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可能性の獣  作者: 小さな畔
3/8

嫉妬と劣情と

まだ続きますよ

雪蓮「アーハッハッハッハ。」


雪蓮が大声で笑いながら目の前にあった大木に蹴りを入れた。


ミシッ・・・・


メキメキメキメキ


バターンッ!


大木が悲鳴を上げて倒れた。


周喩「ちょっ・・、雪蓮っ?」


周喩が雪蓮の行動に驚いて声をかけた。


雪蓮「いやぁ~、これが笑わずにはいられないじゃない!?」


そういうとまた木に蹴りを入れた。


蹴りを入れられた木がまた悲鳴を上げて倒れていった。


それで満足したのか振り返って周喩の方を見た。


雪蓮「だって私に喧嘩売ったのよ? 私にっ!」


自分を指差しながら雪蓮が言った。


周喩「それはまぁ驚いたけど・・・・。」


周喩の記憶の中でも雪蓮に喧嘩を売った者は片手にも満たない。


その一人の内に一刀は入ったのだった。


雪蓮「怒ってるんじゃないわよ? スッゴイ嬉しいのよ私っ!


    やっと本気で戦えるんだもん! まぁ、恋とも本気でやれるでしょうけど。」


ふんっと腕を組みながら雪蓮がいった。


雪蓮「とーにーかーくー、私はいまスッゴイ楽しいの!」


組んでいた腕を解き雪蓮が周喩に抱きついた。


周喩「それはわかったけど・・・・、貴方次の試合の出場者なんだから


    速く会場にもどらないとよ。」


抱きついてきた雪蓮を嫌がることなく、周喩は次の試合のために速く行動するよう


雪蓮を促した。


雪蓮「はーいっ。 冥琳の言うこと聞かないと後がこわいからね~。」


そういうと周喩から離れ、雪蓮が会場に向かおうとしたのだが


周喩が雪蓮の肩を掴んだ。


雪蓮「んっ、なぁに?」


雪蓮が首だけ曲げて返事をすると、周喩が木の方を指差してこういった。


周喩「木もああみえてしっかり生きているんだ。


    それをむやみに蹴り倒して・・・・。


    木に謝ってから行きなさい。」


雪蓮「えーーっ!?」


雪蓮が嫌がるそぶりを見せたのだが


ジロッと周喩が雪蓮を見たので、反抗することをやめ、素直に木に頭を下げた。


雪蓮「ごめんね、大木ちゃん! 頑張って北郷倒すからそこでみててね!」


そういうと雪蓮が周喩から逃げるように一目散に会場の方へと駆けて行った。


周喩「まったくもう・・・・。


   自然は大切にしないとダメだっていうのに・・・。」


そう呟いたあと周喩も会場の方へと向かって歩き出した・・・・・・


雪蓮達が会場に戻ると先ほどまでの戦いでボロボロだったリングが大会前と


同様のリングに変わっていた。


雪蓮「うわぁ~お、あそこまでボロボロだったのに・・・・。」


周喩「李典隊恐るべし、ね。」


リングの修復が終わったのを確認し、司会が大会進行を進めていく。


司会「えー、会場も綺麗になりましたので、李典将軍達に感謝しつつ、


    早速次の戦いへ移りましょう。呉軍 孫策選手、蜀軍 公孫賛選手、舞台へおあがりください。」


周喩「雪蓮、頑張ってらっしゃい。・・・・相手を殺さないようにな。」


雪蓮「わーかってるってぇん。 相手を殺しちゃえば即失格だしねぇ。


    まぁ、このやる気と元気は一刀にぶつけるわ。」


そういいながら雪蓮が南海覇王を手にし、そのまま抜いて、空を切った。


雪蓮「勝って一刀といろんなことしちゃうもんねっ!」


そういうと覇王を鞘に納め、浮き足で雪蓮は舞台へとあがっていった。


周喩「公孫賛が・・・・、大怪我にならないよう祈っておこうか。」


雪蓮を見送った後そう呟いて、呉陣営へと周喩が戻っていった。


一方華琳と一刀は・・・・・・


華琳「上からだまぁ~って眺めていれば貴方は本当にどうしようもない駄馬ね。」


一刀「その辺は弁明のしようもないが・・・って痛い痛い。」


壁際に追いやられ華琳に絶の先で頬をグリグリと押される一刀。


