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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第一章 ~『転生』~
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『境遇』

「そろそろ私は行くが、最後に……アーリス」


「はい」


「メルシアから言伝がある」


「へ?」



 何でランフェスの嫁さんが俺に?


 ランフェスとの婚姻式で遠巻きに見ただけで、当時まだちっちゃかったレーゼルは、メルシアさんと話した事もない。



「『私の侍従であったシャリアに、不実な行いをしたら、絶対に許しません』だそうだ」


「しませんよ! 何でそんな……っ⁉︎」



……やばい、流石ランフェスの嫁。これ、釘刺されたよね?


 この言伝だけで、シャリアが大事にされていたのが判る。しかも『不実な行い』ときた。


 シャリアに不本意な思いをさせるな、相応しい主人になれ、というメッセージが込められているのだろう。



(むむむ……)


《何が「むむむ」なのよ?》


(いや、シャリアに相応しい主人ってどんなのだろうと……)


《……もうなってるじゃない?》


(そういう意味じゃなくて、……ま、いっか。後で考えよう)



 速攻でぶん投げる。アスガンティアの貴族について、詳しくも無い内から考えても仕方がない。








 シャリアと「決行は4時の予定だ」と言う言葉を置いて、ランフェスは出て行った。(せわ)しい男である。



(いよいよ大詰めみたいだし、仕方ないか)



 時計は20時をちょっと回った。2・3時間後に、もう一度寝れば丁度良さそうだ。


 シャリアの淹れてくれた紅茶を飲みながら、今尚夢の中の2人を見遣る。



「……まだ寝てるなぁ」



 小声とは言え、結構騒がしかったと思うが、2人の起きる気配が無い。



「ユーシャはついさっき寝付いたばっかりだし、リリアは倭人族(ドワーフ)だから……」


「……せやな」



 動物は睡眠で体力をある程度回復する。理由は知らないが、ドワーフは更にそれが顕著だ。



《チャンスね♡》


(……何だ、その最後のハートは?)



 碌でも無い事を考えていそうだ。



《シャリアに『処理』して貰いましょう?》


(…………何を?)


《あんたの性欲》


「ブッ! えほっ……ごほっ……何をっ!!」


「ーーッ⁉︎ 大丈夫ですか⁉︎」



 シャリアが慌てて、ハンカチで飛沫を拭き始めた。



「申し訳ありません。熱かったでしょうか?」


「いや、違う。熱くもないし、美味しかったからシャリアの所為じゃないよ」



 そこの駄妖精が原因です。



(何をいきなり《水の精霊の使い手。適任よ》)


《おまけに専任侍従で、あんたの側に常時付く。早めに落としたいわ……いや、もう落ちてるか》


(何を言っているんだ、ナスタさんや?)



 発想が飛びすぎである。



(……大体、どう説明すんだよ?)


《……俺の性欲を(犯罪!!)》



 何故ナスタはこうも直截な物言いしかなさらないのか。人類の判りづらい有り(よう)を学んで下さい。



《12歳なら間違い無く『性知識課程』も履修済みでしょうし……》


(性知識課程って、性教育か?)



 12歳なら確かにしていてもおかしくないだろう。俺も小6くらい? でやったような気がする。



《ええ、『赤ちゃんは何処から来るの?』から『男をその気にさせて、深淫に至るまで』ね》



……想像以上に実践を想定した教育だった。



(……って、しんいん?)


《……あんた、成人してんじゃないの? 深い淫らで『深淫』。子作りの事よ》



……アスガンティアではそう言うのか。やっぱり色々前の世界と違う。



《シャリアにはもう知識がある。別に身体で奉仕しろって訳じゃないし、精霊に必要なマナは、あんたが出せばいい。……イケるんじゃない?》



……ちょっと、真面目に考える。



 現状、精神からくる性衝動は、自身では処理も制御も出来ない。


 瞑想はまだ試していないが、やはり難しいだろう。


 暴走を避ける為にも、可能なら精霊の力を借りたい。



……道徳のもやもやを無視すれば、確かにシャリアは適任……と言うか、他に居ない。



(……話は判ったが、説き伏せる自信が無いぞ?)



 つーか無理。



《いいわよ、私から説明するから》


(………………)



 生物的にはともかく、性別的には同性のナスタ。任せても大丈夫……か? 自分で出来ないから、任せるしか無いけど。



(……………………頼む)



 盛大に悩んだ末、『よし、やっちまえ』を発動する。



《オッケー》

「シャリア、ちょっと来て」



 不思議そうに首を捻るシャリアを連れて、衝立の向こうに行ってしまった。



(頼むぞナスタ! 穏便に、慎みを《はいはい》)



 本当に大丈夫だろうか?


……早まったような気がする。















 シャリアを後ろに連れて、衝立の裏に移動する。


 子供2人の周囲の素力は、少し弄ってあるので、ちょっとやそっとじゃ起きない筈だ。


……ランフェスはアーリスを使う気だ。


 シャリアにある程度の事情は話してあるだろう。後で発覚して()になるのは、彼の計画からも遠ざかる。


(……私もこの娘は『欲しい』)


 あの誑しに既に落とされた娘。いや、落ちない道理があるだろうか?


 シャリアは自分を『異端』と称した。


 12の娘が望んで自称する単語じゃ無い。


……では、何故?



『周囲の者にそう呼ばれていた』からに決まってる。



 そんな境遇にいた、成人にも満たない小娘が、


 容姿と、力量と、成名と、意思を尊重され、靡かない訳がないだろう。



(コンプレックスを突けばチョロそうよね〜)



 アーリスに見られて、シャリアは胸を張った。


 倭人族(ドワーフ)のリリアが居たからだろう。



(……本当に可愛い)







『どれだけ自分が恵まれているかも知らずに』。







「……シャリア?」



 衝立の裏で声を掛ける。



「はい、ナスタ様」


「『様』は不要よ。私達は同じ主人に仕える者。同僚でしょ?」


「……はい、ナスタ」



 嬉しそうに笑う。可愛い。


 その笑顔を見て確信する。



『シャリアに懇意な同僚は居なかった』。



 この娘の周りに居たのは内面の敵。


 シャリアは己を磨いて抗するしか術を持たず、それが更に周囲の嫉妬を招く。


 どれだけ優秀な主人でも、従者の内面は弄れない。


 よくぞ、歪まずに辿り着いてくれたと思う。こんな幼い少女、壊れてもおかしくなかった。



「時間があまり無いの。本題に入るわ。レーゼルは知ってる?」


「…………『お身体の名前』ですね?」



 上出来の答えだ。やはり優秀、是非欲しい。


……この娘の子供が。



「……アーリスは成人しているの」


「……はい」


「精神は大人でも、身体は子供のまま……辛いと思わない?」


「……すみません、ナスタ。何がでしょう?」


「自分で処理出来ないのよ」


「ーーーーッ⁉︎」



 察しの良い子。真っ赤だ。履修済みで間違いない。



「貴女は『水』使いよね?」


「……はい」


「私では無理なの。出来る?」


「……///」



 嫌悪では無く、羞恥で迷う……か。



……チョロいわ。素敵。



「原因は『リリア』」


「ーーッ!」



……そんなにきつく握って、悔しいの? それとも嫉妬?


 今迄、実力で周囲を抑えてきた貴女が、成名を捧げた主人の『一番』になれないのは耐え難いでしょう?


……だから、



「アーリスは胸が好きだから、『見せてあげて』?」



 初めて(・・・)の同僚の私から、お願い(・・・)して理由をあげる。



「……わかりました」



 よしよし、良い娘ね〜。



《アーリス、こっち来て》

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