表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
可能性の獣  作者: 小さな畔
7/8

決着

あとちょい

---------------------------------------------------華琳-------------------------------------


凪ともう一人、この技を知っているものがいた。


それは以外にも華琳であった。


華琳も一刀の無事を確認し、なんとか気持ちが落ち着いていた。


そしてその次の瞬間に一刀から放たれる光と空気の震えを感じ取り


古い記憶の中から、ある記憶がよみがえった。


華琳「この空気の震え・・・・そして一刀から感じるこの感じ・・・・。


   どこかで感じたこの感覚・・・・・これはまさかっ!


   橋玄様の奥義と言われた・・・・・・、覇気功っ!!


   いえ・・・・、まだわからないけれど・・・。でもそうだとしたら


   なぜ一刀があの技を・・・・。


   っ・・・・・、そういえば一刀の師匠の名前って・・・・。」



--------------------リング---------------------------


リング上にて仁王立ちする一刀。


それに怯えることなく引くことなく、雪蓮が向かいあっていた・・・・・



雪蓮「さぁっ、一刀っ! お互い本気になったところで


    また楽しい時間をすごしましょうか!」


南海覇王を一刀に向けながら、雪蓮が言った。


一刀「すごいな・・・・、怯んでないとは。」


雪蓮「ふふんっ、当然じゃない♪」


得意げに雪蓮が一刀の言葉に答えた。


雪蓮「真の強敵に会えたのに怯むなんてもったいないじゃない。


    だからね


    本気で殺しに行くわよ・・・、一刀っ!」


雪蓮のあくなきその衝動全てを雪蓮は一刀に向けてぶつけようとしていた。


一刀「なら、俺も君を倒す・・・・・、俺の全てをもって!」


スーっ、と息を吐いて一刀が言った。


雪蓮「ふぅん・・・・・、じゃあ受け止めてもらいましょうか、一刀の全てで。」


笑顔で雪蓮が言い返した。



そこからは無言だった。



互いに構えを取り、相手の呼吸の読みあいに入ったのだ。



相手を見つめ続ける二人。


しかし、その状態にい続ける事でも消費していく一刀のエネルギー。


武将達からは、互いの動きから見て一瞬の勝負に全てをぶつけるのだと思われた。


だが


片方が相手目掛けて体を傾けた瞬間、その姿は見えなくなった。


それに呼応するようにもう片方もすぐに姿を消した。


衝突が行われるたび、空気が震え


大地を駆ける速さが風を呼んだ。



一刀「はぁっ!!!」


雪蓮「なんのっ!」


互いの誇りを武器に互いを削りあう二人。


力の差はほとんどなく、互角の勝負であった。


解放状態の一刀の経験不足も覇気功によって補われているが、雪蓮の底力と経験の差により


力は均衡を保っていた。



雪蓮「楽しいわねぇっ! 一刀っ!」


汗だくになりながら笑顔で一刀に向かって叫んだ。


一刀「あぁっ、楽しいなっ!!!」


真の強者の境地で二人は殺しあっているのに


どこか楽しそうだった。




その状態になって一分が過ぎただろうか、片方が相手を押し始めた・・・・



雪蓮「くっ・・・・! この私がっ・・・!」


押されだしたのは雪蓮。


雪蓮の力と経験と技を持ってしても、覇気功状態の一刀はすさまじいほどの力で


それを凌駕していた。


一刀との激しい衝突の際に生じる衝撃を雪蓮は完璧に受け流すことができず


ジワジワと手の力と体力を奪われ始めていた。


雪蓮「私がっ、この私としたことがぁ!」


自分が最強と自負していた雪蓮にとって今の現状はとてつもなく


「おもしろくない」状況であった。


いつもならどんな接戦でも最後には相手を押し倒してきた雪蓮が


今は追い詰められかけていた、いや追い詰められていたのだ。


そんな状況で彼女の精神は次第に苛立っていた。


そんな雪蓮を気にもかけず、一刀は数多の剣撃を雪蓮に流し込んでいた。


一刀が押してはいるものの、相手は三国ではTOP3にいる強者。


いつ巻き返されるか判らない状態で手を休めるわけにはいかなかった。


押しているはずの一刀も不安に駆られていたのだ。


いつ、目の前にいる美しき野獣が自分を敗者へと誘うその大きな牙を


剥き出しにし、自分の喉笛を食いちぎられるかという不安に。


押しているはずなのに、押していない、なんとも居心地の悪い空間であった。


一刀「(いくぞ・・・・、このまま押し切れるならこのままっ!)」


