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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第三章 〜『胎動』〜
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『精霊契約・その1』

 寝坊助してたリリアとトリアを叩き起こした後、みんなで朝食と飲茶を済ませ、そのまま契約室に直行した。



「ここが契約室か!」

「……何興奮してんの?」

「興奮せずにいられますか!?」



 前の世界ではまず考えられない用途の部屋。


――『契約室』。


 文字通り、契約する為の部屋だ。


 夢と浪漫が詰まった部屋だ。


 わくわくしながら、いざ! オープン・ザ・ドア!!



「…………(くら)っ!?」



 真っ暗でした。


 光源の無い部屋の中、目に付いたのは床一面に描かれた、淡く輝く紋章陣だ……っていうか、それ以外に何も無かった。


(マジで契約の為の部屋なんだな〜)


 ズカズカと入室し、暗い部屋の中でやたら自己主張の激しい紋章陣を検分する。


……かなりデカい。直径で5mはあるだろう。


(五色の紋章陣は初めて見るな……)


 五角形がベースの紋章陣で、赤、青、紫、緑、黄と、均等に五つのエリアに分かれている。考えるまでも無く、五つの属性を示しているのだろう。


 興味深いのは中央の部分で、穴のように黒で丸く塗り潰されていた。……何かを暗示しているような気がするのは気のせいかな?



「早速始めましょ。リリア、契約陣の火の領域に入って」

「う、うん……」



 珍しく緊張気味のリリア。抱えていたトリアを床に降ろして、契約陣の赤のエリアに向かって歩いて行った。シャリアもそれについていく。



(本当に大丈夫か?)

《何をそんなに心配してるのよ……平気だってば》

(うう……)



 気分は娘の初舞台を見守る父ちゃんである。


……やばい、むっちゃ緊張してきた。



(……貴族なら誰でも契約出来るんだよな?)

《そうね、貴族の血統なら誰でも契約の権利を持ってるわ》



――シャリアに促され、リリアが赤いエリアに入った。



(…………リリアは貴族の血統なんだよな?)

《そうよ、だから安心なさいな。リリアには間違いなく資格があるから》



――リリアが契約陣に両の手をつく。



(………………絶対に失敗しない?)

《やっっかましい奴ね! 大丈夫だってば!!》



――詠唱が始まった。



《……人間の『血統』と、五精族(エレメント)の『血統』では意味が違うわ》

(……へ?)



――「我、五精族(エレメント)に願い奉る」



五精族(エレメント)が見るのは魂の系譜…… (マナ)の中に『貴族の因子』が含まれているかどうかを見るの》



――「甲、リリアと」



《この因子は遺伝で引き継がれるから、血族で考えても的外れって事は無いんだけどね》



――「乙、火の属性霊との」



《貴族の因子は五精族(エレメント)が見ればすぐに判るものよ。リリアは間違いなくその因子を持ってる。絶対に成功するから、ぴーぴー言わずに見守ってなさい?》



――「五精の契約を結び給え!」



 リリアが契約陣にマナを送った。それに呼応して、火の領域が眩しい程鮮やかな真紅に輝く。直後、ズズっと契約陣の一部が盛り上がった。


(おお、何か(・・)出てくる!?)


 ワクワクが止まらない。紛れも無く、これは『召喚』だ。


 固唾を飲んで見守っていると、その何か(・・)は、まるで薄い湯葉を持ち上げるように、ちょこんと可愛らしく顕現した。


(あれ? 何かちっちゃい?)


 リリアがマナの供給を止めたのだろう。徐々に輝きが治まっていく。同時に召喚された精霊の外観が浮き彫りになった。



「…………蛇?」



 四肢の無い縄状の細長い姿形。


 毛髪の類が一切無い滑らかな体躯。


 他の形容を許さない程、どっからどう見ても蛇だった。



「……あ、う?」



 薄く頬を紅潮させたリリアの喉が、戸惑いの強い音を鳴らす。



「………えっと……」



 少し逡巡した後、躊躇いがちに両手を広げて、自分が召喚した精霊を招いた。



「……おいで〜」



 精霊はその招きに迷わず応じた。


 主人(リリア)の身体目掛けて一直線に飛翔する。


(――うおぉい!?)


 傍から見ると、蛇がリリアに襲い掛かった様にしか見えない。内心かなり吃驚したのだが……、



「おお!?……やった? やった! 契約出来たよ〜!」



 精霊を抱き抱えて、ぴょんぴょんと跳ねながら無邪気にはしゃいでいらっしゃる。


……何事も無く、契約は無事に完了したらしい。


 良かった良かった。

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