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金?の力で無双する異世界転生譚  作者: 世難(せなん)
第二章 ~『原点』~
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転生者達

 リリアの親父さんから預かった紅玉の意匠を、自室の棚に布で包んで丁寧に保管する。



(いや〜、凄え細工だったなぁ……)



 装飾品の類いは大好きだ。アスガンティアに細工や彫刻などの高水準の芸能文化がある事に、改めて感動した。


 芸術は余裕が無ければ生まれない。衣食住とは違い、生存に必要な行いでは無いからだ。


 多くのファンタジーでは外敵が存在する。脅威を排除しきれないまま、芸能に費やす時間があるとは到底思えないのだが、それでも当然として描写されるは、人間の必須欲求として認知されている証明と言えるだろう。



(いいねぇ、人間)



 合理を望みながら、非合理を突き詰めるような矛盾。よくわからん衝動が生み出した無駄の結晶、『芸術』。この無駄に価値を見出し、感情を動かせるのが人間なのである。う〜ん、すばら!



「アーリス? ご飯にしよ〜よ」


「お? 出来たか」



 自室で耽っていると、リリアが昼食に呼びに来た。


 セベックとの話の後、リリアの荷解きを皆で手伝ったので、結局お昼は13時にズレ込んだのだ。



「あたしも手伝ったんだよ!」


「えらいぞ〜」



 と、リリアの頭を撫でてやる。



「へへ〜///」



 無邪気な照れ笑い。


 褒められて嬉しいと喜ぶ、子供の笑み。



(……婚約、ね)



 シャリアもリリアもまだ子供だ。身体……は兎も角、精神が未成熟な状態で相手が決まる事に、未だに違和が拭えない。



(でも、そんな世界なんだよな)



 幾ら納得が出来なくても、俺に世界を変えるような力は無い。前の世界と同じように、自分の周りだけで手一杯だ。



(……頑張んなきゃな)



 泣かせないように、精一杯……自分でも何を頑張れば良いのか、全然判っていないけど。


……頑張ろう。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 同刻、旅装で身を包んだレドルは、北のバドムへ続く街道を歩いていた。



(収穫だったな)



 先の楽しみな子供だった。


 同類で無かったのは残念だが、そんなものだろう。


 100年以上の時を掛けて未だ1人……やはり、そう簡単に見つかるものでは無いらしい。



(あっちはどうかね?)



 周囲に人がいないのを確認してから紋話を繋ぐ。



「《ネウレスか?》」


「《お前か……何のようだ?》」



……随分と機嫌が悪そうだ。



「《いや、ただの世間話だが……なんかあったか?》」


「《…………妹が、な》」


(またか)



『重度のシスコン』。


 転生前からそうだったらしく、文字通り死んでも治らなかったらしい。


 純血統貴族はその血統を維持する為に、身内親戚内で回すように番いを決めている。


 シスコンのネウレスは妹が可愛くて仕方ないようだ。妹と婚約出来る環境に狂喜する様は、100年を生きたオレでも引く程だった。



「《今日はレーナの成前式だったんだ……レーナが産まれた時から成名を考えていたというのに、その成名を断られたんだぞ⁉︎》」


(キモい)



 何故、オレは世間話の相手にコイツを選んだんだろうか?



(妹が絡まなきゃ真っ当なんだがなぁ……)


「《酷いとは思わないか⁉︎「成名は運命の人に付けて貰いたい!」なんて言っておいて断るなんて!》」


(そりゃ、妹の思う運命の人とやらがオマエじゃないからだろうよ……)



 指摘しても聞く耳持たないので口にはしないが。



「《ミヤと名付けよう思っていたのに……絶対似合うのに…………》」



 何かぶつぶつ言い出した。


……まったく、心底繋ぐんじゃ無かったな。



「《そうか、大変だったな。それじゃあ……》」


「《……待て》」



 聞くに耐えないので何時ものように切ろうかと思えば、珍しく留められた。



「《何だ?》」

「《今何処だ?》」

「《フロード領だが……》」

「《東に何かあるか?》」

「《あん?》」



 漠然とし過ぎだ。それではまるでわからない。



「《何かって、何だ?》」


「《いや、レーナが東方の領に興味を抱いているらしくてな……》」


「《ふむ……》」



 街道から外れ、背荷の袋から大陸図を取り出し、適当な巨木の下でそれを広げた。


挿絵(By みてみん)


「《領の名は出たか?》」


「《いや……ただ、中央よりも東の領に何かがあるらしい》」


「《……何だそりゃ?》」



 地図を開くだけ時間の無駄だった。それだけじゃ何の指針にもならない。



「《わからないんだよ! 東の空を眺めてうっとりしているんだ!》」


「《……わかった、何か見つけたら知らせてやる》」


「《本当か⁉︎ 頼むぞ、私とレーナの――》」



 途中で切った。



「貴族の令嬢の興味が何処にあろうが、オレの知ったことじゃ…………」



 そこで気付いた。



(いや……確かにおかしいな)



 流行は中央から生まれる。純血統貴族の娘の関心を惹くものが、中央より東にあるとは思えない。



(……『謎』だな)



