禁忌の子
4話目です。
――キィーッ――ガシャンガシャン
ドアの開く音がして、誰かが入って来た。
「おい、メシだ!……なんだ、寝てんのか?はっ、いいご身分だな『禁忌』のくせに!」
(入って来たのは、男の人みたい。何でこんなに怒ってるの?『禁忌』ってどういう事だろう)
私は怒鳴り声にびっくりして、体が動きそうになったのを必死に押さえてた。
――カツン、カツン
「うるさいですよ。何をしているのですか」
開いたドアからもう1人入って来て、男に声をかけた。
(今度は女の人の声だ……もう少し寝たフリしておこうかな)
「すいません……わざわざ地下室までメシを持って来たのに、こいつが寝てるから腹がたったんスよ」
「寝ているのですか?この時間なら起きてるはずですが……そういえば、昨日は新開発した毒の実験をしてましたね。かなり効果が強いと言っていたので、そのせいかもしれませんね?」
(ここって地下室だったんだ。だから窓がないなかぁ……でも、毒の実験ってどういう事!?)
私は、聞こえてきた内容に驚き、起き上がりそうになったが、このまま2人の会話を聞いていた方が、いろいろ分かりそうなので、聞くことに集中した。
「フンッ、このまま起きなきゃいいのにな。もう、4年っスよ?まったく、当主様はいつまでこいつを生かしておくつもりなんですか?」
「口を慎みなさい。使用人が口出ししていい事ではありません。旦那様が決める事です」
「分かってるっスよ。でも実際、不思議なんスよね~何で『禁忌』である双子なのに、二人とも生かしておくのか。普通、どちらか殺すはずっスよね?」
「旦那様も生まれた時に、どちらかを処分しようとなさいましたが、簡易的な能力測定の結果を見て、どちらとも育てる事になったのです」
(育てるって……地下室に監禁するのを育てるとは言わないでしょ!?だいたい、何で双子が『禁忌』なの?しかも、生まれたらどちらかを処分――殺すって!?)
「育てる_ねぇ……2人とも能力が高かったって事っスか?」
「えぇ。姉の方は、通常の赤ん坊より魔力が高いのですが、一族の『固有スキル』を持たず、妹の方は魔力は普通ですが、『固有スキル』を持っていたので、妹の方を娘として育てる事になったのです。姉の方は、『固有スキル』こそ持ちませんが、高い魔力は貴重ですので……。しかし、『禁忌』とされる双子がいるなど知られる訳にはいきません。ですから、……」
「だから、姉の方は地下室って訳っスね。流石メイド長!詳しいっスね。でも、貴重と言うわりに最近、実験に使っているじゃないですか?」
(ここは地下室……ということは、『わたし』が双子の姉で、『妹』がいるのかぁ)
「それは、弟君が生まれたからです。弟君は、魔力も高く、『固有スキル』も持っているそうなので、いずれは立派な当主となる事でしょう」
「そりゃあ安心っスね。なら、こいつは用済みでしょう?」
「ですから、それは旦那様が決める事です。それに、まだ使い道はありますよ……そろそろ時間ですね。戻りますよ」
「了解っス」
――バタン――ガチャン
2人共、部屋を出たようだ。
私は、寝転んだまま外の様子を伺う。
――カツン――カツン
――ガシャ――ガシャ
2人の足音が、遠ざかっていくのを聞きながら、私は体を起こしたが、しばらく呆然としてしまった。
数分後――
私は、2人の会話を思い出しなから、情報を整理する事にしました。
「何か…想像を越えてたな……情報を整理してみよう…」
さっきの会話で分かった事は――
*『わたし』は『禁忌』とされる双子の姉で、おそらく4歳。
*『わたし』は魔力は高いが、一族の『固有スキル』を持ってないので、地下室に監禁されている。
*最近、能力の高い弟が生まれた。
*弟が生まれてから『わたし』は人体実験されているらしい。
*この家は、メイドや使用人を雇うほどの家らしい。
(私、ここにいたら危ないよね?だいたい、開発した毒と薬の実験って……最近、始めたって事だけど、今の『わたし』は4歳なのよ?……そんな子どもに実験?普通じゃないよ!昨日は新開発の毒で実験したって言ってたから、もしかして『わたし』はその毒に耐えられなくて『小夜』が目覚めたって事なのかな?でも、『小夜』が目覚めた時は、体は何ともなかったよね?今までだってそんな実験されたら、無事なわけないと思うんだけど………とにかく、このまま此処にいても生きられるか分からないから、脱出する方法を考えないと……その為にも、まずは『ステータス』の確認からだ!)
私は、此処から脱出方法を考える為に、自分の能力を調べることにした。
「よし!ステータス!」
ここまで、読んでくれてありがとうございます。
次回、「ステータスをチェックしよう!」