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目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~   作者: そらのあお
出会い
51/83

治療~平民~

50話目です。

翌日、時間に間に合うように家を出てエリックの家に向かった。

ドアをノックすると、ケイティが出てきて中に入った。


「おはようございます」


「おはよう」


「「「おはよう」」」


「おはようございます。えっと、皆に話したんですけど、怪我や病気のせいで動けない人が殆どなんです」


「では、私たちがそちらにお邪魔しますよ」


「考えてみればそうだね。気にしないで、僕たちの配慮がたりなかった」


「いえ!そんなことないです」


「すぐ、移動するのか?」


「そうですね。案内してもらえますか?」


「分かった」


早速、最初の家に向かい出発した。

案内されたのは少し古い一軒家で、ノックするとお腹の大きな女が出てきた。


「ミヤ、治癒師を連れてきたぞ」


「ジョン……本当にお金は……」


「大丈夫だ。ダンテも治してくれたが、金はいらないと言われたからな」


少し迷う素振りをみせたが、私たちを中に入れてくれた。

中に入ると、男がベットに横になってこちらを見ていた。


「あなた、ジョンが言ってた治癒師の方が来られたわ」


「こんな姿ですまない。下半身が動かなくてな。俺はマイク、妻のミヤだ。よろしく頼む」


「私はサヨといいます」


「僕はアル」


「さっそく見せてもいますね」


マイクの側に行き、手をかざし「心眼」を発動する。


(神経の損傷……脳のダメージは無し……筋肉が減ってるから戻して……腕の骨も変にくっついてる)


『回復』(ヒール)


魔法を発動すると、マイクの体が淡く光りだし少しして収まった。


「終りましたよ。マイクさん、ゆっくり足を動かしてみてください」


「もう終わったのか?足を…………嘘だろ」


「あなた!どうしたの!?」


「ミヤ……動くんだ……足が動くんだ!」


マイクは飛び起きて立ち上がり、ミヤに見せるようにジャンプまでしだした。


「ほら!立てるし、跳べるぞミヤ!」


「マイクっ!良かった……良かった!」


2人は抱き合い涙を流した。


「ゆっくりって言ったのに」


「まぁいいじゃない。治ってるんだし」


「うん……ってジョンさん泣いてるの!?」


「な、泣いてない!埃が入っただけだ……グスッ」


強がるジョンを見て、皆で笑った。

マイクとミヤが落ち着き、改めてお礼を言われたので、栄養があるものを食べるように進めると、お金がないから無理だと言ったので、アイテムボックスから肉や野菜、果物を取りだし渡した。


「こんなにたくさん、もらえませんよ!」


「いいから、もらってください。ミヤさんも大事な時期だから栄養とらないと!」


「どうしても気になるなら、知り合いの怪我人や病人を紹介してよ」


「え?……分かりました。声かけてみます」


「じゃあ次に向かうか?ケイティは残るんだろう?」


「あたしはミヤを手伝うよ」


ケイティと分かれ次の家に向かった。

次は、ダンテの友達の家で母親が病気になっているみたいだ。

ノックをすると、少年が出てきた。


「ダンテ!本当に来てくれたんだ」


「当たり前だろうケビン」


中に入り、自己紹介をした。


「初めまして、私はサヨです」


「僕はアル、よろしく」


「俺はケビンです。あの、母を……母をお願いします」


「任せて下さい」


寝室に案内されると、やつれた女が寝ていた。

ケビンは母親を見ながら、苦しそうに話し出した。


「母のリサです。母は昔から体が弱くて、父さんが死んでから俺のために無理して働いたせいで病気に……薬を買うために冒険者になったけど、全然よくならなくて。最近は寝てる時間の方が長いんです。心配で仕事も行けなくて」


「分かりました。見てみますね」


リサに手をかざし「心眼」で見ると、体全体に癌が広がっていた。


(ひどい……生きてるのが不思議なくらい……きっと、ケビンがいるから頑張ってるんだ)


『回復』(ヒール)