華琳「そんなに私以外の女の子が魅力的なのかしら・・・?」


一刀「そりゃあ魏の皆は華琳が傍に置くぐらいなんだから魅力的だろうに。」


美少女愛好家の華琳の側近及び部隊長など重要な役職は全て


華琳が選考した美少女ばかりだ。 実力も申し分ないので男性陣は誰も文句を言えなかった。


その中で重要な役職にいる一刀もまた「特別」な存在であった。


華琳「それは当然のことよ・・・・。私が言いたいのはそうじゃなくて。」


一刀「はい。」


華琳「魏 以外の子達にも貴方の魔の手が忍び寄ろうとしてるように思えてね・・・・。」


一刀「あだだだだっ。」


頬に押さえつけられた絶の髑髏の部分が一刀に更なるダメージを与えた。


ダメージが増すごとに一刀を睨みつける眼光も鋭くなっていた。


一刀「俺は別段そんなつもりじゃないんだってば!」


華琳「あらそう・・・・・。」


懸命に誤解を解こうとする一刀の言葉も華琳にはあまり効果がなかった・・・・


言葉なき間が二人の空間を包む。


一刀はそりゃあもう華琳がブチ切れてて殺される勢いと思い込んでいたのだが


次第に絶に込められる力が弱まっていた。支える腕もわずかばかり震えていた。


一刀「(華琳・・・・?)」


その違和感を感じ取ったとき一刀は気づいた。


確かに今の華琳が抱いている感情は怒りだ。


しかしその中にはもっと別の感情が潜んでいて・・・・


それは誰もが抱く感情で、とてもつらくて、とても人間らしい感情・・・。


一刀「ごめんな・・・、華琳。」


華琳「その言葉は聞き飽きたわ。」


気づけば先ほどまで一刀を睨んでいた美しい瞳は顔と共に伏せられ


一刀と向き合っていなかった。否、見ようとしていなかった。


多分華琳も少なからず気づいてしまったのだろう、今の自分を包む気持ちに。


「怒り」以外の感情が胸を包んでしまったことに。


一刀「ごめんな・・・・。」


華琳「だから・・・・・・、っ!」


華琳の口が一刀の唇によってふさがれた。


華琳「んっ・・・っあっ・・・。」


カランッ


華琳の手のひらから絶が地面へとこぼれ落ちた。


一刀の腕が華琳を包むように華琳の小さな身体を抱きしめた。


唇同士が触れ合う度に情熱が燃え出したようにお互いを求め合った。


一刀の唇から舌が華琳の舌を求めるように華琳の口の中へと進入した。


華琳はそれを拒むことはなく、すんなり一刀の舌を受け入れ絡ませた。


華琳「あっ・・・ちゅぅ・・・ぺろ・・・・・はぁ・・・。」


舌が出し入れされたり、絡み合うたびに華琳の目が蕩けていった・・・・・・・・・


一刀と華琳の唇が離れた。


一刀「華琳もいくら覇王とはいえ一人の女の子だもんなぁ、


    一人にいくら慣れていても、皆がいるのにあんな高みから眺めてるだけなんて


    「寂しい」って思うのは仕方ないよな。」


華琳「悪かったわね・・・・・。」


華琳はグッと一刀の服を握り、一刀の言葉を認めるような発言をした。


一刀「そこに俺がまぁ、他の子達と話したりなんだりしすぎてるから妬いてくれたんだなぁ。」


華琳「あら・・・、わかっていながらしてたのねぇ・・?」


グッと握っていた一刀の服が更に捻れた。


一刀「いや・・・、さっきまでわかんなかったけど・・・。


    でも妬いてくれるほど俺の事を好きでいてくれてるって思ったら


    すっげぇうれしくてさ・・・。めちゃくちゃ昂ぶった。」


華琳「貴方が・・・・、他の女の子達と話しをしたり仲良くなるのは


    止めようとしてもムリだと分かっているし、治る病気でもなさそうだから。」


短い期間一緒にいただけだが一刀の性格や甲斐性を見抜いていた華琳は


止めれないものだと悟っていた。


一刀「でもこうやって・・・、君が俺を叱ってくれたり、怒ってくれるなら


    治る・・・、いや、全然抑えれると思う。だって・・・・。」


