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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第一章 ~『転生』~
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『露呈』

 ランフェスが離室した。


 ナスタと本格的に話すチャンスだ。



(ナスタ……さん? 二、三お伺いしたいのですが……)


《……何びびってんのよ、普通にしなさい。あんたが主人(あるじ)なんだから》


(……あるじ?)



 対等じゃないのか?



《神さまと経路が繋がってるのはあんたなんだから、あんたを『甲』に据えるしかないでしょ!》



……おお! あの口上の『甲乙』で決まるのか!



(……んじゃ、敬語は要らんのか)


《……その切り替えの早さは尊敬に値するわ》


(え? 早いか、俺? 結構引きずる方かと……)



 レーゼルの生活習慣がありながら、前の世界のあれこれが未だに抜け切れていない辺り、未練がましい。



《……そうね、失言だったわ。忘れて頂戴》


(色々聞きたいんだけど、『五精の契約』って何?)


《……本当は自分で学ぶべきなんだけど、あんたは例外ね……いいわ。五精族との専属契約の事よ》


(……専属契約……ナスタが俺の、直属? な感じになったって事か?)


《そうよ、あんたのマナの管理、運用を徹底してあげる》


(うげ……)



 お年玉を回収する親のようだ。



《「うげ」、じゃないわよ。あんたのマナは人間の賄える量を()えてる。五精族に任せないと死ぬわよ》


(はい⁉︎)


《袋に水を入れ続けると、袋は破けるでしょう?》


(……あ〜…………)



……道理だ。


 財布に入るお金の量は決まっている。


 電子マネーはただの数字だ。質量は無い。


 マナは……無くなれば死ぬ。生命力かエネルギーのような物だろう。


 ならば、電子マネーとは違う。上限が存在する。


 そして、その上限はマナを収める身体、肉体が保有出来るエネルギーの量で決まる、と考えれば……、



(……マナを持ち過ぎれば死ぬ?)


《逆に枯渇しても死ぬわ。だから、子供の内はマナ石で生活させる。下手に紋章を付与して『穴』が開いたら、使い方のわからない子供は死ぬかも知れないから》


(……かなり厳しいな)



 マナの量で生死が決まる世界。


 上下限の見極めにしくじれば、生活の面でも、生命の面でも、苦境に立たされる。



《そうでも無いわよ?》


(……え?)


《あんたが例外なの。神さまに何されたか知らないけど、今もマナが少しずつ増えてる》



 ふと、右手の紋章を見てみる。


(……何も無いな)


 紋章は使用した時に浮かぶように輝く。額の紋章は見えないが、光ってはいないだろう。つまり、



(素力変換と紋章は関係無いのか……?)


《……今の》


(へ?)


《紋章の前に何を考えたの?》


(『素力変換』の事?)


《……成る程、これが『神域』なのね。私には何も聞こえないわ》


(マジか⁉︎)



 試しに頭の中で素力変換と10回言ってみる。



(……どうだ?)


《……どんなくだらない事をしたのか、何となく想像出来るけど、聞こえないわよ》


(ふむ、駄目か。んで、神域って何?)


《神の領域。生命が知るべきで無い知識、力の総称》



……なんか壮大な説明をされた。



《そっちはどうでもいいわ。問題はあんたのマナよ、何で増えるの? 少しずつ、まるで……⁉︎ あんた! ちょっと息止めなさい!!》



……察しが付いた。直ぐに呼吸を止める。



《……当たりだわ。エーテルを口から取り入れて、体内でマナに変換してる》


(……俺が生きている限り増加止まんないな、それ)



 呼吸を止めて生きるなど無理だ。


 つまり、マナの増加は止まらない。


 そして、素力の調整役を自称するナスタは、その管理をしなければならないのだろう、



《正解よ……ああ、もう! こんな事になるなんて……!》



 苦悩していた。


 神様が付けた特性の所為だが、原因は俺だ。



(……御迷惑をお掛けしてすみません)


《……いいわよ。あんたの事情は大体把握したから》


(事情?……ああ、俺もあんなに吹き出《違うわ》)



 遮られた。ナスタが顔だけこちらに向けて、



転生者(・・・)



……ぶっこんで来た。



(……どこから?)


《転生してから》


(……………………)


《先に言って置くけど、全部じゃないわよ》


(……へ?)


《……飾らずに言うけど、あんた正気(・・)じゃないわ。何で平気なの?》



 なんだ? なにが?



《神さまに全部奪われて、何もかも失って、全く別の場所、別の身体……死んだ人間の身体よ? 異常でしょ? 今、こうして会話が成立している事に、私の方がおかしくなりそう》


(……あ〜…………いや……)



……反論出来なかった。


 至極客観的に見れば、ナスタが正しい。


 異常。


 正気じゃない。


 普通なら持たない。


 なら、






ーー俺は、何処で、この精神性を獲得した?






(……うぁ〜〜……)





『ジャンル:異世界転生 (ハイファンタジー)』





(オマエの仕業かよ!)



 何かが台無しになった気がした。



《……私?》


(いえ、違いますごめんなさい)



 全面的にナスタが正しい。確かにおかしいのは俺の方……と言うより、前の世界の娯楽の方向性がぶっ飛んでる。



(……あ〜、前の世界で擬似体験と言うか、イメージトレーニングみたいな事を……)


《……何? あんたこんな事何度もやって来たの⁉︎》


(いや、ちがくて……)



……羞恥プレイ過ぎる。


 黒歴史の2ページ目が開かれようとしていた。


 誰か止めて。



「アーリス? どうしたの? ナスタちゃんとお話し?」



 天使が居た。



「ああ、リリア。うん、今終わった」


「? そうなんだ」



 正確には、たった今終わらせた。



《……私は別に構わないけど、いいの?》


(……何が?)


「……それじゃあ、聞くね?」


《その二人》


「あなたは誰?」

「おまえは誰なんだ?」


《あんたを見る目が変わってるけど?》

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