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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第三章 〜『胎動』〜
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『精霊術が出来るまで・その2』

 喧々囂々(けんけんごうごう)と我が家の談話スペースを賑わす妖精(フェアリー)達。



「 “スーッ” でしょ!」

「 “ふ〜っ” よ!」

「 “ドーッ” だ!」

「 “ひゅ〜” !」



 どいつもこいつも譲る気が無い上に、主張が感性一辺倒なので話がちっとも進まない。リリアが楽しそうに眺めているが、放置し続ける訳にもいかないだろう。……このままほっといて結論が出るとも思えなし。


 シャリアの淹れてくれた紅茶を一口飲み、ほっと一息ついてから、切り出した。



「……よし、わかった」

「「「「やっぱり私のが!」」」」



 そうじゃね〜よ、擬音妖精共め。



「先に進もう。神様とやらから届いて、その後は?」

「……最近託宣のあった精霊術に、『投影』というものがあります。それを例にあげましょう」

「……投影?」

「はい。水の精霊術です」

「――ッ!?」



 隣りで静かに控えていたシャリアが、ビクッと反応した。



「……まだ通達の来ていない精霊術です」

「…………成る程」



 水の精霊使いであるシャリアが知らないという事は、まだ王族から公開されていないという事だろう。先立って情報が得られるのは、その属性の行使者にとって大きなアドバンテージになる。


……ただのラグで、明日明後日にはあっさり通達があるかもしれないけどね。



「託宣で告げられた『投影』の効果は『対象とする生物の心の内面、または考えをマナとして現す』というものでした」

「――えっ!?」

「――んなっ!?」



 凄すぎる。つーかヤバすぎないか?


(水の使い手に一切の虚偽が通じなくなる……相当厳しくなるぞ)


――『嘘が通じない相手』。


……人間から見て、この上無く付き合いづらい相手だ。この精霊術が王族から公開されれば、属性が水で固定された長耳族(エルフ)や、その使い手達は確実に距離を置かれるだろう。


(木の《審問》と同じように、公開の範囲は制限されるだろうな……)


 そこまで思考を進めた所で、



「そんな事出来ませんけど」

「……あぬ?」



 ナチュラルに上げて落とされた。何だ出来ねーのかよ。



「託宣は五精族(エレメント)の能力を考慮せずに告げられます。だからこそ、私達妖精(フェアリー)が一度検証し、精霊術として叶う形に直す必要があるのです」

「結構無理難題が送られてくるのよね〜」

「この託宣も、『自身の記憶にある光景を水に映す』という内容に変更しました」

「他人の心を覗くなんて、とてもじゃないけど再現出来ないものね」

「毎度毎度無茶言いやがるよなー」

「………………」



 色々と思う事はあるが、考察は後だ。



「神様から託宣が届く。その内容を吟味して、自分達で実現出来るレベルまで落とし込む。……その後は?」

「その精霊術の行使に必要なマナと、『等級(グレード)』を決めて神様に返します」

「……等級(グレード)?」



 また何か単語が増えたぞ?



「アーリス様、等級(グレード)とは精霊術士の『格』の事です」

「必要な等級(グレード)に達していないと、言霊を唱えても精霊は応えません」



 シャリアが加わり、等級(グレード)について解説してくれた。



 等級(グレード)は、精霊術の行使限界を示すもので、より高位の術が使いたければ、契約陣で昇級試験をクリアする必要があるそうだ。


 下級:11歳〜 ハ級(モノ)七級()六級(トリ)

 中級:13歳〜 五級(テトラ)四級ペンタ三級(ヘキサ)

 上級:15歳〜 二級(ヘプタ)一級(オクタ)特級(ノナ)


 と、こんな感じで定められているらしい。



「……あれ? ヘキサで三級なの?」



 ヘキサって6じゃなかったっけ? ペンタも5だったような……。



「ああ、人間は一等とか一級とかで、『1』を優れていると判断するみたいだけど、五精族(エレメント)は違うから」



 と、ナスタ補足。



「積み重ねた時間・経験という意味から、数字を減らすのでは無く、足す数え方をするのよ」

「人間の社会では馴染まなかったらしく、結果このように乖離してしまったみたいですね」

「は〜……、ややこしいな」



 ま、言わんとする所も分かるし、ついていけない程難しい事でもない。寧ろ人間より妖精の方が正しいんじゃねーか、これ?



