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目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~   作者: そらのあお
出会い
37/83

ギルド

36話目です。

余計な事を言ってしまったエヴァンがルイスに怒られている中、黙って考え込んでいたクロードがアルに話しかけた。


「フィアフル、君は仕事はどうするんだ?」


「そうだね~取り合えず冒険者でもしようかと思ってるけど」


「冒険者か……」


再び考え込むクロードにオースティンが声をかけた。


「どうしたんだクロード。心配しなくても暫くは俺たちの誰かがついて、冒険者の事を教えるから大丈夫だぞ?」


「あぁ……フィアフル、すまないが冒険者登録は暫く待ってもらえないか?」


「何かあるのかい?ちゃんと力は制御して人間らしくするつもりだけど」


「その辺は心配してないが……フェリーチェがな」


「フェリが何?」


アルが聞き返してもクロードはなかなか口を開かなかった。

周りの者もクロードに注目していた。

そして、クロードは自分の懸念を話し出した。


「まずフェリーチェの魔法やその概念は、はっきり言って異質だ。その子どもらしからぬ言動もな」


「あっ……」


私がうつむいて答えたようとすると、クロードが遮った。


「待てフェリーチェ、最後まで聞いてくれ。君がこれからこの国で生活していけば、いくら君や周りが隠そうとしても、それに気付き利用しようとする者も出てくるだろう。その中には貴族や他にも高い地位の者もいるだろう」


「そんな奴等、僕が赦さないよ」


「確かに貴方ならそうそう負けないだろうが、龍に掟があるように、人間社会には法律があり身分制度がある。どんな理由があっても、庶民が貴族に手を出せば裁かれる」


「そんな事は――」


「‘関係ない’……か?……そんな事をすれば国にはいられないし、そんな事を続ければ人間社会では居場所が無くなる。龍の貴方はいいかもしれないが、フェリーチェは人間だ。フェリーチェの未来を、可能性を潰すのか?」


「それはっ……」


クロードの指摘にアルは言葉を無くし私を見た後、クロードに視線を戻した。


「そんな事は望んでない」


「……今、色々考えてはいるが、まだ提案出来る状態じゃないからな……だから暫く待ってもらえるか?」


「分かったよ」


後日、クロードが連絡する事になり今度こそ解散して、エヴァンたちは仕事に戻り、私たちはオースティンとアンジェラと王宮をあとにした。

ちなみに、今日は家に帰るまで変化したままで行動する事にしている。


「オースティンさん、手紙は郵便屋さんに出すんですか?」


「‘郵便屋さん’って何だ?」


「えっ?手紙を配る場所?」


「何で疑問系なんだ……手紙や荷物は基本、商業ギルドに出すんだ」


「冒険者ギルドとは違うんですか?」


私は前世てゲームなどした事が無くて、よく分からなかったので、ついでとばかりに聞いてみた。


「ギルドは職種によって登録する場所が違うからな。ギルドの特徴も様々で、冒険者ギルドは冒険者の仕事の斡旋や管理、商業ギルドは商売のサポートや管理、魔術師ギルドは魔法の開発や研究のサポートと管理だ。まぁまだ細かい仕事があるが」


「へぇ~そうなんだ。そういえば冒険者って誰でもなれるんですか?」


「犯罪者とかは無理だけどな。登録は10歳から可能だ。フェリーチェは冒険者になりたいのか?」


「まだ分かりませんけど……アルと一緒に冒険してみたいなぁと思って」


「フェリと一緒なら楽しいだろうね」


「フェリーチェは4歳なので後、6年はありますね」


「それまでに鍛えないとな!」


「頑張ります!」


そうこう話している間に商業ギルドに着いたので、建物の中に入ると女の人が声をかけてきた。


「ようこそ!商業ギルドへ。ご用件を伺います」


「トラスト王国に手紙を出したいんだが」


「お手紙ですね。ではこちらに差出人と宛先と受取人の記入をお願いします」


オースティンが女の人から預かった紙を見せながら聞いてきた。


「フェリーチェ、字は書けるか?代筆も出来るが」


「大丈夫です」


「そうか。じゃあ俺たちはあっちにいるから終わったら来てくれ」


そう言って、入り口近くにある長椅子へ歩いて行ってしまった。

私が不思議に思って見ていると、アルが教えてくれた。


「今から手紙を送るのはトラスト王国のチェイスの家か、縁のある場所でしょう?ディアネス共和国のオースティンたちは知らない方がいいと判断したんだよ」


「あっ……そうか」


「ほら、待たせたら悪いから早く出してしまおう」


「うん」


アルに促され、紙に記入していき手紙と一緒に女の人に渡した。


「お預かりしますね。料金は銅貨8枚になります」


「はい、銅貨8枚です」


「はい調度頂きますね。少々お待ちください」


そう言うと手紙と記入した紙を白い箱の中に入れると、箱の横から薄いカードみたいな板が出てきた。


「お待たせしました。こちら‘確認板’になりますのでお持ち帰り下さい」


「「?????」」


{アル……これなに?持って帰ってどうするの?}


{さぁ?でもこの子、当たり前みたいに渡してきたから、聞いたら変に思われるかもね}


{え~……後でオースティンさんに聞いてみようか}


{そうだね}


「ありがとうございました」


念話を終えて、女の人にお礼を言ってオースティンとアンジェラの元に急いだ。


「お待たせしました」


「気にするな。ちゃんと出せたか?」


「はい。あの……聞きたい事があって」


私が言いにくそうにしているのに気付き、外に出て話す事にした。

ギルドから少し離れた場所に移動して、小声で話し出した。


「それで、どうしたんだ?」


「あの~これなんですけど……」


「ん?確認板がどうかしたのか?」


「どうしたというか……これ何に使うんですか?」


「何に使うって……」


「僕もフェリも手紙なんて出した事ないし、ギルドを利用するのも始めてだから分からなくてね」


「あぁ、そういえばそうか」


「確認板というのは、手紙がちゃんと相手に届いたか確認出来る魔道具なんですよ」


「「へぇ~どうやって?」」


「その確認板には荷物の種類、送り主、受取人の情報か入っていて、荷物が受取人に渡ると確認板に配達完了の表示が出るんですよ」


「すごく便利ですね~」


「ちょっと見ない間に変わったね」


「なぁ……もしかしなくてもフェリーチェだけじゃなくて、フィアフルにも常識を教えた方がいいんじゃないか?」


「そうみたいですね」


オースティンが呆れたように言うので、私とアルは顔を見合せて一言。


「「宜しくお願いしま~す」」


「はぁ~」


「クスクス」

読んでくれてありがとうございます。

次回、「対策」です。

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