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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第一章 ~『転生』~
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『街へ』

 夜着を脱ぎながら寝台の横へ。


 急いで狩りの装備を身につけていく。


 その最中で、毛布を深く被ったリリア見て、ちょっとホッとした。


 あの夜着を着たリリアを、ランフェスに見られるのは、なんとなく面白くない。


……え? あれ? 独占欲か? これ?


 びっくりだ。


 自分の感情の変化を(くすぐ)ったく感じながら、ユーシャの方を確認。顔に本を被ったままだ。



(……まだ寝てる?)


《ええ、ぐっすりよ》


「2人は?」


「このままだ。危険は無いが、それでも戦場だからね。ソシエに睡眠薬を淹れるように指示していた」


「成る程」



 俺も出来れば戦場に子供は連れて行きたくはない。


 この2人は戦う力があるだけに、起きていれば同行したがるだろう。


 このまま寝かせて置いた方がいい。



「了解です。そのソシエは?」


「君よりも先に起きていた。西の街壁までの道の確保を任せている」



 着替えながら状況を確認していく。



「すまない。君の侍従だが、今は指示させてもらった」


「大丈夫ですよ。……武器は?」



 俺の剣はもう無い。あの崖に落としたままだ。



「馬車に用意してある」


「わかりました。……行きましょう」



 行動開始だ。



 






 部屋の外、例の広い通路に出ると、肌寒い夜気に襲われた。



(寒っ)


《私はあんたの中に居るから平気よ〜》


(変わってくれ)


《無〜理〜》



 にゃろうめ。



 誰もいない通路を黙々と進む。


 最早気にしない。巡回時間とか調整したんだろう。この時間なら起きている人数もたかが知れてる。ランフェスなら余裕だ。



「アーリス、こっちだ」


「……使えるんですか?」


「巡回時間を少し弄った。問題無い」



 案の定だった。






 領主館の内側、龍脈塔を支柱に各棟を繋ぐいくつかの連絡路がある。


 東居住棟から西の街壁へ向かうのであれば、南居住棟を経由するよりも断然早い……が、吹き抜けだ。見られるリスクが跳ね上がる。



(考えない考えない)


《いい子ね〜》



 領民に会わない方がいい。理由は考えない。今は従う。それでいい。この2人がそう言うのだ。情勢を把握しきっていない俺は、意見など出来ない。



「……蜘蛛の巣みたいだ」



 領主館の内側に巡らされた連絡路を見て思う。



「アーリス、この道だ」



 ランフェスが先導する。その後をついて行く。



ーー『龍脈塔』。



 目の前に馬鹿でかい円柱の塔がある。


 領主館は四方が壁に囲まれた監獄さながらで、景観の()の字も無い。


 それを少しでも補おうとしたのか、内壁と龍脈塔の壁面には、草花が飾られたり、壁画や彫刻が施されたりしている。


……正直、かなり良い。時間があればじっくり眺めたい所だ。



(……平気だよな?)


《……中に入らない分には大丈夫よ》



 ナスタの懸念。


『素力変換の特性を持った俺が、龍脈塔に入ったら、何が起こるかわからない』。


 外周ぐるりは大丈夫そうだ。アウトだったら別ルートで、タイムロスがデカイ。


 吊り橋に似た通路を、早足で進む。


 龍脈塔を右に眺めながら、下へ。


 程無く一階、西居住棟の前に到着する。別名『女性棟』だ。因みに北が『男性棟』。





 西居住棟の一階は、女性使用人達の私室が並んでいる。2階は侍女達の私室。3階は領主一族の私室だ。俺の私室もこの棟の3階にある。


 本来なら男性が入る事は出来ない棟。3列にずらりと並ぶ私室の間を真っ直ぐ横に抜けて、突き当たりの壁でランフェスが立ち止まった。



「……ここだな」



 ジャラリと懐から何かを取り出し、壁に当てたように見えたが、後ろからではわからない。


 ぼんやりとした光の後に、『壁が空いた』。



「……え⁉︎」


「非常用路だ。領主の許可無しでは使えない」



 裏口的な何かはあるだろう、と黙ってついて来たが、壁が開くとは思わなかった。


 開いた向こう側に、西内壁門。その手前に、寝る前とは意匠の違う侍女服を着たシャリアが居た。



「お待ちしておりました。アーリス様」


「ソシエ、通れるか?」


「はい。こちらです」



 ランフェスの問いに淀みなく応じて、門の横の通用口へ向かう。



(ひ〜、遠い)


《出るだけで大変ね、ここ》



 マジで住居としての利便性をまるで考えてない。エレベーターとかエスカレーターが欲しい。



(……似たようなのはあるんだよなぁ)



 南東施設棟の1階食糧庫から、その上にある2階の厨房に材料を上げる時に使うやつだ。



(……次の家は絶対バリアフリーにしよう)



 ナウゼルグバーグとの戦いが終われば、俺は領主館を出る。新しい邸宅も手配済みだろう、きっと。



(マナ)は山程あるんだ。バレない程度に豪快に使ってやる!)


《使い過ぎは私が監視するから、お好きになさいな》



 そんな事を話しながら、せっせと足を動かして外壁に向かう。



「……こちらです。外に馬車を隣接して置いてあります」



 外壁の通用口。ここを抜けると街だ。



「アーリスは少し待ってくれ。向こうを見てくる」



 ランフェスが先に行った。



「シャ……ソシエは良く眠れた?」



 危ない、気をつけねば。


 くすっ、と笑って「長耳族(エルフ)は睡眠が上手ですから」と口にした。



「そうなの?」


「はい。他の種族に比べて、睡眠時間の調整が可能です。3日以内なら後でまとめてとれます」



(……長寿だからか)


 時間のサイクルが人間の3倍なのだろう。


 1日が24時間ではなく、72時間だと考えるとしっくりくる……ような気がする。



「アーリス、今だ」


「はい」



 ランフェスに並んで急いで通用口を抜ける。



……街に出た。


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