お爺ちゃん、話をしてみる
急展開、はい……自分でもおかしく
白い空間のまま時間感覚も分からないまま、時間が進んでいく。
原野くんと無言の時間は凄くもどかしいし、視線も視線で。
唯一分かるのは鳴の目での行動と、テレビを通して溜息などが聞こえてくるのでモヤモヤした気持ちになっていた。
何故そんなに溜息が出てくるんじゃ? 何かあったなら相談したいのじゃがな。
「お主はそれでいいのかの? このままじゃ前と変わらんと思うのじゃが」
――うるさい、うるさい!
「どうしたんだ急に!?」
声をかけたら聞こえたみたいじゃの、原野くんが突然叫びだした鳴にびっくりしておるが……先程の行動見ても、前と何も変わらんと思うぞ?
自分から動いたり会話をしないと何も始まらんし、友達という物が欲しいのなら知ってもらわないとな。
鳴の過去も知ってるし、儂がどんなに手を尽くしたりしても……本人が変わらなければ何も変わりもしないからの。
「出てきたのは何か変えたいと思ったのではないか?」
――……私は
「変わりたい意思があるのなら、周りと喋ってみるといいぞ」
ま、そんな事を言っても変わる気が本当にあるかどうかは、儂には分からんことじゃがな。
どうも昔の儂に似ている様な気がしての、高校生の時……1人ぼっちの時やイジメにあって不登校になったこともあるしの。
女子と男子じゃ色々違いはあるかもしれんが、悩みを解決出来ないわけじゃないからの。
――あ、あの……原野、くん……
「落ち着いたようだな、どうした?」
――少し喋ろう……?
お、おぉ……少し喋ってみる気になってみたかの?
勇気をだした鳴は原野くんとお喋りを続けている……儂は再び手持ち無沙汰になってもうたの。
みんなが遊び疲れて鳴の元へ戻ってくる頃は夕方に差し掛かる所で、着替えとと共に部屋に全員撤収していた。
着替えを恥ずかしげ無く覗いておるが、皆いい体しておるの。
澪と部屋に戻ると、澪はベットに笑顔で寝っ転がっていた……幸せそうじゃの。
「お姉ちゃん、楽しかったね!」
――う、うん
その瞬間、ダッダッという複数人の足音が響き渡った……澪は「なんだろう?」と首を傾げていた。
ゆっくりしているようじゃが、廊下の方が何やら騒がしい雰囲気になっているの。
そして、ロックもされないままドアが蹴り開けられる……開けた人物は黒い服装でマスクという如何にも銃という物を持っていた。
「おっと、変な気を起こさない方がいい嬢ちゃん達じゃ俺には叶わねぇよ」
「怖いよ……お姉ちゃん」
「他の奴もロビーに集めるから来い!」
澪は鳴に抱きつくが、男にそう促されて部屋を出ると穂村達も捕まっていて両手を後ろで縛られていた。
鳴や澪も同じように縛られて移動していく、音羽は見当たらないようじゃが……。
それにしても襲撃のタイミングが良すぎる様な気もするんじゃが、何かを狙っての犯行かの?
この場であれば色々出来そうな気がしたが、今は儂では無いからの。
ロビーに案内されて両手を縛られた人達は座らされた、携帯電話も没収をしている所を見ると本格的じゃ。
その時に白い空間に何かが響いて聞こえてくる。
――もう事故は嫌! 痛いのも嫌! 死にたく無い!
「……普通なら自分でなんとかしろというところじゃが、ここは儂に任せて欲しいの」
――無理だよ、テロリストだよ!? 無理に決まってる
「儂ならこれくらいは容易くひねってくれる」
実際に勝てる確証あるわけじゃないがの、逃げるくらいの時間稼ぎにでもなんとかなるじゃろうな。
武装している黒服が10人くらい周りに展開していて今は何も出来る状況では無いがの。
ゆっくり目を閉じて、意識を入れ替える様に……意識を失った。
目を開けると、テレビの様な物ではなく鮮明に見えるため現実に戻ってきたのだと思った。
周りにいる穂村や雫達は鳴がいきなり意識をなくしたのを心配そうに見ていた。
小声で穂村が話かけてくる。
「……大丈夫~? 意識飛んだみたいだけど~」
「大丈夫、今は状況整理を優先しないと」
「う~ん、人数はざっと見た感じ15人くらいかな~」
穂村は周りをチラチラと見ながら耳打ちの様に体を近づけてくる……日本でテロリストは無いと思いたいがの。
物騒な世の中じゃから有り得そうと言えば有り得そうじゃが。
鳴と変わった以上なんとかしないといけないの。
音羽と誰かが追加で連れてこられたようじゃ……これからどうしたものかの?
次は、1月17日予定です




