境界の社
19/07/13 本文 段落 修正
19/07/16 サブタイトル変更
19/08/09 挨拶追加
19/10/21 ちょい修正
20/01/05 あらすじより*注*を移行
はじめまして(*゜▽゜)ノ
著者『世難』です。
当作に興味を持っていただき、有難う御座います。
……が、なろう他作品様に比べて難度高めです。(読みづらい的な意味で)
以下、本作の特徴となりますので一読下さいませ。
*本作は絶賛社畜たる作者が、限りある空き時間でちまちま著筆しております故、投稿にはとても時間がかかります。(週末に1〜3のペース)
*『作者自らが後で読み返してニマニマする事』をテーマとして書かれています。
*序盤は鬱展開です。バトルもヒロインも30話以降まで御座いません。
*読者様方の貴重な時間の浪費を避けるべく、下に本作の今後の予定(仮)を書いておきます。取捨判断の御参考にどうぞ。
1・文章は暇な時に随時修正
2・後々ハーレム予定(多分5人+1で終わり)+α←new
3・無双したい(させたい)
4・周囲勘違い系(に、なるといいな)
5・ステータスウインドウ的要素は無い(残念)
6・作者の頭脳は越えない(これはほぼ確定。無念)
7・完結したい(長編の予定。書けるか?)
8・大きな本文の内容改変は無し(やったら前書きで告知します)
9・自分で読んでて違和感があるので「だのに」は使用しません(なのに一択です)
10・著者の執筆&購読環境がスマートフォンですので、他の環境では行間等がズレます。(出来ればスマホ推奨)
11・当作は商取引や物流を焦点としたものではありません。(タイトル詐欺乙)
以上です。拙作でニマニマ出来る方はよろしくお願いします。 世難 (੭ु´͈ ᐜ `͈)੭ु⁾⁾
――天上には大小の星の輝きが灯る夜の空。
――地上には果てまで広がる多彩な花の園。
其処には、二枚の異なる絵画を上下に並べただけの稚拙な騙し絵のような光景が広がっていた。
割れたガラスが異なる事象を映すかのような、危うい情景。
摂理を嘲笑い、諧謔するような景観が見るものに訴えるのは、優美よりも狂気の方が強いだろう。
現実では有り得ない、境界に変化のない世界。
そんな不安定な世界に、一つ浮遊する社があった。
向こう側が透けて見える硝子の様な材質の物で作られたそれは、星の明かりと花畑の色彩を取り込み、七色の光を帯びているかの様に見えた。
幻想的な佇まいとは裏腹に、華美な装飾は一切無く、まるで、ただ一つの素材から、そのままくり抜いて拵えたかのような造りだ。
その社の中、くり抜かれた空間の中央に、三体の女性を模した彫像が、向かい合うように安置されてる。
社と同じ材質で誂えたように見えるその彫像は、各々が淡く『赤』『青』『緑』と色を帯びていた。
優美で緻密な作りでありながら、何を意図したのか顔だけが抜け落ちており、神秘的な不気味さを醸し出している。
――その彫像に◇ ◇ ◇が宿る。
顔の無い『緑』の像が、淡く輝くと共に、人語に似た音が部屋を揺らした。
【「招集」】
間を置かずして、呼応するように残りの二体が輝く。
【「三人で調整とは大掛かりですね。それ程に重要度の高い世界なのでしょうか?」】
彫像の内側から発せられる音は、静寂で染まりきっていた室内に良く響いた。
広がり、反響する『赤』の問うような呟きに『青』が答える。
【「上位の考えなど下位の及ぶところでは無いでしょうし、考えるだけ徒労ではないかしら?」】
【「……あなたはもう少し世界に執着した方が良いと思うのですけど」】
【「余計なお世話です。そちらこそ執着が過ぎます。見ていて気持ちの良いものではありません」】
言い争いのような両者の応酬を尻目に、『緑』が両腕を正面に掲げた。
【「固定」】
言葉と共に、下層の花園から緑色の光が一つ浮上する。遠望からは花弁の色にしか見えなかったが、近付くにつれ外観が明らかになった。
正立方のクリアケースに封じられた、若葉を思わせる優しげな明かりを放つ緑色の光球。
やがてそれは、社の床を何事もなくケースごとすり抜け、『緑』の手の間に収まり完全に静止した。
【「あら、まだ鮮やかではありませんか。調整が必要な程に困窮した世界には見えませんね」】
【「……面倒な予感しかしないわ。このまま破棄して、新しく作り変える方が手早いのではないかしら?」】
【「その様に、安易に失って良いものではないでしょう。最後まで……本当に終焉を迎えるまでは手を尽くすべきです」】
呟きながら『赤』がケースの縁を愛おしげに優しくなぞった。
【「両者選定。三」】
突然の『緑』の要請に戸惑う事なく、直ぐさま二体の像は両腕を掲げる。
すると、『緑』の手の間にあるケースの中の光球から、蛍火らしき煌めきが一つふわりと浮かび上がった。
ふらふらと『赤』と『青』の間を行ったり来たりする蛍火を、『青』が導くように腕を振るい、自身に招く。
【「全てを異世界より選定する必要はないのでしょう? 本来ならば、その世界の者こそが責を担うべきなのですから」】
からかうように『青』が言葉を紡ぎその蛍火を手に取ると、程なく下層の世界より五つの光がフワフワと揺らめきながら、社へと浮かんで来た。
やがてそれは『赤』の手に三つ、『青』の手に二つ導かれて収まる。
双方の下にそれぞれ三つの蛍火が集ったのを確認すると、『緑』が指を振り、互いの一つを入れ替えた。
【「何を……?」】
【「約定だ。異議は認められぬ」】
討論の余地なし、と『緑』は『赤』の問いを切って捨てた。
【「選定は完了した。これより調整を開始する」】
両腕を大きく広げ、『緑』は語る。
【「初めまして、魂の担い手よ。我々は世界の管理を務める創造神だ。この邂逅を歓迎し、祝福しよう」】