お爺ちゃん、テストを受ける
日にちが飛びます、途中を書こうと思いましたが……中止しました。
落ち着いた時には、逆にどう接すればいいのかわかなかった。
素で喋るべきかの……「喋り方は……どうしよう」と呟くと、母は「好きなように喋りなさい、でも……学校の中では普通にね?」と言ってきた。
なら、あの時から変わらないように……この体が馴染んだ喋り方にしようかの。
「この喋り方にする」
「鳴は、事件の時からずっと隠していたの?」
千尋は儂に言ってくる「そうですね」と答えた。あの時は、考えた事が無かったの。何故儂がここにいるのかがの。儂としては、キャッキャウフフ出来れば問題無いがの……今思えば儂、全然しておらんではないか!
これは一大事じゃ……さっさと何か要素が無いと、飢えてしまうぞ。
澪が、儂のひざの上で抱きしめられながら……嬉しそうな笑顔だった。この顔にはかなわんの……孫の昔を思い出すわい。
「お姉ちゃんどうしたの?」
「うん? ちょっとね……昔を思い出したの」
澪を撫でなでてると、顔をこちらに向けて雰囲気が気になったのか。儂に聞いてくるので……少し、昔を思い出したと言った。
可愛らしい所とか、人懐っこい所とかの。昔の孫はこんなに小さな子ばかりじゃったからの、1人目を拾ったのは30代だったか……そこら辺じゃの。
「鳴の中に入る前?」
昔という単語が気になったのか、母が聞いてくる。そういえば、全員ではないが何人か喋ってるが……全員、気づかれてしまったの。
この人達には、昔の事を少しくらい喋ってみるかの。
「う~ん、少し聞いてくれます? 少し……じゃなくてかなり? 1日潰れるかも」
「「まとめてから話して(しなさい)」」
こっちに勢い良く、千尋と母から同時に突っ込まれた。何を話そうかの……昔語りは長いぞ?
1人目の孫から、話そうかの「それじゃ、最初の事からね」とみんなに話すのは楽しいわい。
――数十分後
ふぅ……懐かしいかったの。うん? 澪は話が長すぎて眠ってしまったか、可愛いの。
千尋と母は、無言で聞いていた……。所々頷いたり、感心していた。
「あなた、男だったのね」
「そうですよ、男性が鳴の体に入るとはいかがわしいです!」
ツッコむ所そこなんじゃな……男だったのはしょうがないとはいえ、もう少し……こう感想が欲しかったの。
まぁ……儂の話で何が分かるとかじゃないからの。そのくらいの感想が妥当か。
そして、いかがわしい理由で入った訳じゃないが……入った後はいいかがわしい想像はしておったぞ?
澪の寝顔を見ながら頭を撫でると、幸せそうな顔になる。
そうしてると、母の声が聞こえた。
「澪を起こして、今日も家族でお話しましょう?」
「そうですね」
千尋もそれに同感なのか、頷いた。
そうじゃな、本当の家族として迎え入れてくれたんじゃから。色々話したいの……ただ、女の子話題は無理じゃがの。
澪の体を揺すりながら、思う。鳴本人も、全然詳しく無かったし……儂は元男じゃしな。
その後は、みんなで話ていた。
詳しくないから、聞く事が多かったがの……。化粧品だとか、洗い方とかの。話題だけで少し想像してしまって、危なかったがの。
風呂に入ったり、食事を食べる時もみんな笑顔じゃった。
学校では、位堂さんと仲直りしたことが全生徒に渡ったのか。凄い質問攻めにあった。
それも試験そっちのけという感じで、勉強してる人も聞き耳を立てていた。男子は何時もどおり平常運転じゃったがな。
自分のことではない勉強……もとい教師をやっていた、雫のじゃがな。
試験の日が訪れて、問題を解いていくのじゃが……位堂さんが勝負をしたいとか言ってたからの。手加減はしないでおこうか。
先生が「問題用紙を配るぞ」といい。前列の人に後ろの人数分渡して、こっちまでやってきた。
「ふん、俺にはこの鉛筆がある!」
「何!? 貴様、鉛筆転がしでやるつもりか? なら俺はあみだで決めてやるぜ!」
「舐めるなよ、俺は――」
「お前ら、次喋ったら0点な」
喋っていた男子は、その一言で黙った。いさぎいいの……。先生は黙ったのを確認してから「始めろ」と言った。
一斉に渡された、紙を開く音が聞こえると同時に儂も紙の1ページ目を開く。
問題文を見る限り難しい問題は無いため、スラスラ書いていく。
ただ、試験自体の問題解きは……開始20分程で解き終わってしまった。
試験問題を見直すのじゃが……何処もミスを感じられない。ハイスペックなのか、全然ダメなのか分からない体じゃの。
普通の人以上に勉強が出来る変わり、人付き合いが苦手みたいじゃったからの。
試験問題を開いたまま、悩む振りをしておく。
「終了、書くのをやめろ。カンニングした者は、強制的に0点な」
そんな人おるのかの? 不正をすると足が付くから、やらないほうがいいぞ?
注意だけして、先生は回答用紙と問題用紙を回収して教室から出ていった。位堂さんがこっちに小走りに走ってきて言った。
「鳴さんは、試験どうでしたの? 私は楽勝でしたわよ!」
「私は、何時も通りですね。約束もしましたし、本気で解きましたけど」
少しじゃな……頭をフル活用ではないからの。位堂さんは「そ、そうですの……負けませんわよ」と言ってきた。
ふっふっふ、点数に勝てるかの? 勝ったら何かお願いしてみようかの。いかがわしいことは無いぞ?
凡ミスが無ければ、満点取れそうじゃの。
試験は続き、特に面白い事も無かったの……試験なのじゃから面白いも無い気がするがの。
試験の期間は3日程で、どれも簡単? だったため特に解けないという感じではなかった。
雫の頭がショートしかけて机に突っ伏しているのが、一番印象に残ったかの。
試験が終わって、数日後……夏休みに入る前の日、終業式になった。
次は、11月20日予定。




