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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第三章 〜『胎動』〜
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『新居初日』

 引っ越してから一夜が明けた。


 チラリと時計を見れば、時刻は6時ちょい過ぎ。


 起きるにはちょっと早い時間なのだが、フラットから完全覚醒してしまった。二度寝は難しい。



「…………起きるか」



 諦めて布団をばさり。


 寝台の隣、洋燈(ランプ)の横にある水差しから水を注いで、ぐいっと飲む。


 最近気付いた事だが、アスガンティアには『歯磨き』の習慣が無い。



 動物は食べなければ生きていけない。


 食べるには咀嚼しなければならない。


 そして、咀嚼には歯が必須。



 生涯使う重要な器官で、損なえば日常に相当の負担が課せられる事になる。虫歯はかなりたちが悪い疾患だ。


(昔は大変だったらしいからな〜)


 アスガンティアではなく前の世界の話になるが、大昔の虫歯への対処法は、かなり酷い有り様だったらしい。


 歯の神経を『歯虫』と誤認して穿刺したり、歯痛を治めるのに、お灸や焼灼法なんて処置を行っていたそうだ。想像するだけで痛え。


 適切な治療法が確立されていればいいが、根底の常識がズレてる異世界にそんなもんは期待出来ない。


……考えすぎだったけど。



 医療の発展は、為政者に課せられる命題の一つだ。


 疾患の発症から、

 傷病の共有→

 原因の特定→

 要素の解明→

 対処の研究→

 治療の確立→

 予防の周知と実施。


……ちょこちょこ前後するだろうが、ザックリこんな感じだろう。


 重要なのは予防の方法。この位置で何をしているかで、その国、その地域での文明水準が推し量れる。


 有用・有効な知識や技術が、上位の支配階級に独占されるなんてのは世の常だろう。


 医学関係なんて最たるもので、為政者の才覚次第では、予防方法が民間に広まるまで、かなりの時間が掛かったりする。


 貴族が実権を握るアスガンティアでは、最悪民間まで予防法が届いていない可能性もあったし、「アスガンティアには歯磨きの習慣が無い」と思い起こした時は、かなりドキッとしたが杞憂だった。


 朝晩と毎食後のティータイム。この時に飲む水やお茶には《浄化》が付与されていて、これが食後の口内を綺麗にする『歯磨き』に相当するらしい。


……良かったよ。いや、本当に。


(特に10歳前後は生えかわりの時期だしな。気を付けないと、永久歯が変な生え方する可能性がある)


…………嫌な想像をしてしまった。何時もより念入りに口の中で回しておこう。




 ガラガラごっくんと口内洗浄を終えたら、ぐりぐりと首と肩をほぐしつつ、寝台から降りて近くの窓へ。


 窓際にある《木動》の紋章陣に触れる。


 適当にマナを送ると、ずりずりとカーテンが持ち上がっていった。



「やっぱ豪快だなぁ……」



 昨晩シャリアが動かしていたので、どういうものかは知っていたが、何度見てもダイナミック。


 高い天井を活かしたのかどうかは知らないが、この部屋のカーテンは横ではなく、縦に捲るように動く。


 カーテンの両端から伸びているワイヤーが、天井付近の木材のシャフトにくるくると巻き取られていき、最終的にはハンモックのような状態になるのだ。目が楽しいです。


(ん〜、でも外の景観はイマイチ……)


 窓の外を見て胸中でぼやく。


 敷地内の植林エリアの向こうは、何も無い未開拓平原で、その先には北の街壁が建っているだけである。見どころゼロだった。


(……着替えっか)


 今日のスケジュールを考えながら、クローゼットに向かう。


(午前はリリアの訓練と精霊契約。午後は書類整理……)


 訓練となると、動き易い服の方が良さそうだ。


 クローゼットから手頃なのを見繕って、ちゃっちゃと着替え始める。



「アーリス、おはよう」



 着替えていると、シャリアの部屋に繋がる直通路のドアから、ナスタがひょこっと顔を出した。



「おはよう……って、どっから出て来てんだよ」


「シャリアと今日の予定の打ち合わせしてたのよ」


「ふ〜ん」



 言ってる間にササっと着替え完了。



「リリアの精霊契約を先にしたいんだけど……どう?」

「別に構わないけど、何で?」

「その後を訓練にすれば、精霊も試せるじゃない」

「いきなり精霊の行使とか、大丈夫か?」



 火属性はデリケートだって聞いた事があるけど……、



「何言ってんの、使わなきゃ何時迄も上達しないわよ?」


「確かに……って、リリアは本当に精霊と契約出来るのか?」



 精霊契約は貴族しか出来ない。が、リリアは貴族ではなく、祖父から血統の繋がりがあるだけだ。


 失敗してがっかりする姿は見たくないんだけど……。



「大丈夫よ。()()()()()()()、リリアにはちゃんと『貴族の資格』があるから」


「う〜ん、なら良いけど」



……あれ? 今何か違和感があったような……、



「御主人様、入室しても宜しいでしょうか?」



 違和の正体に気付く前に、直通路のドアの方からシャリアの声が聞こえた。



「着替えはもう終ってるから、入って良いよ」

「失礼致します」



 ガチャリとドアが開き、シャリアが姿を見せた。


……いつもの侍女服なんだけど、昨日お風呂で全部見てしまった所為で、無駄な想像力が働いてしまい直視し辛い。



「……えっと、おはよう、シャリア」



 なるべく表に出さないように挨拶をこなす……が、



「……おはようございます///」



 視線から速攻でバレたらしい。耳を赤くして、ちょっと俯きがちになるシャリア。


……可愛いなぁ、俺の嫁さん。エルフっ()だし、もう駄目かも知らんね、これは。



「シャリア、さっき話た通り精霊契約を先にするわ」


「はい、わかりました。朝食の支度の後、直ぐに準備致します」






 こうして、新居での生活がスタートした。

ひ〜〜、無茶苦茶梃子摺った。

あ、この時期確定申告の為更新ペース落ちます。

よしなに。

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