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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第一章 ~『転生』~
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ナスタ『事後処理 4』

 まだ艶本の話題を引っ張るのかと思いきや、次にアーリスが引っ越す邸宅の話に移るようだ。



「騎士団の活動の詳細は、アーリスが起きてからの方が良いだろうが、これから君達の拠点となる住居の予定は、今の内に説明しておく」



 ランフェスが懐から地図を出して、隣の寝台の上に広げた。


 シャリアと私とで、それを囲むように陣取る。



「フロードは街の北西部に、ほぼ未開拓の区画がある。この一帯は地質が悪く、林産や農業に適していない。中央から離れすぎている為、商業地区とするのも不適切だ」


「……するなら住宅地か営舎、資材置場か倉庫って所かしらね、地盤は?」


「問題無い。建築資材も手配が完了している。明後日には建設に入りたいのだが……」


「……? どうしたの?」



 不自然な所で、ランフェスが言い淀んだ。



「費用の一部を、アーリスに捻出して貰う予定だった。騎士団の兵舎と、闘練場は汎用性もあるので、こちらで持つ。アーリスの邸宅を、本人の希望を加味して建設する手筈だったのだが……」


「可能よ」


「……大丈夫なのか?」


「ええ、ナウゼルグバーグから奪ったマナが多すぎるの。早めに大きく減らしたいから、私としては助かるわ」



 勿論、嘘だ。呼吸で回復するアーリスに、マナの上限など存在しない。



「ならば、マナはそれでいいだろう。もう一方の問題は、建設を担当出来る貴族の空きが無いことだ」


「……どういうこと?」


「結界柱の破損が報告されている。最優先だ。加えて騎士団兵舎も優先度が高い」


(……早めに兵舎を作って、子供を監視下に入れたいものね)



 レーゼルは将来の目標が定まっていた分、行動範囲は狭かったようだが、基本的に自由時間を多く持つ子供の活動の幅は広い。どのように動くか想像も出来ないし、情報の伝達経路も辿り辛い。



(……この案件があったから、アーリスに『土の精霊』と契約させたかったのね)



 過分に期待が大きいような気がするが、そうせざるを得ない程に、困窮しているのだろう。



「……その邸宅は私がやるわ」


「――ッ⁉︎ 可能なのか⁉︎」


「……土と木の属性の方が、確かにマナの効率はいいけど、風でも充分代用可能よ」



 建築で特に規模の大きいものは、精霊の力を活用する。


 別称で土木とも言われるこれらの事業は、その名が示す通り、土と木の精霊の力を用いるのが、最も適しているとされている様だが……、



(……『動かす』という点に於いて、風に勝る属性は無いのよ)



 理解が遠い。風を敬遠してきた弊害だろう。


……教えるつもりも無いが。



「紋章陣だけ敷いてくれる? 後は私が処理するから」


「正直助かるな……風の属性に対する認識を改める必要がありそうだ」


「それはどうも。でも、普及するのはやめた方がいいわ」


「理由を聞いても?」


「……争いには向かない属性だから」


「ナスタ嬢でも、世論の評価を覆すのは難しいか……」


「………………」






 アーリスが語ったそれは、戦況を容易くひっくり返すものだった。


 機をてらい、意表を突き、一撃を信条とする。



――『初手必殺』。



 アーリスの根底にあるのはそれだ。


 死を厭うくせに、それを導く手段に一切の呵責が無い。


 一体どんな教育を施されれば、あの様な矛盾した思考の人間が仕上がるのか……、


 なんて事はない、といった態で彼が語った子供騙しで、十分な戦果を挙げられるだろう。



――『絶対に流布出来ない』。



 今では、『風は役に立たない属性だ』と、認識されている方が好都合だとすら思っている程だ。



(本当に、どんな発想なのよ……)



 アーリスは、あれを『子供騙し』だと言った。



――彼の中には、その先がある。



(もし……『本気』になったら?)



 彼が、私を『使う』ようになったら、どうなるだろう?



(…………やだ、本当に誑しね、あいつ)



 自分で笑ってしまう程に、嫌悪が見当たらない。寧ろ使って欲しいとすら思う。



 初めての主人。


 私の力を存分に引き出せる相棒。


 私が十全に力を尽くせる相方。


 風の優位性を説き、運用の術を私に教えた人。


 そして、そのたった一度の教唆で、価値観をも変えられてしまった私。


……おそらく、同じような主人を得る機会は、もう二度と無いだろう。



(……私を使っていいのは、貴方達じゃないの)



 アーリスだけだ。


 だから、渡さない。


 教えない。


 風の有用性も、その応用力も。


 全て私の主人のものだ。



(そうよ、誰にも渡さない。アーリスは私が使うの)



 彼には、アスガンティアを救ってもらう。


 風を担当出来る自分が契約出来たのは、運命としか思えない。



(……残り4つ)



