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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第三章 〜『胎動』〜
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『アーリス邸浴場・その1』

 俺がデザインした渾身のバスルームは、玄関から見て正面2階、中央通路の左側にある。


 楽しみは後にとっておく的な意味で、散策の時にこの部屋はスルーしていた。


(どんなっ♩ 感じっに♫ なったっかな〜?)


 脱衣所で籠に服を脱ぎ捨てて、いざ!


〈ガラガラ〉(→)


 曇りガラスのスライドを横に開き、



「…………………………」



〈ガラガラ〉(←)


 閉める。


(…………orz(おるつ)……)


 そして、土下座チックに両手を地面に付いて項垂(うなだ)れた。




 この浴室ならぬ浴場は、白い大理石を中心に『室外での入浴』、要するに『温泉』をテーマに造られている。


 担当した内装技師達は、かなり気合いを入れて職務に励んでくれたようだ。一瞬「あれ、外に出た?」と訝しむ程に見事な仕上がりだった。



――部屋一面がまるで湖のように湯で満たされていた。


――腰掛けを兼ねた白い柱が幾本も立ち並んでいた。


――展望浴槽に繋がる手摺り付きの螺旋階段が、大樹に巻き付く蔓のように連なっていた。



 俺の語彙力でこれを纏めて表現すると、


 『中央に大樹を据えた水の神殿』


……って感じになる。すごくファンタジー系のイメージイラストっぽかったです。


 更に、そこで沐浴する2人の妖精……いや、この世界マジもんの妖精が居るから、形容するなら天使(エンジェル)が正解か?


(……何にせよ、流石異世界。本気でファンタジーやると、ここまでクオリティーが上がりやがりますか……)


 神聖と言うか神秘と言うか……近寄り難い雰囲気が、絶対領域の如く浴場を覆っている。加えて、覗き見しているかのような背徳感まで、そこにプラスされるのである。入れるわけねーだろ!?



「……何してんのあんた?」



 遅れて来たナスタが、項垂(うなだ)れた俺を見下ろして呆れた口調で呟いた。



「……ナスタか……俺はもう駄目だ……」

「いや、意味わかんないんだけど……入んないの?」

「なんか別世界に繋がってた」

「……はあ?」



 異種族の美少女達。


 当然だが、彼女達は入浴中につき『全裸』である。


 (リリア)(シャリア)の肌が対比で一層際立っていて、チラ見だけで(ノック)(アウト)された。


(あかんやろ……)


 ここには『謎の光』や『湯気』や『泡』といった、倫理の防壁も存在しない。フルオープンである。


……せめて湯気さんには頑張って欲しかったな……。



「……いつまで素っ裸で(うずくま)ってるの? 2人とも待ってるんだから、早く行きなさいよ」

「いや、何と言いますか……わたくしめが入って良い場所とは到底思えずですね……」

「あ〜っ! もうっ! 面倒臭い奴ね!」



 顳顬(こめかみ)をひくひくさせながらナスタが右の拳を握った。



「い〜から行け!!」



〈ガラガラ〉(→)


 風の力で戸が横に開いた。



「ちょっ!? ナスタああぁぁ!???」



 見えない力(風)で吹っ飛ばされる俺。


 何度も言うが、アスガンティアには基本的に洗体の習慣が無い。


 この浴場にも洗い場は存在せず、あるのは掘り下げられた浴槽へお湯を戻す為の、3・4歩程度の斜面があるだけだ。


 なので、たたらを踏んで留まるには距離が足りず……、



「ちょっ、ちょっ、ちょぉぉ!?」



 結果、ザブンと頭から突っ込む羽目になった。


(ぐ、げほっ! ヤバ、入った!)


 いきなりだったから、事前に酸素を確保する余裕も無かった。お湯を気管に入れて咽せてしまう。



「ゲホッ、ゲホッ…………」


「アーリス、大丈夫?」



 声からして、リリアだろう。上体をグッと起こされた。


 膝立ちになった格好で、その腕に捕まる。



(だ〜、眼にも入った! 超痛え……)


「大丈夫ですか? ナスタ、やり過ぎですよ!」



 背中を撫でられる感触……こっちは多分シャリア。


 2人の介抱に遠慮なく甘えて、回復に努める。


 呼吸を整えながら瞬きを繰り返し、眼と器官に入ったお湯を処理していく。



「…………ふ〜〜、治った。有難う2人と……も?」



 ようやく開いたその眼前に、柔らかそうな山が2つ見えた。


(――おっぱうぃ!?)


 察し、思わず赤面。



「……アーリス?」



 ぷるん、と発声に合わせて肌色の山が揺れた。


(――ぬぉ!?)


