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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第一章 ~『転生』~
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『素力の調整役』

 全力で心当たりが有った。


アレ(・・)か〜〜!)


 あれだ、確かに俺は神様と再会する約束をしている。しかも、十の権利を一つ消費して……だ。




ーー絶対に果たされる『確約』として。




 経路(パス)とやらが何なのか分からないが、繋がりを示すものであれば、がっつり繋がっているように見えるだろう。



「……アーリス? 身に覚えがあるようだが……」



 硬直の解けたランフェスの追求が来た。


(……どうする? 死後の約束とか縁起でも無いよな普通)


 う〜ん、と説明すべきか悩む。……と、ランフェスが問いを撤回した。



「いや、すまない。神との約定など、余人を及ぶところでは無いだろう。答えなくていい」



……ラッキーだ、勘違いしてくれた。黙っていよう。


……に、しても、だ。



「ナスタとの契約って不味かったんですか?」



 ナスタの慌て様は尋常じゃ無かった。だから俺も、異を挟まずに契約したのだ。


……いや、単に流されただけか。


 まあいい、それは置いといて、



「……不味いなら、止めればよかったと思うんですけど……」



 結局、アゼスターとランフェスは、契約完了まで介入して来なかった。


 不満気に両者の不手際を指摘する。



「……気付いていなかったのか……あのマナの流れは結界と同じだ。こちらからは干渉出来ない」



……なんと。


「すごかったぞ、竜巻みたいだった!」

「ぐるぐるしてたよ?」


 ユーシャとリリアも見ていたようだ。



「あれ? じゃあ何で契約したのが判ったんですか?」


「眼の色が違う」


「……はい?」



 意味がわからん。



「今、君の眼は濃い紫だ」


「ーーなっ⁉︎」



 ダダッ、と姿見まで駆け寄る、


「おおぉぉ……!」


 見ると、確かに黒から紫に変わっていた。


 黒髪に濃紫の瞳。なんか魔王っぽい。



「お〜、本当だ、……でもよく見ないとわかんないな」

「アーリスかっこいいよ!」



 二人が寄ってきて、一緒に俺の眼を確認する。



「確実とは言えないが、眼の色はその者の属性が出やすい。……異種族が一番わかりやすいな。髪にも色が出る」



 言われて、リリアを見てみる。


 左右をお団子にして花を飾った、ピンク色の髪。


ーー赤い瞳。


ーー身長ちっちゃい。


ーー巨乳。


ーーあ、ちょっと赤くなった。



 うん、かわいい。



(成る程、リリアは『火』?)


なに(・・)が成る程……、……そうよ。異種族は生まれた時から、属性が決まってる。倭人族は火ね》


(……じゃあ、エルフは生まれた時から『水』なんだ)



 ランフェスが、『エルフの属性は水だ』と言っていたのを思い出した。



《正しくは『木』か『水』ね。矮人族(ドワーフ)が『火』。獣人族(セリアン)は『土』。そして、有翼族(エルゼン)が『風』》


(……エルゼン?)


《腰の辺りに『翼』のある種族よ》



 そんな者まで居るのかアスガンティア。



《…………ねえ……》


(……何?)


《見過ぎじゃない? リリアが真っ赤なんだけど……》



 気付けば、耳まで真っ赤にして、もじもじするリリアが目の前に居た。


 その隣で、ユーシャがニヤニヤしている。



「あっ! ごめん、リリア。見過ぎた」


「……うん……」



 いかん、なんか妙な空間に変貌を遂げつつある。



「……席に戻ろうか?」


「……うん!」



 ユーシャが、「なんだ、もう終わりか〜」とか言ってるが、スルーだ。席に戻ろう。


 席に戻ると、笑顔のランフェスが待っていた。



「続けても良いかい? アーリス」



 微妙に黒い笑顔。揶揄の色を感じる。こっちもスルーだ。



「お願いします」


「……君のマナの量は、私達の想像の遥か上を行った。普段の成前式は、淡く光を帯びて終わる」



(げっ、……バレてんじゃん)


 マナのアドバンテージが微妙に漏洩していた。


(どこでバレた?)


 こっちの方は心当たりが無い。



「……ハウゼ医師から報告を受けていた」



 俺の顔を読んだランフェスが、しれっと解答を寄越す。


(……最初からじゃねーか)


 俺がどうこうという次元じゃ無かった。


「おじいちゃん!」

「そんなにマナ持ってんのか……リリア、今度アーリスに奢らせようぜ」

「あたし、新しい斧欲しい!」

「俺は本棚!」


 遠慮と手加減が吹き飛んだ、二人の声が聞こえる。


(……それくらい良いけどね)


 俺に出来る事なら、何でもしてやりたいと思う。



《……歪んでる》


(……え?)



 ナスタの呟きが届いた。



「……契約した属性が『土』であれば良かったんだが……『風』か」



 今度はランフェスの声。


 10人だかを聞き分けた偉い人じゃあるまいし、目が回りそうだ……が、ここはランフェスだろう。



「風って良くないんですか?」


「……ナスタには悪いが「ストップ」」



 ランフェスの発言を、ナスタが鋭く制した。


 ナスタの周囲が、陽炎のように揺らめく。



ーー『怒気』。



 肌で感じた。


 その場の皆が硬直する。



「舐めるな、人間」



 苛立ちを隠さぬ威圧。


 室内の『圧』が上がる。


(ナスタ……?)


 愛らしい外見からのあまりの変貌ぶりに、どう対応すれば良いか分からない。



五精族(エレメント)は素力の調整役(バランサー)精霊(スピリット)は契約を尊重して人間に付き従う。……けど、妖精(フェアリー)は違う」



 ランフェスを視線で縫い止めたまま、ナスタは言った。



「放って置けば、いつまでもマナを貯め込む人間には辟易としているの。悪いとは言わないわ、あなた達の生活は理解しているつもり。でも、それだけでは『循環』しない」



 ナスタが、その小さな指をランフェスに突き付ける。



「人間から放出されたマナをエーテルにして龍脈に還す。それが五精族(エレメント)の役目。精霊が人間と契約するのは、その為なの。……ね?『対等』でしょ? 勘違いしてない? 五精族(エレメント)は人間に使われる(・・・・)存在じゃない。目的を持って人間と契約してるの。『下』に見られる謂れは無いわ」


「……失礼致しました、ナスタ嬢。私の不明をお赦し頂きたい」


「ん、オッケー」


「軽っ⁉︎」


(いいのか、それで⁉︎)


「別に良いわよ。人間と五精族は対等(イーブン)だって解ってくれれば。……あなた達もごめんなさいね、びっくりした?」



 ユーシャとリリアに向き直って、ナスタが謝った。



「いや、まあ、ちょっと驚い「かっこいい!」」



…………はい?



「ナスタちゃん、仕事のできるお姉さんみたい!」


「ありがとう、……ふふふっ! 異種族はやっぱ変わってるわね」


「あたし、倭人族のリリア!」


「五精族のナスタよ。改めてよろしくね、リリア」


「うん!」


「「「………………」」」



 あそこだけ空気がおかしい。



「……良い時間だな、昼食の手配をしてくる」



 ランフェスがそう言って席を立った。



「みんな希望はあるかい?」


「「カレー!」」



(昼からかよ)


 俺は夜派だ。


……けど、料理人の負担を増やす程のこだわりでも無い。



「……俺も同じので」


「わかった。この部屋に持ってくるから、みんな外に出ないように」



 ランフェスが俺達のお昼の為に退室した。


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