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目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~   作者: そらのあお
小話~○○の日記~
78/83

モフモフしたい!

やぁ、僕は黒龍のフィアフルだよ。

今は子どもの姿に変化して、アルベルトとして生活してるんだ。

今日は僕のフェリーチェが、とても楽しみで待ちに待ってた日なんだ。

昨日なんて、ずっと上の空で夜もなかなか寝なかったから、魔法で眠らせたよ!

今も、目をギラギラさせながらスキップしてるし。

え?キラキラじゃないかって?

違うよ、ギラギラだよ!

ご機嫌なフェリを見てるうちに、目的地に着いちゃった。

入り口に出迎えが来てるね。


「あ!ブレイクさ~ん!」


そう、今日の目的地はブレイクの家、つまり獣人の家だよ。

ギラギラで間違いじゃないって、分かったでしょう?

フェリの様子に引きながらも、それを感じさせずに案内してくれるブレイクって凄いよね!

まぁ興奮してるフェリが、気付いてないだけなんだけど。

ブレイクに案内されたのは広い中庭で、そこで小さなモフモフが戯れていた。

フェリはずっと我慢していた。

獣人にとって、耳や尻尾を触らせるのは家族と伴侶だけらしく、それでも10歳位までは触っても問題ないと聞いてから、この時をずっとずっと待っていた。

だから、フェリは直ぐ行動に出た。


「きゃーーー!こんにちはーーー!」


叫びながら駆け寄ってきたフェリを見て、小さなモフモフたちは………一目散に逃げた。

フェリはその場で止まり動かない。


「何で?アル~」


フェリが泣きそうな顔で抱き付いてきた。

‘顔だよ’と言いたかったが、笑いを堪えるのに精一杯でそんな余裕は無かった。

結局その日は近付く事ができずに帰り、かなり落ち込んでいた。

まぁ逃げる気持ちは分かるよ。

あんな顔で近付いてきたら、僕なら近付かせないし近寄らないね!

それから、フェリとモフモフたちとの攻防戦は始まった。

ある時は玩具で、またある時はおやつで釣ろうとするが、警戒心の強いモフモフは手強い!

見かねたブレイクが手を貸そうとするのを僕が止めた。

言っておくけど、‘初日の前の日に上の空で相手にされなかった仕返し’とか、‘フェリがモフルのは僕だけでいい’とか思って止めたわけじゃないからね!

だから、そんな目で見ないでよブレイク!

そんな攻防戦もある日、終わりを迎えた。


「あのさ、そんなギラついた目で来られたら逃げるに決まってるじゃん。焦らなくても消えないから、ちょっとは落ち着いたら?」


と言う言葉と共に現れたのは、8歳の少女だった。

なんと、ブレイクの娘らしい。

‘余計な事を’なんて全然思ってないよ。

少女のアドバイスに素直に従うフェリに、小さなモフモフが逃げる事は無くなり、フェリは念願のモフモフを堪能する事に成功した。

それを黙って見ている僕の横に来て、少女が一言。


「もしかして嫉妬?余裕ないの?好きな子の幸せを喜べないなんて……カッコ悪」


去っていく少女に何も言い返せず、ただただ小刻みに震えていた。

僕は少女の言葉に怒ってるだけだ!泣いてるわけじゃないよ!

だから……だから、そんなに優しく撫でないでよブレイク!

その日の夜、僕はウルフに変化してフェリに撫でられながら眠った。

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