかった。残念。



「……つっても、儲ける手段は必要だよな」


「何の話?」


「俺のマナ。ナウゼルグバーグ産だって誤魔化すのも限界あるだろ?」


「まあね……なんかある?」


「ん〜……」



 異世界もので、『稼ぐ』手段のバリエーションは豊富だ。


 散々読んだ。


……でも、覚えてない。


 浪費オンリーで、生産に貢献しないマイ・ライフ。


 やる気もなければ、興味もない。


 イッツ・エコロジー。


……超使えねぇ。



「……無いな〜」


「……そう? 振れば出てきそうな感じがするけど」


「やめれ」



 細胞が死ぬ。






 そんな漫談をナスタと交わしていると、



「……ん? ……帰ってきたわね」



 ナスタが何かに気付いたように、ドアの方を見遣った。



「……シャリアか?」


「ええ」



 起きた時から姿が無かった。聞けば、買い出しに行っただけだそうだ。



「………………全然来ないぞ?」



 待てども帰ってくる気配が無い。



「……今階段に着いた所」


「そんなのどうやって「風の動きでわかるわ」」


「………………」



 洒落にならない。何だそのセンサー。



「……どんくらいの距離いけるの、それ」


「距離と言うより、範囲ね。この建物の周りにある通りの向こう迄なら余裕よ」


「どうやってんの?」


「風を流して、その乱れで判断してるわ」



 そうやって話している所で、



「ナスタ、帰りま……アーリス様!!」



 シャリアが帰ってきた。俺を見るなり、涙目になりながら詰め寄ってくる。



「シャリア⁉︎ どうした「何でお逃げにならなかったんですか!!」」


「え⁉︎ 何が「ナウゼルグバーグです!!」」


「いや、あの時は「すごく心配したんですよ!!」」


「いや! だから「体当たりされた時とか、あんなに痛そうで……」」


「あの、シャリア「死んじゃったらどうしようかと……」」


「……はい「無理はなさらないで下さい、ってお願いしたのに!!」


「はい、ごめんなさ「何で何度も立ち向かったんですか! 逃げて下さいよ!! うぅ……」」


「…………」



 終わりそうになかった。



(あの、ナスタさん?)


《諦めろ、あんたが悪い。ランフェスの分も預かってるんだけど……》


(うげ⁉︎)


《……シャリアに全部任せた方が、効果ありそうね。こっちに逃げてないで、たっぷり説教されなさい?》



……四面楚歌。



「聞いてますか⁉︎ アーリス様!!」


「はい! すみませんでした!!」




 その後、20分近く、延々とシャリアのお説教を受ける羽目になった。


軽く検索したら、


火山性温泉

非火山性温泉(深層地下水型)

非火山性温泉(化石海水型)


の、3つが出てきました。


アーリスは否定してますが、名前を見ればわかるように、火山も一応正解みたいです。

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