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目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~   作者: そらのあお
禁忌の子
9/83

交渉

9話目です。

朝、私はある魔法のおかげで、ぐっすり眠る事が出来た。

ある魔法とは、「空気布団」(エアクッション)だ。

これは、床で寝るのが嫌だったので作ってみた。

それとセスの事があったので念のため「時空障壁」(エターナルバリア)を使用した。


(う~ん、よく寝たぁ。ご飯がくるまでスキルを試してみようかな)


私が念のため「時空障壁」(エターナルバリア)はそのままにして、スキルを試そうとした時


――カシャッカシャッ


足音が近づいてきた。


(あれ?足音が1つしか聞こえない……スキル「気配探知」………やっぱり気配も1人分だ……もしかして……)


――カチャカチャ――ガシャン

――キィー


ドアが開き男の顔が見えた瞬間、私は部屋の角に逃げていた。

入って来たのはセスだった。


――バタン


「……よぉ、起きてるな。メシを持って来た。ここに置いておくぞ」


セスは食事を机に置いて、こちらに近づいて来たが

何か(・・)にぶつかり足を止めた。


「うおっ!?……何だ?」


セスは手を伸ばし確かめた。


「これは……結界か?…………へぇ~……」


セスがニヤニヤしながら私を見てきた。


(ギャー!「時空障壁」(エターナルバリア)の解除忘れてた~!でも、今解除するとアイツが来るしっ……)


私が悩んでいると、


――ドカッ


セスが胡座で座り込んで、笑みを消して話しかけてきた。


「そのままでいい、お前と話がしたい」


私はセスの思いがけない言葉に、返事を返せずにいる間、彼は待っていた。

その態度と真剣な目を無視できず、話してみることにした。

『時空障壁』(エターナルバリア)を解き「障壁」(バリア)に切り替えた。


「話って何ですか?」


私が返事をすると、


――ボフンッ


セスを煙が包み姿が見えなくなったと思ったら、煙の中から知らない声が聞こえた。


「感謝する!改めて自己紹介だ」


煙がはれた時、そこにいたのは昨日見た獣人だった。


「俺の名はチェイス!人狐族だ。まあ昨日の時点で分かっていたみたいだけどな。話したいのはその事についてだ。お前、『鑑定』系スキルを持ってるな?それもかなり上級の」


私はセス――チェイスの言葉に驚いた。


「!?どうして……」


「俺の『隠匿』はレベルが高い。それを見破れるのは『看破』のスキルかそれ以上の物しかないからさ」


私は返答に困ってしまった。


(どうすればいい……スキルの事は話さないほうがよさそうだし……でも何て誤魔化す?)


「どのスキルかは答えなくていいさ。ただ、そのスキルの力を貸して欲しい。」


(スキル?……何か態度も違うし)


「どうして『禁忌の子』(私なんか)のスキルが必要なんですか?」


「っ!?今までの事はすまないと思ってる……たが、あれはお前の為でもあったんだ」


私は、チェイスの言ってる意味が分からなかった。


「私の為?あれのどこが私の為なんですか!」


「俺がああしなければ、あの女に何をされてたか分からないからさ……俺がああいう態度をとっていれば、少しは気が晴れるだろうからな」


「あの女?メイド長ですか?彼女がどうして」


「あの女はお前の父親、ディエゴ・ベイリーを崇拝していて、『禁忌』である双子を産んだ母親とその双子を憎んでるからさ。弟が生まれてからは、あからさまに弟の方ばかり世話してるしな」


「!?っそれって、2人は大丈夫何ですか?」


「お前……あぁ表立っては何も出来ないさ、双子の事を知る人間は限られてるからな」


私は、チェイスの話を聞き昨日の事を思い出していた。


(昨日、2人を包んでいたオーラ。『心眼』は感情をオーラとして見る事が出来、感情によって色が変わるらしい。

チェイスの色は青で、メイド長の色は……黒だった。

チェイスが言う事が本当なら、黒は憎しみということで、なら青は?)


私が考え込んでると、セスが話かけてきた。


「何故だ?」


「え?」


「何故2人を気にするんだ?会ったことも、会いに来たこともないのに。血が繋がってるからか?」


セスの言葉に、私は前世の事が頭にうかんできた。


「血は関係ないです。私はただ、自分ではどうしようもないことで、責められるのが納得いかないだけ……今は私が地下室(ここ)にいるけど、もしも私が“妹”だったら?“双子”じゃなければ?“双子”が禁忌じゃなければ?……母だってそう……沢山の可能性の中で、たまたま“こう”なってしまっただけ……それで恨んでも何かが変わるわけじゃないし、悲しいし悔しいけど、それは2人を心配しない理由にはならないってだけですから」


(小学校の時、『小夜』が孤児だと知ってイジメられた事があった。その事で卑屈になっていた時に、お義父(おとう)さんが言ってくれた言葉だけど……今は私もそう思うから)


私が思ってる事を伝えチェイスを見てみると、目を見開き口を開けたままこちらを見ていた。


(ん?どうしたんだろう……私、変な事言ったかな?)


「……お前いったいいくつだ?たしか4歳だったよな……どうやったらそんな答えが出てくるんだ」


(はっ!?そうか!普通4歳児がこんな事考えないよね)


「そっ、そう言えば力を貸すって……どうしたんですか?」


――ジトー


「「……………………」」


2人はしばらく見つめあっていたが、チェイスの方が先に折れた。


「はぁ~……実はな、俺はトラスト王国で仕えている主がいるんだが、3ヵ月前その主の子どもと他にも何名か誘拐された。俺たちが手分けして痕跡を追っていたら、このベイリー家にたどり着いたんで、変化して潜り込み探しても、仕掛けがあるようで見つからなかった。それで、お前のスキルで探して欲しいんだ」


「誘拐……でも“俺たち”って事は他の人もいるんでしょ?『禁忌』()に頼んで大丈夫なの?」


事情を知り力になりたかったが、『禁忌』ということで何を言われるか分からなかったので聞いてみた。

だが私は、チェイスの次の言葉に唖然とした。


「あぁ!その事なら大丈夫だ!何せ双子が『禁忌』と言われてたのは何百年も前の事で、言ってたのだって人族だけだし、今じゃこのアンブラー帝国だけだしな!ハッハッハ」


(………………………………………………はあ!?)


「なっ!………落ち着け、落ち着け、私落ち着け~……って無理!っスキル『冷静沈着』」


私は、自力で冷静になれなかったので、スキルを頼った。


「お、おい……大丈夫か?」


「はい。今、大丈夫になりました」


「そうか……本当は国に応援を呼ぶ予定だったんだが、領主が3日後に戻ると聞いて焦ってたんだ。領主が戻り次第、誘拐された奴らは奴隷として売られちまうらしいからな」


「奴隷!?そんなの酷い……」


「奴隷事態は珍しくないさ……特にこの国は人族……いや、自分たち以外はみんな奴隷と同じだからな。他所から拐ってきては違法取引で売るのさ」


私は、自分が生まれた家がそんな事に係わっていると知って驚いた。


「さすがにこれじゃあ応援は間に合わないし、困ってた時に昨日の事があったと言うわけさ」


「でもどうやって探すの?」


「取り合えず、めぼしを付けてる場所を鑑定して欲しい。見つけたら後は俺たちの仕事だ。それで報酬なんたが、お前も連れ出してやる。行きたい国があるならそこまで連れて行ってもいいしな」


「……………え?」



























読んでくれてありがとうございます。

次回、「誓約魔法」です。

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