お爺ちゃん、犯罪者を捕まえる
儂は、男に興味は無いんじゃがの
「そこにいる方、出て来たらどうです?」
うむ、綺麗な声じゃの……儂の昔の――
危ないそんな言ってる場合じゃなかったの、2人の男がトンネルの入り口……光が指す方にある瓦礫から出てくる。
「へっへっへ、嬢ちゃん起きたところ悪いがちょっとこっちに来て、俺達と来てもらうぜ」
「それにしても、あの人も人が悪いぜ。バスを事故らせてそこに居る令嬢を好きにしていいなんて」
「……主犯と違うか、まぁ足を取ることくらいは出来るといいがの」
それにしても、この体では勝てるかわからんの……何時も刀を帯刀しておる、女子のそれを少し拝借しようかの。
体が悲鳴を上げそうじゃが……少しくらい目をつぶろうかの。
彼女に近づき……儂は借りる事を伝える。動けない彼女に少し貸してもらうかの、後で返してやるからの。
「少しの間、貸してもらいます」
「……!」
彼女は何か言いたそうにしていたが……瓦礫に埋もれて苦しいのか声を発することが出来なかった。
こちらを伺っているのか、侮っているのか分からんが……あちらは何も仕掛けて来ないの。
それにしても、失礼な男じゃの~儂の胸を見てヘラヘラしておる。こういう、奴は痛い目に合わんとわからんな。
……といっても儂もやっておったがの。
昔の刀があった頃じゃが、その頃を思い出すわい……その時は男共と――
と、歳を取ると長話したくてたまらんの、まぁ今の儂はピチピチの女子じゃがな。
儂は刀を背に隠し、2人の前に立つ。
「おっ、嬢ちゃん来る気になってくれた?」
「お断りします」
「残念だ、そうすれば生きていれたものを」
男2人が何かを取り出したと思ったら銃かの? 男だったら拳でこんかい!
まぁ儂は柔道もやっとったから、負ける気はせんがの。
儂は刀を抜き、剣道の様に刀を構える……。目を閉じ集中する……刀は己の魂に応える。
「……」
男2人はたじろぐ、只者ではない雰囲気に……空気が一瞬止んだ瞬間……。
儂は走り出す、2人は慌てた状態で銃を構え直すが……もう遅い。
「はあぁ!!」
2人を刀の背で思いっきり、頭を殴る。
すると糸が切れた様に、男2人は気絶した。
「何じゃ意外と呆気ないの~、つうっ! やっぱり女子の体では負担が大きかったようじゃ」
儂は体の節々が痛む中、2人を縄で拘束した。
起きるまでの間、バスの女子を1人ずつ確実に出したが……難しいの、1人で運ぶには体力が足りんわい。
気絶から、戻っている女子はあの刀を持った子以外居なかった……多分打ち方が悪かったのだろうな。
刀の子の名前は……何だ知らんのか、儂だったら何人もの女子を――
そんな事言ってる場合では無かったな。
彼女の上に、埋もれてる瓦礫を退かすと彼女は立ち上がって。
「ありがとう、貴女は何者ですか?」
「私? 私は花咲 鳴です!」
「え? 冗談ですよね? あの……失礼ですけど、頭打ちました?」
「酷い! でも、そうですね……頭打ったようで性格も変わったようです」
うむ、儂上手く女子を演じてるの……その内、いろんなこと言わせてみようかの。あれとか――
危ない危ない、変な想像してもうたわい。
不思議そうに見られてしまうの……誤解されない内に、刀をこの子に返さねばな。
「あの……刀ありがとうございました」
「まさか、貴女が刀をしかも……使い方が武神そのものでしたよ!」
「いえいえ、私なんてまだまだですよ」
この子は、情熱的で黒髪のショートで可愛いの、胸は小さめじゃが……それが体と合っとるから儂は満足じゃ。
さてと、お喋りはこのくらいにしてお嬢さん達を運ぶかの。
次は、9月4日に更新予定です




