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お爺ちゃん、再び無茶をする

シリアスの様な、アクションの様な、なんとも……

 少し周りを気にしながらもエントランスへと歩いていく。


 刀を使う時代は流石に古いからの……まぁ今使った所でただの犯罪じゃ。

 そこまで距離は離れていない為、エントランスの扉の近くまで来て背中を付けて少し開けてみる。


「……鳴は何故戻ってこないんですの!」


「うるさい……死にたくなかったら黙ってろ」


 そこには声を上げている位堂さんと先程の人達と同じ格好した男が喋っている様だった。

 位堂さん心配してくれてるんじゃな……昔にこんな良い友達を持ったこと無いぞ、大丈夫じゃ儂は生きておる。

 体は密かに鍛えてるから少しくらい大丈夫じゃろ、さぁ……行こうかの。


「あいつら、怒られても知らんぞ? 気になるのも分からない事はないがな」


「……」


 そーっと音を立てないように扉を開けて、2人の内アホそうな男が位堂さんに近づいてわざとらしく言い放っている奴を見る。

 もう1人の方にも視線を伸ばすと、電話様な黒い物で背中を向けて何かを喋っている……何を喋っているかまでは聞き取れない。

 大丈夫そうなのじゃな、体痛いの我慢じゃ我慢……片足を1歩出して、走る構えを取って。


「……!」


「!?」


 音もさせず男に向かって走り出す……みんなが儂だという事を認識して声を出そうとする前に男の首を落とす、男は一瞬こっちを見ようとしたが反応が間に合っていなかった。

 みんなを安心させたいが、次はこっちじゃ……っと、男が倒れる瞬間に音がする! その前にやってやるぞ。

 ガタッという音を聞いた男はこっちに向かって顔を向けてくる……そして儂を見た瞬間の一瞬の怯み、銃を撃つまでの間を。


「はっ!」


「ごはっ!」


 腹に拳を入れ、痛みで腹を抑える瞬間に頭に向かって蹴りをくらわす。

 ズキンッ! という音がしたような痛みが体を襲い、片膝を地面に付いてしまった。

 最初の時も思ったが、この痛みヤバイ……の! というより最初より酷く痛い!


「「鳴!」」


「花咲さん!」


 雫や穂村などみんなが心配そうな声をかけてくる……とりあえず痛いが、みんなを解放しないとの。

 エントランスのエレベーターと横にある階段の近くに座らせられている音羽の方に行く。

 とりあえず、何事も冷静な音羽からじゃ……縄キツイ、よく穂村はゆるめることできたの。


「相変わらず、どこでそんな技術身につけたんだか」


「今はみんなを解放すること考えよ?」


「はいはい、鳴は奥から来るかもしれないから見張ってて」


 くれぐれも無茶しないでよね? と音羽は言って背を向けてみんなのいる方へと歩いていった。

 いたた……まだ足の辺りが痛むの、腕は殴る時のせいか分からないが痛い。

 その隣にいたヒカルをちらっと見ると、凄くキラキラした目でこちらを見ていた。


「ど、どうしたの?」


「す、凄いよ! 漫画の1ページみたいな静かに、相手を倒す……まさにヒーローだよ!」


「ヒーローってあまり嬉しくないかな……」


 どっちかっていうとヒロインの位置取りの方が、儂的にはあってると思うのじゃが。

 中学生じゃからのヒカルは、儂が死んでからどうしたのか凄く気になっていたのじゃが、立ち直っている様で安心したわい。

 アニメを見た時の様な凄く眩しい表情じゃな、そういえばヒカルは儂の事知っておるのかの?


「鳴!」


「雫、どうしたの?」


「あれほど無理をするなと自分で言っていたのに、何故無茶をした!」


 雫は珍しく儂に向かって怒っていた、だけどその怒りは心配や安堵が混じった物だった。

 そうじゃったな、自分で言っていたのにやってしまったの……でもあのまま何されるか分からない状況よりも、動いた方がいいと思ったからの。

 でも、心配してくれたんじゃから反省しないとの。


「ごめんなさい……」


「雫~、そう怒らない怒らない」


「べ、別に怒ってなどいない……だが、無理をするなと言われてるんだろう?」


 うん……と儂は言うと「なら注意しろ」と雫はそう言って、後ろを向く……それを見た穂村は笑顔で雫は突いていた。

 もしかして、照れ隠しかの? 可愛いの、雫は普段は仏頂面にしか見えないからの。

 そんな事を話していると奥から解放された原野くんが歩いてきた。


「すまない……俺が不甲斐ないばかりに」


「原野くんのせいじゃないよ、誰も予想なんて出来ないよ」


「そう言ってもらえると……助かる」


 原野くんはそう言って頭を下げるが、上げた時にまだ腑に落ちない様な表情をしていた。

 どうしたのかの? 何故か、こっちを見つめている様にも……男に見られてもの。

 そして原野くんは言いづらそうに口を開いた。


「失礼を承知で聞いていいか?」


「え? はい」


「海に居た時も思った事だが……人が変わった様な感じに見えた」


 何言ってるんだろうな俺は、と呟いて髪を左手で掻いた。

 そうか、この男には気づかれてしまったか……いや、逆にあんなに居たら普通に気づくかもしれんか。

 その答えに返答するように儂は言う。


あなたは(・・・・)どっちの私が好き(・・・・・・・・)? なんてね」


「それって……どういう」


「原野がまさかの鳴狙いか、これはこれで面白い組み合わせだね~」


 原野くんは追求しようとこっちに声をかけようとするが、穂村が来て原野くんを恋についてに弄り始めた。

 恐らく儂は近いうちに、消えるかもしれん……鳴が表に出た以上、不安定かもしれんしの。

 雫も穂村に乗っかって「お前は羽田とくっつくと思っていた」など意外とノリノリで話していた……そして、原野くんが無視しながら廊下の方を見つめると。


「足音が聞こえてくる……2人か」


「え? 聞こえたの、雫聞こえた~?」


「分からない、鳴はどうだ?」


 確かにそれっぽい音は聞こえた様な気がするけど、判断に困るの。

 首を傾げていると、原野くんが「花咲さん、いざという時はお願いします」と奥を見ながら言った。

 あくまで自分で処理しようと思うのじゃな、雫でもそこそこ戦えると思うのじゃが……相手は銃を持ってるからの。


「1人で大丈夫なの?」


「親から厳しい修行をさせられてたからな」


「そう……私も戦うよ」


 だが……と言われるが「死なれちゃ困るよ?」と笑顔で言うと、諦めた様に少し力を抜いた。

 さてそろそろ大詰めかの? それにしても原野くんの親ってどういう人なんじゃろうな?

次は1月26日予定です

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