「………………」

「……シャリア?」



 何か視線を感じたのでそちらを見てみれば、シャリアが驚いた表情で俺を見ていた。



「どうした?」

「いえ!……何でもありません……」

「……そう?」

「…………はい」

「……」



 俺に何かを感じたように見えるが、聞いても答えない辺り、大した事じゃないか、ここで語る事じゃないかのどっちかだろう。


(……無理に聞き出す必要も感じないし、判断はシャリアに任せるか)


 命令や強要は好みじゃないしね。


 って事で、話題を逸らす意味も含め、改めて等級(グレード)に注目する。



「……そいや、年齢で上限があるんだな。シャリアは……六級(トリ)?」



 優秀だし、年齢制限内での最上位を取得していそうである。



「はい、……こちらを」



 そう言って、懐から一枚のカードを取り出した。


 何だろう? と、受け取って検分してみる。


(…………へえ)


 石・木・紙のどれとも適合しない材質の黒いカード。一番近いのはプラスチックだが、アスガンティアにプラスチックは存在しない筈だ。……多分。


 その原料不明なカードの表面には、発光する文字で、


 氏名と種族。

 契約した属性と等級(グレード)

 職業と資格。その『段位』。


……と、シャリアのステータスが簡潔に書き留められていた。


 さながら、アスガンティアの運転免許証といったところか。



「……信頼されてるのね〜」

「はい?」



 黙々とシャリアのカードを眺めていると、いきなりパルナさんがおっとりとそんな事を口にした。なんのこっちゃ?



「『能力証明章』は人に見せる物じゃありません。家族にすら秘匿するのが普通です」

「何が出来るかをひょいひょい公開したら、簡単に対応されちゃうでしょ〜?」

「上の人に要求されても、開示するのは必要な所だけよ」

「…………そうなの?」

「……///」



……そうらしい。ばっちり見た上に焼付までしちゃったんだけど……。



「え〜と、有難うシャリア」

「……はい///」



 周りからこんな風に評されるとは、思ってもいなかったのだろう。何か果てしなく気まずそうである。


……恥ずかしがるシャリアはとても眼福なのだが、俺まで参加して弄るのは流石に可哀想だ。



「能力証明章って、何処で貰えるの?」



 空気を変える事を意識し、何気無い感じで明るく聞いてみる。



「精霊との契約が成立した時か、何らかの資格を獲得した時に、神殿所で発行されます」

「……妖精は対象外?」



 ナスタと契約したのに貰ってませんが。



「資格の時は獲得と同時に発行されます。が、契約だけの場合ですと、発行は自己申告になります」

「何でまたそんな……」



 一元化しろよ、面倒くさい。



「資格は人間の側の管轄で、契約は五精族(エレメント)の管轄だからよ」

「……どういう事でしょうか? ナスタ先生」



 小声で尋ねる。


 子供には退屈な話だったのだろう。リリアと……リリアにつられたのか、その上のキサラまで寝てしまった。みんなも俺の態度から気付いたらしい。



「……精霊術は危険だから。五精族(エレメント)は等級で、人間達は資格で制限しているのよ」



 声を潜めた。


……まだまだややこしい事情がありそうである。

という事で、porurai様より提供された精霊術は妖精の検閲に引っ掛かっちゃいました。オオウΣ( ̄。 ̄ノ)ノ


ちな、〔 読者=神 〕なんて展開は無いです。

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