そこで一刀の言葉が切れた。


華琳「だって・・・・?」


華琳は続きを聞きたくて一刀の体に押し付けていた顔を上げた・・・・


一刀「俺の心と俺のこの体・・、俺の全てが君のものだから。」


一刀が真面目な顔で華琳に告げた。


華琳「っ・・・・!」


その言葉を聞いて華琳が赤面した。


華琳「そんなの、貴方の口だけじゃ信じれないわよ。体のほうは特に・・・・。」


顔を一刀に埋めながら華琳が言った。


華琳も一番の不安を一刀に伝えた。


一刀がその言葉を聞いて「まぁ、確かに」という顔になったのだがそれは口にださず


華琳の肩を持って顔が向き合うように体勢を変えた。


一刀「なら・・・、目を・・・、俺のこの目を信じてくれ。」


華琳「目を・・・。」


一刀「うん。 これからもこの目は色んなものを写してはあふれたものから消えていくけれど


    この瞳の奥にはずっと君が消えることなく写り続けるから。」


そこには華琳を見つめる一刀の力強い瞳があった。


華琳「・・・・・・、そこまでいうのなら・・・、信じましょう。」


華琳が納得した顔で一刀の言葉に返事を出した。


一刀「うん、ありがとう華琳。」


ニッと笑顔になる一刀。


一刀が身をかがめて、華琳の唇に近づき、そのまま


もう一度深い口付けを交わす二人。


2,3分口付けを交わし離れた二人の間には白銀の糸がつながっていた。


一刀「これからも華琳を困らすかもしれないけど、これからもヨロシク。」


華琳「・・・こちらこそ。 でも」


一刀「でも?」


華琳「困らせたらそれ相応のおしおきがまっていると思いなさい。」


一刀「了解。」


苦笑いで一刀が華琳の言葉に答えた・・・・・



ワァァァアアアアアアアアアア



会場のある方角から歓声が聞こえた。


二人の視線が自然に会場へ向けられた。


華琳「・・・、大会が再開されたようね。」


一刀「みたいだな。」


華琳は少し残念そうな顔をするが一刀に気づかれる前にまた普段の顔に戻し


華琳「それじゃあ、またあとでね。 もう戻らないといけないでしょ。」


一刀「だなぁ・・・・。」


一刀は残念そうな顔で言う。


華琳「そんな顔しないように。まぁ、


   あなたの勇姿を上から見させてもらうことにするとしましょう。


   あなたが雪蓮にどこまで通じるか、楽しみだわ。」


一刀「まぁ、期待にこたえれるようがんばります。」


一刀はちっちゃいガッツポーズを見せた。


華琳「よろしい。 じゃあね。」


一刀の腕から反転し特別席のある高台へと華琳が離れていった。












離れようとした。





しかしできなかった。





なぜなら






一刀の手が華琳の腕をつかんだから-------------------------












   華琳が振り返る



     一刀は俯きながら言う


          


                一刀「もう無理だ。我慢できない」




                       華琳「えっ・・・・?」






   一刀「君に後で怒られても、殺されてもいい。」


        


         一刀の瞳には華琳と、激しく燃え滾る炎が見えた。




華琳「貴方一体何を言っ・・・・・・・」


    


                 華琳の言葉をさえぎるように一刀が華琳の唇を奪う。



 華琳「んっ・・・ぁっ・・・。」



       二人の唇が離れた後一刀が言った。





                    一刀「俺は君を奪う---------------------------」




 一刀は華琳を無理やり抱き抱え、脇にあった警備隊達の休憩室へと入り部屋のカギをかけた・・・・



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