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目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~   作者: そらのあお
出会い
39/83

新しい家

38話目です。

私の目の前で黒髪の美少年が、にこにこしている。

背は私より少し高いくらいだ。


「……アル?」


「そうだよ!」


元気よく返事をして、私に抱き付いてきた。

しばらくして満足したのか、アルはクロードに顔を向けた。


「これくらいならいいでしょう?」


「あぁ……大丈夫だが……この2人、人拐い対策もした方が……」


最後の方は聞き取れなかったが、肯定の言葉が聞けたのでアルが元に戻ると、アネモネが待ったをかけた。


「フィアフルは名前も変えた方がいいと思うが」


「何でだい?」


「黒龍のフィアフルを知っている者がいるからだ。正体は、なるべくバレない方がいいだろう?」


「そうだね……でも何て名乗ればいいの?」


アルが聞くとみんた考え出した。

するとアンジェラが私を見ながら聞いてきた。


「フェリーチェは‘アル’と呼んでいますから、そう読んでも違和感のない名前の方がよろしいのでは?」


「確かに……もう、アルでいいんじゃない」


「それじゃあつまらんだろうが」


アルの発言にエヴァンが不満そうにしていると、ブレイクが声をかけた。


「では、フェリーチェが決めたらどうだ?フェリーチェの名前はフィアフルが付けたのだろう?」


「それじゃな。いい考えじゃ」


メイソンも同意して、アルも瞳を輝かせて私を見るので、真剣に考える事にした。


「う~ん……アル……アルベルト……うん!アルベルトは?」


「アルベルト?何か意味があるの?」


「意味は、確か高潔だったと思うよ?アルにピッタリだと思ったんだけど……ダメ?」


「そんなこと無いよ!ありがとうフェリ」


「しゃあ名前も決まったことだし、今日から君たちはアルベルト・ファウストとフェリーチェ・ファウストだな」


「「ファウスト?」」


「ファウストは私の家名だ。養子縁組に必要な書類は用意しておくから引っ越しの準備をしておいてくれ」


「引っ越しするんですか?」


「そうだ。君たちには私の屋敷に住んでもらう事になる。それと、うちの者にはある程度事情を話させてもらうがいいか?もちろん外部に漏らすことは無い」


「それならいいけど。いつ頃になりそうかな?」


「3日はみててくれ。準備が出来たら連絡する」


「分かりました」


「分かったよ」


どうやら私たちはクロードの家で暮らすことになるようだ。

今回の話し合いはこれで終わりだと言われたので、アンジェラに孤児院について聞いてみた。


「アンジェラさん、孤児院を見に行く事って出来るんですか?」


「孤児院を?どうかしたの?」


「フェリは同年代の知り合いがいないから、調度いいかなって思ったんだけど」


「そうですね……あの子たちは最近孤児院に入ったばかりで、まだ不安定な子もいるんです。急に癇癪を起こす事もありますし、怪我をしてトラブルになるといけないので、今は無理だと思います」


「しかも、君は貴族になるのだから子どもだからといって怪我をさせれば問題になるしな」


「そうですか……」


アンジェラとクロードに言われ、しょんぼりするとブレイクが励ますようにある提案をしてくれた。


「なんならうちに遊びに来るか?チビどもが結構いるぞ?」


「いいんですか!?……小さいモフモフ」


「そういう事ならワシの所にも来るといい。確か同じ年頃の子どもがいたはずじゃから」


「うちは……見た目は同じですが年が……まぁフェリーチェなら大丈夫でしょうし。いつでも来て下さいね」


メイソンもルイスも誘ってくれたのが嬉しくて満面の笑みでお礼を言った。


「ありがとうございます!」


「良かったねフェリ」


その時、エヴァンが名乗りをあげそうになったがクロードの無言の圧力に負けて黙っていた。

解散になったので、オースティンたちと外に出ておすすめの店で食事をした時にフードを取ると、周りの視線を感じたので、オースティンたちに‘やっぱりS級パーティーって人気がありますね’と言うと生暖かい眼差しを向けられブレイクに頭を撫でられた。

アルには‘自覚がないよね’と訳が分からない事を言われたが、オースティンが ‘お前もな’と突っ込んでいた。

食事を終えて、引っ越しの準備のために別れて家に戻った。


「取り合えず、普段使わない物はアイテムボックスに入れておく?」


「だね。あとは使ってない部屋は魔法で綺麗にしておこうか」


「ロバートさんにも引っ越しの事を話しておいた方がいいよね?」


「それはオースティンたちがしてくれるみたいだよ。でも挨拶はした方がいいかな」


「今日行って、明日から片付けようよ」


早速、ロバートの商会に向かう事にした。

商会に入り、受付の人に‘ロバートに会いたい’と伝えると、奥の部屋に向かった。

しばらくすると、奥からロバートが出てきて個室に案内された。


「お久しぶりですね。どうされました?」


「こんにちは」


「やぁ、引っ越しの件で来たんだけど、オースティンから聞いてるかい?」


「はい、聞いてますよ」


「引っ越しの時に、やっておく事とか書類とかは無かったですか?」


「そうですね……物を残さないようにしていただければ、掃除はこちらで行いますし、書類も大丈夫ですよ。引っ越しの日取りはこちらにも連絡が来るので、その日に伺って鍵を受け取りますね」


「分かりました」


「短い間だったけど助かったよ。次に会うときは姿が違うけど宜しくね。名前もアルベルトになるから」


「アルベルト様ですね。承知しました」


「それじゃあ失礼するよ」


「ありがとうございました」


ロバートに見送られながら商会を後にした。

次の日、片付けをしているとアンジェラが尋ねてきた。


「明日、クロード様が迎えに来るそうなので、フィアフル様は変化しておいて下さいね」


「分かった……フェリ、どうしたの?」


「……うん……」


私がアンジェラを見ながら黙り込んでるのが気になったのか、アルが話しかけたが気のない返事をしてアンジェラまで心配させてしまった。


「フェリーチェ?具合が悪いの?」


「え?……あっ!何でもないですよ!ちょっと考え事してて……大丈夫ですから!」


「そうですか?……無理はしないでね」


「はい!……あのっ、アンジェラさんも走ったり転んだりしないようにしてくださいね!」


「?……えぇ気を付けるわ。ありがとう」


アンジェラが帰ると、アルがジーっと私を見てきた。


「フェリ?アンジェラがどうかしたの?」


「…………」


「フェ~リ~?」


「うっ……確証はないの……でも」


「ん?……もしかして」


「アルも見てくれる?自信なくて……」


「分かったよ」


その日は疲れもあって私は早めに眠った。

朝になり食事をすませて、最後の片付けが終わる頃にノックの音がしたので玄関を開けると、クロードとロバートが立っていた。


「おはようございます」


「おはよう」


「あぁ、おはよう……ちゃんと変化していたな」


「もちろんだよ」


「では、鍵を預かりますね。フィ……アルベルト様もフェリーチェ様もお困りの際は何時でも呼んでくださいね」


「ありがとうございます」


「ありがとう」


「では、馬車に乗ってくれ」


馬車に乗ると直ぐに出発した。

15分位移動すると、大きな屋敷が見えてきた。


「クロードさん、あの建物ですか?」


「あぁ、あれが君たちの新しい家だ」

読んでくれてありがとうございます。

次回、「ファウスト家」です。

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