お爺ちゃん、部活動見学?
男子がネタ枠になりつつ
儂は、放課後になったため。何時もと変わらないように、迎えを呼び帰ろうとした。
席を立ち上がった時に、桐花さんがこっちに手を振って、歩いてきて儂に話しかけてくる。
「花咲さん、これから暇ですか?」
「はい、部活動もしてませんし。これから帰ろうかと思います」
「ちょっと時間くれない? 内の部活、剣道部なんだけど事故の事を話したら。興味持たれちゃって!」
部活動か、確かに悪くわないがの……青春をしたいわけじゃないしの。見学するくらいでいいかの、体は無理させちゃいけないのを話しておるからの。
周りを見渡すと、そのまま部活動に向かう人が多かった。内のクラスは、運動部と文化部の両方に所属してる人も多いしの。
「それでは……見学だけで、いいですか?」
「是非! 私は、先に言って部長達にも話してくるから剣道場に来てね!」
「はい」
何時も以上の元気な声で、カバンを持って走っていってしまった。場所は……1階にある運動部の部室がある南側の突き当りみたいじゃの。
この学校は長方形の形をしていて、南には運動部の部室棟があって。それぞれ、グラウンドは陸上部、真ん中のグラウンドとは反対側の場所にある体育館はバスケ部、突き当りには剣道部の剣道場、グラウンドの反対側の南側はテニス部のテニスコートがある。
教室を出て、1階に移動してグラウンドの方に目を向けると陸上部が準備運動を終え、走ろうとしている時だった。
男子、女子の順番に走るようで。先生の声と生徒の声が聞こえる。
陸上部の先生は、体育の授業の先生。咲葉先生だった。
「それじゃ、男子が先に走れ! 何時もの様にだらけてると、1周増やすからな覚悟しろよ!」
「「「「はい!」」」」
相変わらず、凄く通る声で喋っているの。儂もこんな声で言われたらビクッてなるわい。すると男子達は、円陣を組み何やら話し込んでいた。
咲葉先生も何やってんだ? という感じに見ていた。
「……お前ら、此処は一発気合い入れて走るぞ」
「……でも部長、やる気なんかどうやって出すんですか。俺女子しか興味無いですよ」
「「「……俺らもだ、どうするんですか。部長」」」
何やら、大事な会議をしている様にも見えるが。なんか凄くこっちをチラチラと見ているの、儂としては何してるんじゃ? という感じだ。
「……あそこにいる、突然現れた美少女の好きな所を1つ言ってから。走る」
「……何! それなら、俺は胸だ」
「「……俺は尻だ(足だ)」」
「「……胸に(顔に)決まっているだろう!」」
そして円陣を解除して、儂を全員一斉に見て一言。
「「「「貴女が好きです! 色々な所が!」」」」
「馬鹿やって無いでさっさと走れや!!」
「「「「ぎゃ――――――!」」」」
そう言って、走っていった。咲葉先生も怒鳴り散らしながら、追いかけていった。
陸上部のメンツも面白そうじゃの、儂は顔引きつりながらそんな事を思っていた。何の会議をしてるかと思ったが、ただの好きな所を言い合ってただけじゃの。
ちなみに女子は、タイムを測っているようだった。呆れてる人もいれば、笑ってる人もいるので。日常茶飯事なのかもしれないの。
その間にも、男子は何か話しているようだった。
「「「部長このままでは、追いつかれます!」」」
「こうなれば、プランBだ!」
「プランBって何ですか!」
先頭を走って逃げる男子は、後ろを少し振り向き。男達に言った。それは儂にも聞こえる声で。
「逃げるんだよ――――!!!」
そういった瞬間、全員がグラウンドを。先程と比べ物にならないくらいの物凄いスピードでグルグル周った。
それに着いてきてる、咲葉先生も凄いの。
儂は、その内陸上部も見学してみようかの、と思った。そして儂は、剣道部の部室である。剣道場に向かった。
着いて、ノックと共に扉を開くと。
それぞれ準備運動をしているところだった。女子が意外と多く、男子は少人数だった。
袴で汗の滴る女子……これは、凄くエロい! くっ儂の知らない桃源郷あったのいうのか! そんな葛藤をしていると、桐花さんが気付いて。手を振ってくれる。
丁度準備運動を終えたのか、代表の女性がこちらに歩いてくる。
「こんにちわ、貴方が例の雫さんが言った。娘だね?」
「はい、どんな風に言ったのか凄く気になりますけど……」
周りの部員は口々に「……あれが、雫さんの言った武人?」「……普通の女の子、というか何時もクラスで本読んでる娘じゃない?」「……でも凄く立ち姿綺麗だし、何かやってるかも」など、ヒソヒソ声が聞こえて少し。怖いです。
儂の目の前の女子は、そんな部員に2回程。手を叩き、仕切る。
「はいはい、部員がすみません。雫さんがこんなに褒める人なんて、居ないからみんな珍しがっているの」
「は、はぁ……」
そう言って、部活動の見学を初めた。儂は邪魔にならないように入り口の近くに体育座りをした。
道着を着て、鎧着けるため。顔を正面で見ないと誰だか分からない。
ただ、桐花さんの動きだけは凄く。部員の誰よりも気合が凄く、ワンテンポ以上早く。力強い動きが見える。
昔、刀を使っていた頃と比べれば。微々たる物ではあるけど、剣道という物はいいかもしれないの。まぁそんな事をする気も無いのじゃがな。
だっての……部活動に集中すると、色々な女子とイチャイチャできんではないか! 帰宅部であれば、暇な女子と一緒に帰ったりすることも出来るからの!
