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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第三章 〜『胎動』〜
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『書籍室整理』

 ワンダフルでゴージャスなガーデンをウォークした後、ハウスにリターン。ルームを一通りをウォッチして廻った。


 色々とビッグなのは、貴族の一般邸宅を基準としたかららしい。


 本来ならば使用人などの為に利用されるスペース。これらが半ば以上カットされ、他の部屋の拡張に充てがわれているそうだ。


……3人で住むにはやっぱでけぇんだよ。俺の感覚は間違っていなかった。


 とは言え、歩いている廻る内に、この大きさにも大分慣れてきた。要は考え方次第である。


『居住空間』では無く、『慰安施設』と認識を変えれば、見応えがあって中々に楽しい。



「では、御主人様は書室の整理を御願い致します」


「了解です」



 新しい楽しみ方を見出したところだが、いつまでも散策にかまけていられない。今日1日でいいところまで進めないと、後のシャリアの負担が増えてしまう。


 切り替えて励もう。



「リリアは私の手伝いをして頂戴」

「うん、がんばる!」

「み〜!」



……トリアは、なんかリリアに懐いた。どっちも小動物っぽいし、波長が合うのだろう。



「アーリス、行くわよ!」

「はいよ〜」



 すいすいと進むナスタの後を追っかけて、俺は書籍室まで移動を開始した。






 そして到着。



「……おぉぉおおお⁉︎」



 思わず雄叫び。


(わかってたけど、でけぇーー!)


 愛書狂(ビブリオマニア)としては、この規模の書籍室に感動しか思い浮かばない。学校の図書室など比較にならない程の大きさだ。


 しかも、全ての本棚が(から)


……神は言っている。「好きにしろ」と……。


(オーケー、ゴッド!)


 好きにするます!



「本はこっちね」



 ナスタが段ボール箱の山に向かった。「子供には重いから」と、重量のあるものは各部屋まで運んでもらったそうだ。


(ひのふの………………20かな?)


 想像以上に有る。箱の中の状態が悪ければ、1日作業になるかも知れない。



「……お、ラッキー! 分類済みか」



 箱には中身が判るようにラベルが付いていた。


 宛先、分類、数量などが開けるまでも無く判別出来る。これなら昼までには終わるだろう。



「よっしゃ、開始するか!」

「それじゃあ、わたしは応援してるわね♡」

「………………」



 いや、触れないから仕方ないんだけどさ……なんか釈然としねえ。


(ま、いいや)


 ナスタになんぞ構っていられない。


 いそいそと段ボールを開ける。



「………………」



…………感無量。箱の中には、見た事もない本が目一杯に詰められていた。


(……紙の本は久々だな……)


 電子書籍が主流になってから、俺もそれに倣った。


 場所をとらないし、一々探す必要も無い。利便性からそっちに流されたのだが……、


(やっぱ良いな……紙の本)


 電子書籍の方が明らかに優れているのに、何故か捨てきれない魅力がある。



――表紙を撫でて感触を楽しむ。


――ページを捲る音を楽しむ。


――紙の匂いを嗅いで楽しむ。


(……いや、匂いはないか)



 世には嗅いで楽しむ人もいるらしいが、流石にそこまで行くと病気だろう。



「……アーリス? 何固まってんの?」


「おっと、いかん」



 手を動かさねば。




 アスガンティアの本は装丁に決まりがある。表紙と背表紙の角に、コーナー金具を取り付けるのだ。なので、どの本も相応に値の張るものに見える。……加えて、


(…………重い)


 1冊2冊なら兎も角、纏まっていると凄く重い。本棚の前まで箱を動かそうと思ったのだが、ちょっと無理っぽかった。


(10歳だしなぁ……しゃ〜ない、足で稼ぐか!)


 取り敢えず、本日中に全ての開封&棚への納書は済ませたい。


 見分は後日だ、働け。




 箱から4冊ズボッと抜いて、本棚へ運んで何も考えず端から突っ込んでいく。


 えっほえっほと孤軍奮闘し、箱の残数が10を下回った頃……。



「……なんだこれ?」



 宛先がナスタのものがあった。


 今までの箱の宛先はアーリスだったから、余計に違和感を強く感じる。


(……確認した方がいいよな?)


 わざわざ書き分けるのだから、なんらかの意図がそこにはあるのだろう。



「ナスタ〜?」

「な〜に〜?」

「この箱の宛先ナスタになってんだけど、なんか憶えある?」

「………………ッ⁉︎ あ%#$€△キ!?!!」

「うぉっ⁉︎」



 小首傾げて思い出すように考え込んだかと思えば、いきなりよくわからん奇声を上げつつすっ飛んできた。マジ怖い。



「いきなりなんだよ⁉︎」

「見たの⁉︎」

「はい⁉︎」

「『中を見たのか?』って聞いてんの!」

「見てねえよ! まだ封がしてあんだろ⁉︎」

「絶っっっ対に開けちゃダメよ! いいわね!!」

「開けねえから落ち着け!」



 凄い剣幕である。ちょっと興味が湧いたが、後が怖いので手を出さない方が無難だろう。


 どうどうとナスタを鎮めていると……、



「――御主人様⁉︎ こちらはどうですか⁉︎」



 勢い良くドアを開け放ち、肩で息をしながらシャリアが入ってきた。



「へ? いや、特になんも無いけど……」

「シャリア! 丁度いいわ、この箱をあなたの部屋に運んで頂戴!」

「え? それナスタのじゃ……」

「わかりました!」

「……へ? え?」



 茫然とする俺をよそに、シャリアは部屋の隅の方から台車を取り出して、颯爽とナスタの本を運び出してしまった。


(……つーか、あんな所に台車があったのか)


 念話で確認すれば良かった。

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