お爺ちゃん、走る
タイムが全国大会(多分)レベルになってたの修正
儂達は、体育の授業を受けている。
男子と女子に別れ、準備運動を始める。
2人1組で行うため、儂は誰か居ないかと迷っていると。
「私とやらない?」
短いポニーテールにした。儂より少しデカい凛々しい顔つきの女子が近づいてきた。
えっと、この女子は……。
「名前知らないの仕方ないか、私の名前は沼田 穂村よ。よろしくね」
「私は……」
「花咲さんでしょ? 見た目変わっててみんなびっくりしてるんだから」
儂は必死に頭の中を探すけど、思い出せないの。本当に知り合う事は無かったみたいじゃの。
ただ、こっちを見て首を傾げていた。
「雫が言う程、鍛えてる様には見えないんだけど。能ある鷹は爪を隠すと言うし……うん」
「私はそこまで運動は得意じゃないですよ……」
「それは嘘だね、貴女の歩き方1つ見ても。全身に負担を掛けなように歩いているのが分かるもん」
うむ、歳をとる度に体を悲鳴を上げてくるからの。動き1つを洗練させて、体の負担を抑えたり。色々鍛えておったからの。孫も希望すれば、一緒にやっておったし。
そのお陰か、腰を折ってしまう事無く。病気を患う事もなく生涯を終えられたからの。まぁこの様に女子になってしまったがの。
そう思いつつ、ストレッチをする。
「う~ん、体が硬い~」
「ほらほら、その豊満な胸を揺らしながら頑張るんだ」
「変態みたいですよ~」
体硬いの、ジョギングした時も割りとすぐ息切れしてしまったからの。意外とこの女子は押しが強い。体も柔らかく、スポーツをメインにやってるのかもしれんの。
そして、ストレッチする度。胸が揺れるしょうがないがの~。男子の視線がみんな女子の方に向いて、手を止めてる。
それを見た教師が怒鳴り、ちらしている。
「あはは、相変わらず男子はこっちを見てるんだね~」
「あまり見られていいものでは無いですよ」
「そうだね、かくいう私も見られるのは抵抗ある……けど!」
そう言って、ストレッチが終わって立ち上がった儂の胸を揉みしだいで来た。
なぬっ! ちょっとそれは、流石に恥ずかしいってレベルじゃないぞ! 自分の体に興奮してしまうが……、儂は何とか振り払い沼田さんを睨みつける。
「な、何するんですか!」
「いやぁ~、眼福眼福。私にも少し分けて欲しいくらいだよ」
全く悪びれていないの。周りを見ると、何故かこっちにみんな視線を向けていた。一部の女子は嫉妬の篭った視線。また一部は、自分の胸と見比べて落ち込んでいた。
そんな事をしていると、教師の咲葉先生がやってきた。
「終わったか」
「初めに、100m走をやってもらう。その後……」
なるほどの、まぁ儂はこの体でどのくらい走れるかみたいからの。本気で走る訳では無いし構わん。
すると、儂の脇にいた。沼田さんが儂に言ってくる。
「私と勝負しない?」
「嫌です。無理しないように言われてるんですから」
「残念、今回は雫と競う事にするか」
そういえば、この2人はよく体育の授業で。抜きん出てタイムを出していた。その内、部活に強制連行されそうじゃわい。
儂……この子は帰宅部じゃからな。
そう思っていると儂だけ置いてかれそうなので、慌ててみんなについていく。
「それじゃ、順番にやっていく。花咲、あまり無理して走るなよ」
「はい」
儂の事を結構、気にかけてくれるんじゃな。何かあったのかは、思い出せそうないが……好意に甘えようかの。
次々に走り、タイムを記録していく。女子の平均タイムは15秒くらいだ。
沼田さんと桐花さんの番になる。
周りの女子が「あの2人はどっちが勝つのでしょう」とか「2人に勝てる気がしません」など呟いている。
開始の合図と共に2人が走る……。
沼田さんの方は最初は控えめに走り、雫さんの後ろ辺りに着く。
一方、雫さんは一定のペースで走っていた。ただ、少なくとも普通の女子より早かった。
沼田さんが一気に追い上げをして、ほぼ同着となった。
「お前ら相変わらず、タイムが違うな」
咲葉先生も溜息つきながら、呟いている。タイムは両方とも12秒台。女子のタイムを上回っていた。
「次、花咲と……」
そう言って儂は、開始の合図と共に走る。意外と速度は出なかったが……まぁ一定のペースで走っていたため。そこそこのタイムだ。
15秒台だから可も無く不可もなく。
「いやはや、本調子でなくてそれなら。同じタイム行けるんじゃない?」
「無理ですよ、一緒にしないでください」
「穂村もう少し、自重して」
儂が終わって、みんなが集まっているところに戻ると。2人が話掛けてくる。この2人は仲良しなんだろうか。
美しい友情なら儂は大歓迎じゃ。
それにしても、少し鍛えんと本当にヤバイかもしれんの。痛まない程度に走ったとはいえの。
授業は続き、午後の授業が終わり放課後になった。
次は、9月25日予定です