気合を入れて、叫ぶ様は凄く、剣道場の空気をピリピリさせる。すると、先程の儂の前にでた。今は部長と呼ばれている人に声を掛けられる。
「貴女もやってみる?」
「私は……あまり無理をするなと医者に言われているので」
「そうだったのね、それなら桐花さん言ってくれればいいのに」
言ってなかったのか! 道理で儂にそんな事を聞いているわけじゃ、それにしても部長と呼ばれる彼女はショートヘアだけど、胸はそこそこにデカくて。儂は座って、この女子は中腰なのじゃが……。
先程まで、動いていたせいで。袴が汗で濡れて、汗が胸まで……くそう。威力が抜群で凝視するのが怖いわい。でも、せめて顔を見なければならぬ……でも汗で綺麗な顔が……うむ、満足じゃ。
「どうしたの?」
「い、いえ……なんでもないです」
儂は首を傾げた、彼女にあわてて否定する。そして、一通りの部活動を終えたのか。みんながこっちに向かって走ってきた。
「部長、終わりました」
「今日は見学が居て、緊張しただろうから。今日はここまでにしよう」
「「「「はい!」」」」
儂が動けなくても良かった気がするの、下手してここで上手くやってしまうと。勧誘が凄い事になるかもしれんの。桐花さんが認めてる時点で来そうな予感はするのじゃがな。
そう言って、部長の彼女は部員と共に。片付けをし始めた。
部員はみんな帰り、部長と桐花さんが残った。
そして、3人になったのを確認してから。桐花さんにお願いされた。
「花咲さん! 試しに、木刀を持って気合をお願いします!」
「え? 本当にやらなきゃダメ?」
「私も見てみたいな、気合1つでも分かるのは分かるから」
部長は、笑顔を浮かべているが。裏は凄く、見定めるような鋭い瞳を隠していた。
しょうがないの、気合だけじゃからな? 儂、動くと医者に何言われるか分からないからの。
儂は集中する……ただ1点の言葉だけに、それは刀では無い、木刀にだって宿る程の。魂震える声を。
周りは一気に冷え込み、ただならぬ雰囲気が儂以外の2人を包み混む。それは、恐怖などの感情を出すほどの。
そして放つ。
「はぁあ!!!」
その一言だけで、一瞬にして冷え込んだ。風は吹き飛び、何も無い空間の様に。静けさだけが残った。
2人は呆気に取られて、何もしばらく発する事が出来なかった。
「ふぅ……こんなもんですか、凄く集中力使うので。簡単にやってくださいなんて言わないでくださいよ?」
2人は儂の言葉で正気に戻ったのか、無言で拍手をしていた。
「どうしたの?」
「「凄すぎますよ! 何処でそんなの学んだんですか!」」
2人して、テンションを吹っ切れた様に私の手をそれぞれ握っていた。部長の彼女が「それと……」と言って、入り口の方に向かい。
扉を開けると、部活をやっていた部員が全員そこに居て。なだれ込んできた。
「これで文句無いでしょ?」
「「「「はははっ……」」」」
みんなは枯れた笑いをしていた。
その後、儂はみんなと別れ。迎えを呼んで家に帰る事にした。
次は9月28日予定です




