お爺ちゃん、学校の休日過ごす
前半、家の話です
眠っている間に、家に送迎されて。目を覚ました時は、ベットの上だった。
儂は少し気だるさを感じながら、ベットから起き上がった。するとノックと共に母が入ってきた。
「起きたのね、鳴……大丈夫? 教師に暴行されそうになったって聞いて……」
「お母さん、大丈夫。私は無事だったし……」
あれ? 何でじゃろ、涙が流れてくる。ダメじゃ止められん……分かってはおる。怖かったのも、じゃが儂自体は何の恐怖は……無いわけでは無かったが。
母は涙を流し戸惑っている儂を抱きしめていた。泣き止むまでの間、抱きしめ撫でてくれた。いい母親じゃの。
落ち着いた頃、儂の元から母はご飯を作ってくるという事で、部屋を出ていった。
この体と儂の精神が、一致してないという事か……。孫が読んでいた……異世界転生? じゃったか、それの通りだと普通に生活出来るはずなのじゃがな。
儂の精神では恐怖は平気であっても、この体が感じる恐怖は動けなくなるほど。それも含めて鍛えていかねばなるまい。
体力作りと精神の鍛えか……。儂はどちらかと言うと、精神は鍛えないで可愛らしい女子でいたいがの。
ムキムキで何も怖く無い女子なんて可愛くないじゃろ?
儂は気づいた、明日学校が休みだと。この学校は土日が休みで、今日は金曜日。
どうせなら、色々な事してみたいからの。服とか……下着かの? 変態じゃないぞ? 今はれっきとしたレディじゃからの。
あれから、母がご飯を持ってきたので。明日、休みの日に買い物に行きたいと言ったら許可を貰った。
ご飯を食べていると母が咲葉先生を連れて戻ってきた。
「花咲……いや、ここじゃ鳴と言ったほうがいいか。大丈夫か?」
「はい、少し泣いちゃいましたけど。問題は無いです」
「そうか……明日の買い物、私が同行しても構わないか?」
「別にいいですけど……どうしたんですか?」
咲葉先生は、照れくさそうに頬を掻きながら「お前が不注意すぎるから、監視だ」と言っていた。母はクスクス笑って「加音ってば、素直になれないんだから」と言っていた。
それもそうか、儂だけじゃこのご時世何されるか分からんしの。
儂はその後、お風呂を入ったり……興奮したのは、変わらないがの……。して眠りについた。妹も心配してくれたので少し気持ちが暖かくなった。
休みの日、近くのデパートまで歩きで行くという事で。咲葉先生……もとい、校外なので咲葉さんと呼んでいる。
「お前が歩きというのも、珍しいな」
「確かにずっと車でしたし、体力作りも兼ねてるんですよ?」
「そうか……修学旅行の事が済んで、少しは学校の中も落ち着いてくれるといいのだが」
確かにの、ただどうも引っかかる事があるのじゃが……。まぁこれはまだ深く考えなくてもいいと思うの。
咲葉さんは何時ものスーツの様な服ではなく、ジーンズにワイシャツといった端から見れば凄く大人の女性という感じじゃの。
儂は、水色のワンピースを着て短パンを着けている。物を入れる小バックを持っている。いや……実際の着てから、儂……やばかったぞ? 鼻血吹き出しそうになったからの。
デパートは意外と大きくて、歩いているだけで疲れそうじゃ。周りの人達がこちらをチラチラ見てるし、胸の辺りが少しキツかったかの?
笑顔で歩いていると、ふと咲葉さんが話しかけてくる。
「相変わらず、お前を見る目は多いな」
「そうですね~、何ででしょうか」
「まぁ私が見張っているから変なのは寄ってこないと思うが……気を付けろよ?」
咲葉さん、女性なのかっこよすぎじゃ……あれで男性だったら惚れる人多そうじゃぞ?
人はいるけど、込んでは居ないためすんなり歩きながら、話をしたり物を見ている。すると人混みの中から、見覚えのある人が居た。
「あれは……位堂か」
「何やってるんでしょうか?」
何やら店で揉めている、黒服の人達が押しかけてるとも言えなくないけど。それを指揮しているのが位堂さんだった。
咲葉さんと一緒に行くと、こっちに気づいた。
「咲葉先生!? ……あと花咲さんも」
「何やってるんだ?」
「い、いえ……何も」
誤魔化そうとしてるけど、絶賛黒服の人が何やら押しかけているので。言い逃れしてもしょうが無いないと思うのじゃが……。
そういえば、この店何処かで見た覚えがあるの。なんじゃったか……そうじゃ、そうじゃ。
孫の長女の音羽 楓が経営してる会社じゃ。こんな所にも進出しておったんじゃの。
衣装の制作から素材まで様々な、事を社長である音羽が仕切っている。儂の一番出来た自慢の娘じゃ。
すると、大人びた女性が位堂さんに講義にしにきた。
「お客様、今回はどんなご用件で?」
「この店の商品を全部買いたいというのに、何故許可してくれないのよ」
「それは、後日発送なら構いませんと言ってるじゃないですか」
ふと、気づいたのか儂達を見て……いや、儂を見て音羽が目を見開いていた。何かを気づいたような、表情じゃったが、どうしたんじゃろ?
「今欲しいのよ!」
「欲しいものを選んでください、全部買われては。売り物が無くなってしまいます」
「うぅ……分かったわ。今日は普通に買うわ」
音羽は位堂さんに一礼すると、中に案内した。そして儂の方に顔を向けると、こういった。
「貴女……何故か、懐かしい感じがするのよ。お爺ちゃん……いえ、失礼ね。ごめんなさい」
「いえ、構いませんよ~。音羽さんも頑張ってください」
「私、名前名乗りました?」
儂はやってしまった。つい何時もの癖で、喋ってしまった。咲葉さんがそれを引き継いだ。
「貴女の名前は有名ですからね、偶然知ってたんじゃないですか」
「そうね……でも、凄く雰囲気と似ていたから。……私もまだ割り切れてないのかしら……」
少しホッとして、胸を撫で下ろした。
音羽も頑張っておるの、つい昔の様に頭を撫でたくなるわい。大人びたと言っても、意外と子供っぽい所あるからの。
「失礼しました、私は店内に戻りますので。よかったら見ていってください」
儂達はその後、色々な所を周って服を何着か買っただけで今日1日を終えてしまった。
次は、10月7日更新予定