 必ず達成する。


 こんな好機に、次など無いだろうから……。






「了解した。ならば、遠慮せず任せるとしよう」


「ええ……代わりと言っては何だけど、マナプレートを用意して頂戴」


「そちらに支給する為に、5枚ほど確保しているが……追加が必要か?」


「そうね……取り敢えず3枚追加。あと精霊杖を2本。玉石も2つ欲しいわ。追加分の費用は全てこちらで持つから……どう?」


「ナウゼルグバーグはそれほど保有していたか……いや、あの規模であれば当然とも言えるな。……わかった、引き受けよう。少々時間をもらう事になるが……」


「オーケーよ。今ある分はすぐに頂戴。先に支払うから、あなたのプレートを出して」



 ランフェスがマナプレートを取り出す。その色は黄と緑が半分。それを青一色まで一気に染め上げた。



「ナスタ嬢⁉︎ これでは多すぎるのだが……」


「いいのよ、マナは循環させるもの……アーリスが多くを抱えててもしょうがないわ。15人の外部の分と、さっきの本代も込みよ。紋章陣を敷くのも無料(ただ)ではないでしょう?」


「契約も無しに……参ったな、ナスタ嬢に足を向けて眠れない日が続きそうだ」


「ふふふ、その配慮は私の主人にお願い。ソシエ?」


「えっ⁉︎ はい、何ですか?」



 会話に入る事なく、手持ち無沙汰だったシャリアに、仕事を振っておく。



「邸宅の設計をお願い。アーリスは複数の異種族を娶る事になるわ。最低でも7人の専用個室を確保。寝所も大きめに、浴室の近くに配置して頂戴」


「7人ですか⁉︎」「ナスタ嬢、流石に多すぎるのでは?」


(あなた達はアーリスを知らないから、そう思うのよ……)



 エーテルを直接吸引して変換するアーリスのマナは、無属性にして高純度。彼の子供は間違い無く、相手となる娘の種族になる。


 つまり、アーリスと異種族が交われば、『必ず異種族の子が産まれる』。


 そして、呼吸で補充されるマナは、最早無限に等しい。


 精神力が続く限り、『幾らでも出来る』。



(……たぶん、人間の正しい使い方よね〜)



 彼は種馬扱いを嫌がったが、圧倒的に効率が良い。


 自然の法則に反した、在り方の歪んだ種族。その特性を大いに活用出来るのが、アーリスだ。



(……まあ、ゆっくりやるわ)



 ランフェスの存念は聞いた。


 やはり今のアーリスが子供を作るのは、旗色が悪い。


 成人までは慎重に候補を集め、情を育てるのを指標にした方がいいだろう。




「……全部使うとは言ってないわよ? 1つはアーリスの私室になるし、別に空室でも構わない。後で追加するのは面倒だもの」


「……確かにそうだな。増築は面倒だ」


「他に必要な施設は有りますか?」



 シャリアがメモを取りつつ、要点を確認してくる。



……どうしようかしら?


 アーリスと相談したい所だけど、彼にはこのまま眠っていて貰った方が都合が良い。



(……発注が先。本拠地は早く欲しいわ)



 彼の希望は後回しでもいいだろう。



「2階建よね? 1階部分は貴族の一般邸宅を基準にして……問題は2階ね。闘練場と書物室、契約室、紋話室……くらいかしら?」


「ソシエ、邸宅の管理は暫くの間、君1人で担当する事になる。あまり大きくしないように」


「はい、……ナスタ、食堂は分けますか?」



 食事を必要としない五精族にとって、食堂なんて部屋は無駄だ。



「……分けないと五月蝿い貴族が居るけど、この家では削れるわね。部屋にせず、オープンにしてもいいんじゃない?」


「あ! それ、素敵です!」



 ノリノリで線を引き始めるシャリア。素直で結構。



「……ランフェス、何かある?」


「君達の邸宅だ、好きにするといい。連絡が取り易いように、紋話室が最初から組み込まれている様だし、口を挟む余地は無さそうだ」



 その言に甘えて、好き勝手にやらせて貰おう。



「邸宅の建設完了までの間の、仮宿を用意してある。アーリスの体調も問題なさそうだ。移動させよう」


「了解よ」「はい、わかりました」



……次のマナの大きな消費先は、邸宅の建設ね。



(ここまで好き放題出来るなんて……脱領なんて勿体無いわ)



 東は異種族も多いし、いざとなれば領主の庇護も得られそうだ。



(楽しくなってきたわよ〜♡)



 アーリスのマナがあれば、幾らでも無双出来る。






 アーリスの意思そっちのけで、ナスタが無双を開始した。

 次から新章となりますが、想像力の限界……資料必須になりました。


 今作っておかないとまずそうなので、ちょっと空くかもです、すみませぬ。



 想定外のブクマ数に、著者びっくり。何故あの序盤を抜けて来れたし。なろう読者強いw


 書き直しはまだまだ先になりそうです。登場人物が好き勝手にするから、拾えない設定が出てきそうな予感。完結してからでもいいような気がしてきました。……このペースだと何年後になるか知れんけど。



 公開しても良さそうな資料をアップしてみました。


……需要があるかは不明ですが。



 ブクマと評価してくださった方々、ありがとうございます。


 他作品様に比べると、これ以上ない程に遅筆ですが、のんびり待っていただけると助かります。



 以上、章末という事で、ご挨拶をば。


 ではでは、引き続き宜しくお願いします。

(=゜ω゜)ノ





特性メモ(変更の可能性有)

『?性??』

『身代わり』

『素力変換』

『脳裏焼付』

『神域経路』

『妖精紫瞳』

『瞑想浄土』

『覚者方便』

『??重複』

『涅槃超越』


 解説キャラがいないので、ここにぶん投げときます。

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