お爺ちゃん、名字で聞いたことがある
最近、ネタの出が悪いです……。そこら辺に落ちてないかな~っと。
位堂さんはその後も儂と喋りを続け、掃除が終わったのか千尋が呼びに来た。
ノックと共に千尋が入ってくる。
「お嬢様、位堂様……今、大丈夫でしょうか」
「いいわ、どうかしたの?」
「私も大丈夫だけど……」
千尋は「お母様がお待ちですので……」と儂に言った。儂は位堂さんを見ると位堂さんは「いいわよ、私も付いていくわよ」と言って付いてきた。
割と、ツンツンしてるのかと思ったが……意外と可愛い所あるの~。顔を背けてるが、耳が少し赤いぞ?
実は、特に意図があって見た訳じゃないのじゃがな。
儂達は、千尋に付いていくと母の部屋まで連れてこられた。
千尋はノックをすると「入って」という声が聞こえた。
「鳴、おかえりなさい。位堂さんこんばんわ」
「ただいま~」
「ご、ごきげんよう」
位堂さんは、少し困惑しているようじゃな。割とフレンドリーな感じな母じゃからの。堅苦しいよりは、包み込む優しさの方じゃ。
じゃが、なんで儂を呼んだんじゃ? その疑問に答えるように、母は口を開いた。
「位堂さんを呼んでいたから、少し気になったのよ」
「そうなの? お友達になれたから、家に呼んだだけなのに~」
儂はあっけらかんに言うと、位堂さんは「この騒ぎを見ても、特に気にしてないのが凄いですわ」と横で言っていた。
母は、儂に向かって少し微笑むと……。
先程の少し高貴な感じを無くし……儂に言う。
「これで、鳴もお友達が4人ね!」
「そうなの!」
「いきなり雰囲気が変わりましたわ……」
位堂さんが驚きのあまり溜息を漏らしていた。だけど「私も……ようやく1人友達が出来たんですのね」と呟いていた。やっぱり友達にいなかったのじゃな。
母は、先程までお淑やかな感じを無くし……位堂さんに言う。
「鳴をよろしくね?」
「え? は、はい」
「それよりも、なんで大掃除してたの?」
そういうと、母が「それはね、位堂さんのお家が頑固な所なのよ~。もし、友達じゃなかったら何されるか分からなかったし」と本人を前にして言った。
位堂さんもそれについては同感なのか「そうですわね、頑固と思われてもしょうが無いですし……上に立つ気持ちでいろ。と言われてるので」と言った。
なんか面倒そうな家族じゃな……儂の家の人達は、賑やかで好きじゃ。
「あ、そうだ。お母さん、明後日友達と勉強会するけど、家に呼んでも良い?」
「いいわよ~、メイド達にも言っておくけど。何時?」
「え? そんなの聞いてないわよ!」
だって、位堂さん相手に勝とうしてたんだからしょうがない。儂は「本人を前にして言うわけないじゃない」と言った。
位堂は少し、すねながら「確かに、あれは私が悪いですけど……」と言った。
自分が言った事を、少し申し訳無いと感じているようだ。
「何の事?」
「秘密!」
「ちょっと言えないですわ……」
さすがに、言ったらこっちが何をするか分からんからの……主にメイド達が。
わざわざ言う事でも無いので、儂は黙っておく。
位堂さんも少しホッとしているようだった。
不意に、位堂さんのスカートから着信音が鳴る。
「少し失礼しますわ」
と言って、位堂さんは部屋を出ていった。
母は「まぁ……家の事でしょうね」と呟いた。儂は「何かあったの?」と聞くと。
「そろそろ、婚約者を決められる頃の筈よ……本当、お金持ちになりたくないわ」
と溜息付いていた。
お家の家計問題とか、遺伝子がとかだろうか……儂には縁遠い話しで良かったわい。
それにしても、位堂……聞いたことあるんじゃが、何処じゃったかの?
「どうしたの? 鳴?」
「う~ん、位堂って名字聞いたことあって」
「それはあるとは思うけど……有名な会社をいくつも経営してる人だし」
位堂……位堂、昔かの? 有名、経営……うむ、思い出せんの。
もう少し、情報があれば気づけるんじゃが。
位堂さんが入ってきた。すると「鳴さんに替われって言われまして」と言って儂は、スマホを貸してもらう。
「はい……もしもし」
『おぉ、音羽に聞いたぞ! 何やら凄い事になってるんだってな!』
この声……もしかして、長男の晴男か! そうか……確か今は、位堂 晴男になっておったか。
位堂さんはスマホから聞こえる声でびっくりしていた。
「父が、こんなに高らかに喋るなんて……信じられませんわ」
「鳴、意外と交流関係広かったのかしら?」
儂は「少し自分の部屋で話します」と言って、部屋を後にした。
部屋に着くと、儂は喋り方を変え……晴男と話す。
「なんじゃ、音羽から聞いたのか」
『そうだよ、最近何も無かったのにいきなり電話かかってきて……お爺ちゃんが生きてる! って言い出してな』
「それ、ある意味怖くないかの?」
『というか、声も違うから……少し確認させてくれ』
そう言って、晴男は紙を漁るような音を立てていた。なんかあるのかの?
証明って意外と難しいと思うのじゃが……。
『次から言うことを、1つずつ答えてくれ』
「分かった」
『女性は好きか?』
「当たり前じゃ」
『今の体は?』
「女じゃな」
『どうだった?』
「最高じゃ」
晴男は、うんと言って『お爺ちゃんだ』と納得した。
どういう納得の仕方じゃ! いや、確かにこの体になった瞬間興奮で……おっとそれは別に言う必要は無いの。
『それにしても、本当にそんな事があるんなんてな』
「儂もびっくりじゃ、何時天国に行けるのかの?」
『それは俺も知らん、次女の萌菜なら専門だから知ってるかもしれんが』
「もう、全員の名前も覚えとらんわい」
晴男は『そりゃ15人も育てりゃな』と言っていた。
そういえば、子供? 居たんじゃな、しかもお金持ちとか聞いとらんぞ?
「子供居たんじゃな」
『言ったはずだが……まぁ歳だから仕方ない』
「酷いの~、今はピチピチの女子の体じゃぞ?」
『中身は完璧にエロ爺だけどな』
と晴男は言って、笑った。
懐かしいの、最後以来か……天国ってのはどういう所なのかの?
少し気になった。
『と、仕事があるから切るな、元気でなお爺ちゃん』
と言って、晴男は切った。
戻ると、位堂さんが「意外と長かったですわ……」と言っていた。
次は、11月5日予定です




