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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第一章 ~『転生』~
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『意識外の難問』

「成前式の準備をしてくる」と言って、ランフェスは出て行った。


「迎えに来るまで、外に出ないように」と、注意も頂いた。


(つまらん……)


隣の学習室で、本を漁りたかったんだが……、


「……って、ランフェスに頼めば良かったじゃん」


本くらい取ってきてくれただろうに……、相変わらず判断鈍いね、俺。


「……しゃーない、ナウゼルグバーグの事でも考えるか」


レーゼルの最期を思い返すのは、正直気が進まないが、囮の俺が何も考えない訳にもいかない。






レーゼルが実際に見た攻撃方法は、黒い靄と体当たり。咆哮とやらは、結局使われず仕舞いだった。


(何で使わなかったんだ?)


鏡の前まで移動する。


黒髪、黒眼の小年が映っていた。


(これが、印か)


首に、黒いチョーカーの様な痣が見える。手で印を撫でながら、見慣れた身体を観察する。


(……女顔だな)


レーゼルはアゼスターの様な、髭の似合う大人になりたいらしいが、難しそうだ。精悍なアゼスターより、美形なランフェスに似てる。ランフェスも髭は似合いそうにない。


(10歳の割に筋肉もそれなりに付いてる……つーか、俺、負けて無い? 腹筋薄っすら割れてんだけど)


服を捲って、色々確認する。


(……外傷はあんま残って無い……どころか、一つも無いな……?)


最初にハウゼさんが色々治療していたのだろうか?


起きた時に何も感じていなかったから、異常は無いと思うが、念の為に、身体を捻ったり曲げたりして、痛みや、しこりを探す。


(………………)


少し思うことがあったので、下履きを捲る。


(……あ〜〜、うん、ですよね)


わかっていたが、男として確認せずにはいられなかった。


(俺はどれぐらいの時だっけ? 13か14?)


……出来れば、早めに成長して欲しいと思う。







盛大に脱線したな……、思考を戻そう。


(懸念の一つは、やっぱり咆哮か)


しかし、これは既にランフェスがエルフを手配しているので、対策済みと考えて良いだろう。


聞こえなくなればいいだけだ。レーゼルの時と違って、耳を塞ぐ事に制約も無い。


(……もう一つ)


レーゼルが、ユーシャとリリアを確認した時。


俺とレーゼルで、この時間に対して差異が発生する。




レーゼルの意識では、あれは5秒程度の事。


俺から見ると、20秒(・・・)以上確認に費やしている。




(何だ? この差は?)


レーゼルの記憶に妙なところは無い。違うのは、おそらく体感だ。


(これだけ時間を、短いと感じている体感時間が…………いや、違うな)


今、俺はレーゼルと身体を共有している。体感時間であれば、同じように感じなければおかしい。おまけに走って移動しているから、距離で逆算可能だ。5秒以上走ってる。


(………………思考速度か?)


この時のレーゼルは、何か鈍い。間延び、とも違う……寸断でも無い。


(……別に思考が途中でぶつ切れてる訳じゃ無いし、間隔? ……あ、これだ)


俺から見ると、考えが細かくて、間が長い。


「……………………なんだこれ⁉︎」


気付けば異様だった。本人が気付かないまま、思考時間が伸びている。


(……駄目だ、レーゼルの意識では思考は全部繋がってる。切れて無いし、ブランクも無い……なら、何で結果が変わる?)


時間停止? 違う、身体は動いてる。

思考停止? 違う、思考は連続してる。


(……気持ち悪い……答えが出てるのに、問題がわからん)


「…………あ、そっか、移項すれば良いのか」


前の世界の義務教育、ありがとう。俺に方程式を教えてくれて。でなければ、この発想は無かった。


「求めるXを=の次じゃなくて、前に置けばいい」


=の次は既に出てる。時間の誤差だ。


(なら、5秒を20秒にした方法じゃなく、する方法を考える)


考える式は、


[20=5+X]じゃない、これは結果が出てる。


[X=15]こっちだ、このXを作ればいい(・・・・・)


(本人に意識させずに、時間を伸ばす。何でもいいぞ〜、出来るかどうかなんて、どうでもいい。答え(このX)になりそうなら、何でもいい)


暫し黙考する。





(……結構出てくるもんだなぁ)


「『洗脳』『催眠』『意識介入』『サブリミナル』『幻覚』あと、『ペテン』かな? 異世界的な『ズル』『チート』……俺の脳味噌じゃこんなとこか」


正解があるかは不明だが、心構えは出来る。


「……ナウゼルグバーグか?」


原因が他に考えられない。レーゼルが視線を切った時に何かしたんだろう。


「……絶対に目離さない方がいいな」


気付けて良かった、何をされるかわからない。


対策は思いつかないが、気に留めて置こう。



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