お爺ちゃん、ちょっと本気
儂達は、急いで教室に戻って体育の準備をして更衣室に入った。
二階堂さんや奏さんは息を切らしている。
儂等3人は特にそんな事も無く……穂村が「いやぁ~、間に合って良かったね」と言っていた。
雫は「ペースが早かったのに、鳴は息をきらさないのか」と言ってきた。
「退院してから、朝のジョギングは欠かせないないから」
「そうだったのか」
「意外~、お嬢様って感じに見えない」
あれ儂、2人に言ってなかったかの? 二階堂さんは「カナ、大丈夫?」と言い答えるように「大丈夫、だけど……3人の体力がおかしい」と2人で息を整えていた。
更衣室に入ると、いつもの様に儂はみんなから背中を向けて着替え始めた。
穂村は「鳴もこっち来なよ~、恥ずかしいのは分かるけどさ」と言いながら儂に抱きついてきた……下着姿で。
「ちょっ、ちょっとやめてよ……」
「ほらほら、変わらない。この爆弾ボディをみんなに~」
「花咲さん、の凄い……」
儂を無理やり、胸を揉んだり体を触っている。周りを見ると着替え途中なのに、こっちをみんな見ながら「花咲さんいいわよね~」「どうやったらあんな体に」「細いし、デカい」とみんなそれぞれ反応を示していた。
儂はと言うと……、みんなの下着姿が! くっ……恥ずかしがらないとはいえ、ヤバイぞこの光景は!
「その辺にしとけ、穂村……授業に遅れる」
「そだね~、いや今日も堪能した~」
「もぅ……」
雫の介入により、何とか離された。時間を見ると、ギリギリまで迫ってたため急いで着替えた。
体操着を着るのはいいのじゃが……胸揺れがの、ヤバイぞ? 男子の視線も気になるし、どうしようかと思うのじゃが……。
更衣室から出て、グラウンドに出る。
「遅いぞ」
咲葉先生が立っていた。特に追求するつもりも無いのか、そのまま始めた。
今日の内容は100m走の記録だという、他にも色々測るとか。
「それじゃ、準備運動を始めろ!」
儂達は男女に別れ、儂は雫とペアになり準備運動を行った。
その時、位堂さんがやってきて……「私と勝負ですわ!」と言ってきた。何時もそのポーズで言ってくるけど、流行っているのかの?
最近になって、何故儂に勝負を挑んでくるのか分からない。テストの事もだし、なんでじゃろう?
「位堂、何故そんな花咲を目の仇にしてるんだ?」
「だって私より目立ってじゃありませんか!」
「……それだけ?」
咲葉先生が言うと、位堂さんは当然の事の様に叫んだ。儂はそれに唖然とした声を上げていた。
位堂さんは「それだけとは何ですか! 私にとって大問題ですわ!」と理解も出来ない事で怒られた。
儂はどちらかというと、目立ちたくないのじゃが……。
「花咲、受けてやれ……こうなったら止まらん」
「真面目にやらなくていいですか?」
「あの件本当にやりますわよ?」
位堂さんは、それが儂を焚き付けると思っているのか。軽く言っている、咲葉先生は「あの件だと?」と位堂さんに詰め寄っていた。
少し動揺していたけど、あの件に付いて位堂さんが喋ると……。
いきなり凄い形相で怒鳴った。
「馬鹿か貴様は!」
「ひっ!」
「お前は、自分が何を言っているのか分かっているのか?」
儂はこれは不味いの……と思い。位堂さんの前に出た。それは助けるとかじゃなく、儂は訴える……これは儂達の問題だと。
だから儂は「大丈夫ですよ、勝負ならしますから」と咲葉先生に言った。
そう言うと渋々、怒鳴り声を上げるのをやめた。
「今回はこれで許してやる、お前は簡単に権力を振りすぎだ……」
「は……はい」
そう言って、咲葉先生は少し離れ……みんなに叫んだ。
「今回は特別だ、位堂が花咲と勝負したいらしいから。どっちが勝つか予想してみろ」
要は負けた方はいい晒者って事じゃな。でも儂は負けても問題ないし、わざと負けようかの……でも。真面目にやらなきゃやると言ってたからの……。
しょうが無いの、少し本気を出すかの。
みんなは「位堂さん万能だし……」「花咲さん、そこそこじゃなかった?」など話し合っていた。
「よし、準備運動も終わったんだから。勝負してみろ」
「ふんっ! 私に勝てるわけありませんわ!」
調子が戻ってきたのか、儂に言い放ってきた。
可愛げが無いの……これが良いという人もおるが、儂はそんなに好きでは無いの。
儂達は、グラウンドに引かれた白い線で100mを走る事に。
「どっちが勝っても、恨み事はするなよ?」
と咲葉先生は言っていた。
ちなみに穂村は「圧勝だと思うけどね~」と、雫は「鳴に勝てる訳無いだろう」と儂の方が勝つという予想したようじゃ。
そんなに期待されてもの……体がまた、悲鳴を上げそうで怖いわい。
「位置について……よ~い、どん!」
と位堂さんと一緒に走り出した。速度は同時くらいで、50mでは普通の速度だが……。
儂はそこで、走り方のフォームを変える。走りやすく、体の負担が掛からない走り方を。実際は、途中で変えるのは不味いのじゃがな。
「!?」
一緒だった速さは、どんどんと開く。
100mを走りきると、遅れて位堂さんがやってくる。咲葉先生はなんか満足げだった。
儂は、少し体の負担が大きかったのか。よろめきそうになったが、見つからないように離れる。
「鳴!」
「本気で走るのは、止めたほうがいいと言われてるのに~」
「許せなかったんだもん……」
2人が走ってくると、安心して少し倒れ掛けそうになった。雫は儂を支えた……穂村は何時もの口調だが、少し怒ってる感じがした。
位堂さんは、咲葉先生と話しているようだった。
女子達は、儂の方によってきて「途中から凄く速かったよ!」「意外~、走るの得意だったの?」とか色々聞かれた。
授業はその後、穂村と雫に説得され……授業を見学することになった。
その後、保健室に直行させられた……。
10月28日予定!