 どんなにくだらなくてもいい。


 きっかけは何でもいい。


 楽しめればそれでいい。



(中央よりも東となると、ラロード、シャロード、ノアロードと、フロードか)



 何か新しい兆しがあるかも知れない。



(順に回ってみるか)



 時間は幾らでもある。


 何度でもやり直せる。


 レドルの特性は正直ハズレだ。


 今回は適当に流してプレイすると決めているし、次のイベントまでのんびりと旅を楽しむ事にしよう。



(5年後に会おうぜ、団長殿)



 フロード・レブズの解放。


 終末の災神、アーデベルシャールの討伐。


 歴史の変わる瞬間だ。


 参加出来ないまでも、是非近くで拝聴したい。




 開いた地図を丸めて、レドルは再び北への歩みを踏んだ。







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 アスガンティア大陸の最西に位置する『メロード領』。


 純血統貴族達の総本山。


 白銀の領主館は、その貴族達の自尊心を反映するかの如く、周辺に住まう者の心証を顧みずに(そび)え立っていた。


 その領主館の3階、領主一族の私室が並ぶ西居住棟の一室に、慌ただしく一人の侍従が駆け込んだ。




「レーナお嬢様! また問題を起こしたのですね⁉︎」


「え〜、覚えが無いよ?」



 間延びした声で銀髪の少女が振り返る。その口には、最近中央から伝わってきた棒飴が咥えられたままだった。



「お嬢様! だらしがないですよ!」


「ナジャも舐める?」


「要りません! それよりも、成前式で成名の授与を断った、と伺いましたが……」


「うん! だって成名は運命の人に付けて貰いたいもの!」


「またその様な事を……ネウレス様が「兄様は放って置いていいよ、気持ち悪いから」」



 実兄への不快を隠しもしない。貴族であるにも関わらず、感情の抑制が未熟すぎる。


……確かに気持ちの悪い人だけど。



「そんな事より、部屋の確保は出来た?」


「はい。ですが純血統のお嬢様が精霊との契約を試みるなど……」



 純血統とは、銀髪に金色の瞳を持って産まれる血統の事だ。少しでも他種族の血が混じると、この外見特徴は二度と発現しない。


 またもう一つの特徴として、精霊と契約出来ないというものがある。もっと有用な『属性術』が使える為、契約など本来は必要無いのだが……。



「いいの! 契約してみたいんだもん!」



 純血統貴族が精霊と契約を成した前例は一つも無い。試す価値もない事なのだが、このお嬢様は一度決めたら梃子でも動かない。



「……わかりました。準備は整っています。どの属性との契約をお望みですか?」


「ん〜……よくわかんないから、適当でいいわ」


「適当、と言われましても……」



 レーナは己の望みを口にした。



()()()()()()()()()()()()()()()!」






【その望みは叶う】


【特性がそれを叶える】






……その日、レーナは()()()()()()()()と契約した。



 側で控えていたナジャは、その精霊の異形を怯えながら間近で見ていた。


 黒い靄で(かたど)られた多脚の怪物。


 大凡(おおよそ)、生物としての形を成さぬ化物。



――その怪異に、レーナが命じる。



「『アニマ』! マナを集めて、全部私に寄越しなさい!」



 レーナは己の欲求を偽らない。


 自分が幸せになる為なら手段を選ばない。



「ふふふ、ナジャ! マナを集めて東に行くわよ!」



 レーナには誰も逆らえない。


 彼女が望めば、東進は覆らない。


 ナジャは、レーナを止められる者が何処かに居る事を願うしかなかった。

 少々駆け足でしたが、第二章・完!


 ここまでの読了、お疲れ様でした。


 どっかの後書きで予告しましたが、これから加筆・修正作業に入ります。


 序盤の読み返しが厳しいんですよ!(書いたの私)


 そんな訳で私の為(最重要)に読み易いように修正します。


 期間は一月一杯。


 第三章は二月の予定です。(……多分守らないな。途中で我慢出来ずに投稿する気がする)


 投稿と修正、並行出来ればいいんですが、そんな時間もスペックも無いのです。すまんの、気長にお待ち下さいませ。



 序盤の修正ですが、話の筋は変えないので、読み返しの必要は無いです。多分。


 後は……話数が100を越えましたね。(無駄に)


 著者の執筆&購読環境がスマホ、かつ仕事の合間に読み返せる文量(8分)なので、必然一話の長さはそれに合わせた感じになってます。


 とは言え、スクロールよりページ遷移の方がかったるいので、どっかの話は纏めるかもです。まだ作中一月と経ってないのに100話いっちゃったし。このままだと500話とか平気で越えそうだし。


 ネット小説で500話オーバーとか引きません?


……私は平気で読めそうだけど。


……今は書くのに忙しくてそんな暇無いけど。


 もうそれっぽく零してますし、暴露っちゃいますが、この作品、完結には『アーリスの成人が必須』となります。


……何年かかるの?


 流石に息切れが想像に難く無いので、これからポンポン時間経過早める予定です。


 他者視点減らせばいいんだけどね〜。


 私が読みたいんだ!(しょうがないね)


 こんな感じで、フラグばっか立てて完結の気配がまるで見えない本作ですが、時間に余裕のある方は今後も宜しくお願い致します。



 定例の章末後書きでした。       世難

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