リサの体が淡く光だすが、今回は時間がかかる。

数分後、光が収まるがまだ目を覚まさなかった。


「あの、母は大丈夫でしょうか」


「大丈夫ですよ。病気は治しましたが、かなり危ない状態でした。ケビンくんの存在が引き止めていたんだと思います」


「母さん」


「最初は消化のいいものを食べさせて、栄養をとってもらいましょう」


私はアイテムボックスから果物と野菜、ケビン用に肉も出した。

料理を申し出ると、ケビンは‘材料までもらったのに申し訳ない。料理は自分で作れるので’と遠慮した。

ちなみにその時のアルの視線はあえて無視した。

暫くして、リサが目を覚まし体が治ったと知ると泣き出してしまい、ケビンが慰めていた。


「本当にありがとうございました」


「いいえ、気にしないで下さい」


「そうそう、知り合いの怪我人や病人の方はよろしくね」


「はい」


ケビンの家を出て、何人か治療していると昼食の時間になったので、5人で食事をしていた時に、店に男が駆け込んできた。

キョロキョロと誰かを探しているようだ。


「いた、エリック!」


「サム?どうしたそんなに慌てて」


「エリック!ダンテを治した治癒師を教えてくれ!ダイソンさんが!」


どうやら探していたのはエリックだったみたいで、見つけると詰め寄って来た。


「落ち着けサム!ダイソンさんがどうしたんだ?」


「ここじゃ話せねぇ」


「分かった。サヨ、アルいいか?」


「構いませんよ」


「すまん。ジョンは行く予定だった家に事情を話しておいてくれ」


「状態が悪い人がいれば教えて下さいね」


「分かった」


ジョンと分かれ、走りながら事情を聞いた。

なんでも、ダンテに怪我を負わせた魔物が森に現れたので、実力者を集めて向かったそうだ。

ダイソンは、戦闘中に怪我をした人を庇い重傷を負ったらしい。

まだ戦闘は続いていて、運べないので呼びに来たそうだ。


「エリックと一緒にいてくれて、助かったぜ。しかし、このお嬢さんが治癒師なのか」


「はい。サヨといいます」


「すまねぇ、俺はサムだ。そっちの兄さんは?」


「僕はアルだよ。サヨの補佐役かな」


「急な申し出を受けてくれてありがとう。あんたらの安全は必ず守るから」


「心配しないで、僕たち結構強いから」


「そうなのか?だが、相手はワイバーンの群れだから油断できねぇぞ」


「「ワイバーン?」」


「あぁ1匹ならなんて事ないが、今回は数が異常なんだ。100匹以上はいるかもしれん。S級のオースティン様たちにも知らせを出しているが、間に合うかどうか」


{アル……もしかして、鉢合わせしちゃうかな}


{タイミングしだいだよね。一応、僕が連絡しておくよ}


{お願い}


話している間に、戦闘しているのが見えてきた。

黒い影が空を覆っている。


「見えてきた!」


速度を速め、あっという間に怪我人に近づくと殺気を向けられた。


「ダイソンさん!俺だよサムだ!治癒師を連れてきた」


「サム……か」


私は急いで「心眼」で状態を確認すると、かなりひどい状態だった。


(骨折に内蔵破裂……神経もやられてるし、出血もひどい……これは回復だと時間がかかる)


『回復』(ヒール)


『復元』(レストレーション)


「!?サヨ!」


アルが、私がしている事に気付き驚いて声をあげるが、私は治療に専念した。

魔法が発動し、ダイソンの怪我はみるみる治った。


「……俺は……どういうことだ?体が……」


「「「ダイソンさん」」」


「もう大丈夫ですよ。体でおかしいところは、ありますか?」


「いや……大丈夫だ。あんたが治癒師か?俺はダイソンだ」


「私はサヨです」


「助かった。ありがとう。しかし、『回復』(ヒール)の魔法でここまで治せるなんてすごいな」


「え!?……魔力をたくさん使ったので」


「そうなのか?……ところで、そっちの男は?」


「……僕はアルだよ」


アルが不機嫌そうに答えるので、私以外の人は不思議そうにしていたが、私は冷や汗が出ていた。

その時、5匹のワイバーンがこちらに向かってきたので、冒険者たちが攻撃態勢に入るがそれは無駄になった。


「「「「「ギャーギャー」」」」」


「……煩い……下等種族が!……消えろ『地獄の炎』(インフェルノ)


アルの魔法が発動し、向かって来た5匹だけじゃなく残っていたワイバーンが全て灰になって消えた。

辺りを静寂が包み込み、私は泣きそうになる。


(やっぱり怒ってる!だって、使わないと助けられないし、しょうがないじゃん!だいたい何あの魔法!?私よりタチ悪いよアル!皆、驚きすぎて脳が停止してるから!誰か助けて~)


私の願いが届いたのか、天の声が聞こえた。


「なんだもう終わったのか?」


「無駄足になったようだなオースティン」


「そう言うなブレイク。ワシらの出番が無くて良かったわい」


「メイソンの言う通りですよ。さて、誰か説明してくれませんか?」


「ルイス……あいつら気絶してないか?立ったまま」


現れたのはオースティンたちだった。

助かったと思ったが、人生そんなに甘くない。

私はアルに無言で連れ出され、‘あんな発動の仕方で魔力操作を失敗したらどうするんだ!危険な真似はすな’と怒られた。

呼んでくれてありがとうございました。

次回、「治療~冒険者~」です。

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