不安に駆られるぐらいなら、とここぞとばかりに一刀が更に


連続攻撃を雪蓮に放った。


雪蓮はそれを防ごうとするが一刀の猛攻を防ぎきれずガードをあげられた。


一刀「さっきのお返しだ、雪蓮っ!!」


隙のできた雪蓮の腹部に一刀の回し蹴りが直撃した。


雪蓮「あぐっ!!?」


そのまま立ち止まれず壁まで吹っ飛ぶ雪蓮。


先ほどの一刀と同じように壁に打ち付けられた雪蓮。


壁は先ほどまでは崩れていなかった。


雪蓮「っ・・・・・・。」


雪蓮のガクンと力が抜けたかのように首が下を向いた。


周喩「雪蓮っ!!?」


孫権「姉さまっ!?」


その姿を見た瞬間呉の二人の声が上がった。


その姿から気絶したようにみえたからだろう。


黄蓋「まさか・・・、あの策殿が負けるのか?」


甘寧「ありえませんっ、孫策様に限ってそのようなことは。」


周泰「そうですっ! 雪蓮様がまさかそんな・・・・。」


考えもしていなかった孫策の敗北に同様する呉の面々の悲痛な声がこぼれた。



呉の面々からは雪蓮の敗北の空気が流れ出していた・・・・・



雪蓮「あ・・・え・・・・・・い」


突如雪蓮の口が開き、何かを呟いていた。


それに気づいた一刀。


気づいた次の瞬間


雪蓮「ありえない!!!!!!!」


咆哮と共に立ち上がる雪蓮。


雪蓮の周りには黒いオーラのようなものが漂っていた。


雪蓮「私が負けるはずないじゃない・・・・、私がぁ!」


獣のように前傾姿勢で雪蓮が手で顔を抑えながら、一刀を見て叫ぶ。


雪蓮「私は呉の王なのよ・・・、例え三国統一戦に負けたとはいえ


    個人の闘いで負けるわけにはいかないのよ!!!」




孫権「姉さま!!」


周喩「雪蓮!!」


なんとか立ち上がった雪蓮の姿を見て喜ぶ呉。


しかし、雪蓮を取り巻くその異様な空気に気づいた。




益々雪蓮を覆うオーラが膨れ上がっていた。


一刀はそれがなんなのか気づいた。


一刀「(雪蓮の気迫に呼応するように大きくなるあれは・・・・・、多分・・・・。)」



言葉を呑んだ。



彼女を覆う「人」の煌きに当てられたのかもしれない。



そう




あのオーラは彼女が歩んできた道で犠牲になったり、意思を託して逝ったものたちの魂。




”彼女の生きてきた証”



である、輝き。


是非もない、ただ、呉を天下に導くために生きてきた彼女の全て。




それが具現化したようなものだろう、と一刀は感じた。



そしてそれが、覇気功に近いものであると。



一刀「(あそこまで高められた気で殴られたら・・・・、さすがに鋼気功でも止めれない・・・・。


     殴られる前に俺が・・・・・!)」



意を決した一刀は全身に気を増幅させるのではなく、ある一点にのみ集中させた。


真桜を鞘に納め、瞳を閉じ、構えた。


雪蓮を倒すために。


あそこまで溢れていた気が流れを止め、一つの渦を巻きながら留まる。


真桜が増幅された気に呼応し、輝きを放ち始めた。



ここまで歪なオーラを放っているのに、いつも何か自分に言っていた一刀に反応が無い。



自分を倒すために準備しているのだと悟る雪蓮。



”しかし、そうはさせない、させてやらない。”



歪だろうがなんだろうが溢れる気を全身にめぐらせ、雪蓮がありったけの力をこめ





強力なマグナムから放たれる弾丸のように一刀に突進した。





雪蓮「かああああずうううとおおおおお!!!」





たまった気が爆ぜ、一瞬にして一刀に”近づいた”雪蓮。





そう




近づいたのだ。





そして





入ったのだ










絶対の一刀の間合いに・・・・・



雪蓮が一刀に近づいた次の瞬間



一刀「無道流奥義!  「無限」!!」



一刀の叫びが響いた。



キンッ!!


真桜が鞘から抜かれる音が響き


そして



雪蓮と一刀は交差し


次の瞬間


雪蓮はまた吹っ飛んでいた。



ドゴオオオオン


雪蓮「っ・・・・・・!!」


大きな衝撃音の後、雪蓮は声にならない声を発し、そのまま意識を失った。


一刀はそんな雪蓮をただ・・・、見つめていた。


が、一刀もその一撃の後崩れ去るようにリングへと倒れ込んだ。


一瞬の激突で二人の勝負は雌雄を決した。




司会「・・・・・・・・・・・。」



まさかの出来事に司会も声を失っていた。



しかし、ハッと意識を取り戻し、声をだした。




司会「たっ・・・、ただいまの勝負、規約に乗っ取り攻撃後に立っていた魏軍、北郷選手の勝利です!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