表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第三章 〜『胎動』〜
110/216

ナスタ『霊界』

 アーリスの家に移住したその日の夜。子供達が寝静まったのを確認したナスタは、契約室の紋章陣に向かった。


《シャリア、少しの間2人をお願い》

《はい》


 長耳族(エルフ)であるシャリアは睡眠時間に融通が利く。今日だけなら任せても大丈夫だろう。


(ようやくね……)


 ナスタが欲した『拠点』とは、アーリスの邸宅では無く、この契約の紋章陣の事だ。


 貴族にとって精霊との契約は欠かせない。契約後も都度の『昇級』で必要になるので、貴族の家には必ず設置される。


 五精族(エレメント)と交信する為の紋章陣だが、それは同時に五精族の郷へ至る道でもある。


 身体(かたち)のある(そんざい)では通る事の出来ない(あな)


 五精族(エレメント)だけが通れる『霊界へ至る経路(レイライン)』。


 契約室の中央、大きく描かれた紋章陣の中心へ、ナスタは踊るように飛び込んだ。


 郷愁、と評するには些か語弊があるが、それでも懐かしいと感じるだけの時間が過ぎていたようだ。


(………………)


……もうすぐ、結果が示される。


 無数の星に似た灯で溢れた漆黒の路を、ナスタは期待と不安を等しく抱えて突き進んだ。


 有翼族(エルゼン)の集落を飛び出してから、これまでに費やした時間。それが有為なものであったか、或いは、


……無為なものであったかを。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






(…………着いた)


 到着を確信し、ナスタは引き絞っていた意識を解放した。認識を広げ、知覚する。


 五色の属性で彩られた、五精族の世界。


 全ての魂の故郷とも言える、アスガンティアの真奥。



――『霊界』。



 其処には空も大地も無い。


 方角は(おろ)か、上下すら危うい空間。常人であれば、半刻と保たず発狂に至るような場所。


……そんな世界に、その『柱』は在った。


 比較に足る対象が存在しない此処では、単一のそれを推し測る術が無い。


 立っているのか、或いは横に倒れているのかすら判らない。大きさも、何時から在るのかも、何者が創ったのかも不明。あやふやで、不可思議な五角の柱。


 妖精(フェアリー)達が『霊柱』と呼ぶその柱には、何物にも変えがたい無二の特性があった。



『各面がアスガンティア全土の属性総量を示している』。



 人間は疑問に思わないようだが、『属性』は事象を分類するだけのものでは無い。属性そのものに意味がある。




 赤の火属性。

――失われれば、世界は零下に呑まれ、死滅する。


 青の水属性。

――失われれば、全てが枯渇し、現象は脆く崩れる。


 緑の木属性。

――失われれば、実りは得られず、生命は飢餓に喘ぐ。


 紫の風属性。

――失われれば、万物が停滞し、万象が澱み腐敗する。


 黄の土属性。

――失われれば、大地は浄化されず、大気は毒素で塗れる。




 属性はアスガンティアの活力(エネルギー)だ。損なえば、あらゆる存在がその(ことごと)くを失うだろう。


(――ッ、おねがいっ)


 祈り込めて霊柱に向き合う。


 五角形の柱。

 五つの面。

 属性の五色。

 その内の一つ。


(…………あ)


 風の属性を示す『紫』。

 失われ続けてきた風の力。


(――あぁ!)


 今尚、他に比べて圧倒的に劣る値。

 だが、見間違う筈もない。


(……ひ……ふ、ぐぅ……うぅぅ、ぅ……)



――増えていた(・・・・・)



 自分が飛び出した、あの時よりもずっと。


(うあぁっ、わあああぁぁぁん!)


 無為では無かった。


 自分は間違っていなかった。


 焦燥から飛び出して今迄。


 何も得られず、だがその先に出逢った主。


(……ひっ、く……)


 アーリスのマナで風の属性は回復した。


 自分の力が証明された。


 属性の象徴である霊柱が示した。



――その行いは救世に繋がると。



(……ありがとう、アーリス)


 結果を見た。


 確証を得た。


(――っ!!)





   『この道は正しい、と霊柱が告げた』





「シーレ!」



 ならば、後は突き進むだけだ。



「キサラ!」



 焦燥はもう要らない。



「テルコ!」



 迷う必要ももう無い。



「パルナ!」



 五精族(エレメント)の使命を果たそう。



「集まって! 五属性の盟友たち!!」



 世界の活力を取り戻す為に、


 霊柱を色濃く染める為に、


 素力の調整役(バランサー)


 属性の観測者(オブザーバー)



「……久しぶりね、ナスタ!」



 妖精(フェアリー)達が動き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ナスタ編かな?もしくは妖精編かな? どっちにしろナスタ視点が見れそうで楽しみです! [一言] 更新、頑張ってください!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