 慌てて視線を下へ……、



「――――ちょ!?」



 そのまま身体ごと湯の中にダイブ。



 人体の構造として、胸の下には当然お腹がある。


 アスガンティアの女児は、そこに深紋が描かれる。



――法によって定められた、赤で描かれる守護の紋章。



(てめぇ、リンリャス!)


 遥か昔の故人に思わず八つ当たり。仕方あるまい、どう見ても艶めかしいのだ。あんなもんを法で強制したリンリャスが全面的に悪い。そして俺は悪くない。



「おりょ? アーリスまた潜っちゃった……」

「まだ何処か痛むのでしょうか?」


(ちゃいます……煩悩とララパルしてます)



 煩悩 vs 理性



(さあ! とうとう始まってしまいましたファイナルステージ!! 勝利の栄冠を手に入れるのは果たしてどちらなのでしょうか!!)


 fightファイッ


 脳内で両者がゴングの音とともに激しいパンチの応酬を始めた。ぶくぶく。


(この勝負、先に顔を上げた方が負ける……!)


 馬鹿な妄想で、只管(ひたすら)に呼吸を我慢し続ける健気な阿呆……そんなひたむきで可哀想な俺の頭に、〈コツン〉と硬質な突っ込みが入った。



「――プハッ! 何ぞ!?」



 いいところ(?)だったのに!


 何者の仕業かと探してみれば、



「おはよう、目が覚めた? それともこのまま永眠する?」



……ナスタさんでした。コツンと当たったのは手桶だったらしい。ぷかぷかと手に纏わりついてくる。



何時迄(いつまで)も遊んでないで、さっさと洗いなさいよ……2人とも待ってるんだから」


「ん、アーリスよろしく〜!」


「あの…………よろしくお願い致します///」



 リリアとシャリアが並んで後ろを向いた。


(……!?)



――「かかったな、馬鹿め!」



 なんか、そんな嘲笑めいた波動を感じた。いや被害妄想だろうけど。


(うわ///)


「楽勝!」とか(のたま)った戯けに全力で物申したい。


(思いのほかエロいよ!?)


 此処はお風呂であって、プールではない。座って寛げなければ浴槽としての意義に反するので、お湯の(かさ)も当然それなりだ。


 即ち、膝から上を隠すものは何も無い。思わず下半身の双丘に目が向かうが、全力で自重。


……と、


(…………綺麗だな……)


 シャリアの立ち方が、あまりにも綺麗なので見惚れてしまった。


 肌の色が違う2人は、後ろ姿から得られる印象も真逆で、凛と静かに佇むシャリアとは対照的に、リリアの方は……なんか身体が揺れてる。


(――ぷっ!)


 見憶えがある。子供が「早く、早く」と催促する時の挙動そのまんまだ。


(ナスタの言う通り待たせちゃダメだな、これは)


 手桶でお湯を掬って2人に近付く。


(……やっぱヤバイな)


 後ろ向きの少女達に、手桶を構えて忍び寄る俺は、誰が見ても犯罪者一択だと思う。


(お湯をかけるだけ、お湯をかけるだけ……)


 不穏が頭をよぎったので、念仏のように唱えながら無心で挑む。


(スー……、ハー……)


 深呼吸。



「……よし、リリアから。かっ、かけるじょ!」


「い〜よ〜!」


〈ざばー〉


「おお! きもちいい〜!!」

「そ、そうか? んじゃ、もう一回行くぞ?」

「うん!」



 二度三度と繰り返して、満遍なくリリアの身体にお湯をかけていった。


 手桶から溢れたお湯が、


――リリアの肩を叩き、


――背と腕を伝い、


――肌の陰影をなぞりながら、


――下へ流れていく。



 その様をじっっくりと眺めて、


(…………うむ)


 堪能した。



……正直、これは中々に良い。


 誰が考えた文化なのか知らんが、満点どころか200点くらいの価値が見込める。


(素晴らしいな……)


 しかし、余韻にばかり浸ってはいられない。


 まだ終わってなどいないのだから。



「良し、次はシャリアだな!!」

「……ひゃい///」


《あんたって、本っ当〜に判り易い奴ね……》




……こうして俺は、アスガンティア流の夫の務めとやらを無事に果たしたのだった。

『ララパ・る』(動ラ五)

 ララパルーザを短く略したもの。


『LALLAPALLOOZA』

 スペイン語で、意味は地鳴り。


 正式な使い方とか調べたかったんだけど、全部ボクシング絡みで結果出てくるから諦めました。

 多分『激しい』とか『殴り合い』の様な意味は含まれず、まんま『地鳴り』の事だと思います。


 ま、言語なんて共通認識を手っ取り早く成立させる手段の一つでしか無いですし、多数が間違ってたらそっちに補正し直すなんてのも常套なので、某漫画のイメージそのままでも困らないかと。



PS

 ガイドラインに抵触しそうだったので、本文はかなり削りました。これならセーフでしょう(;´Д`A

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