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目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~   作者: そらのあお
出会い
28/83

散策

27話目です。

教会を見てからは、他に建物は無く畑が広がっていて、ちらほら人の姿が見えた。

のどかな風景に懐かしさを感じ、自然と機嫌も直っていた。


「フェリ、建物が見えてきたよ」


「本当だ!お店の名前なんだっけ?」


「確か……『和み亭』だったかな。宿屋もやってるらしいよ」


「へぇ~楽しみだなぁ」


さすがに初めての街で、道が分からなかったので、人に聞きながら店を探した。

街の中は人族だけでなく、獣人を始めたくさんの種族で溢れていた。

道を尋ねると皆が親切に教えてくれて、さほど時間をかけずに店に辿り着いた。


「此処みたいだね」


「お客さんが一杯だ……空てるかな?」


「とにかく入ってみようか」


アルが入り口に入ると、元気な女の子の声が聞こえた。


「いらっしゃいませ!2名様ですか?」


「はい、席は空いてますか?」


アルが微笑みながら尋ねると、女の子は顔を赤くして固まってしまった。


「あの……大丈夫?」


「ハッ!?大丈夫です!空いてます。こちらにどうぞ!」


女の子は慌てて空いてる席に案内した。


「あの子どうしたんだろうね」


「……………鈍感」


「ん?フェリ、何か言った?」


「何でもないよ!早く座ろう」


アルが席に座ると、女の子がメニュー表と脚の長い椅子を持って来た。


「どうぞ!お連れ様はこちらを使ってくださいね!こちらがメニュー表になりますので、注文が決まりましたら声をかけてください」


「ありがとう」「ありがとうございます」


女の子は頭を下げて、カウンターへと向かった。

子どもの私を見て言われる前に椅子を用意してくれたので、気のきく女の子だと思った。

メニュー表を見たが、私はこの世界の店で食べるのは初めてだし、アルも300年ぶりだったのでどんな料理なのか見当がつかなかった。


「アル……これってどういう料理なのかな?」


「さぁ?今回はお薦めを聞いてみる?」


「そうだね」


「すいませ~ん」


アルが声をかけると、さっきの女の子がやってき来た。


「はい!お決まりですか?」


「実は今日、街に着いたばかりでね。何かお薦めはあるかな?」


「でしたら、オーク肉のステーキと野菜スープのセットが人気がありますよ!1人前、銅貨8枚です」


銅貨8枚というのは日本でいう800円で、

銅貨1枚=100円

銀貨1枚=1000円

金貨1枚=10000円

というかんじだ。


「へぇ~、フェリそれ食べてみる?」


「うん!」


「じゃあそのセットを2人分頼めるかい?」


「はい!お連れ様の分は通常の半分にする事もできますよ?料金も半額です」


「ずいぶん親切だね。それで頼むよ」


店のサービスに感心しながらアルが答えると、女の子は顔を赤くした。


「では、少々お待ちください」


女の子が去ると、これからの予定を相談する事にした。


「食事がすんだらどうしようか?」


「必要な物を買いに行こうよ。着替えもないし、食料と調味料も必要だよね。食器とか調理道具はあったから……それくらいかなぁ」


「服は分かったけど……もしかしてフェリが料理するの?」


「うん。前世でも料理してたから大丈夫だよ」


「そうじゃなくて、フェリは今4歳児の体だから料理は無理じゃないかな」


「あっ!?……そうだった。アルは料理できる?」


「できると思うの?」


私は、アルと旅に出てからの食事を思い出し肩を落とした。


「はぁ~私が大人ならなぁ……外で食べるにしても、いつまでいるか分からないからお金は節約しなきゃ……そうだ!?あの、スキルなら何とかできるかも」


「何か思いついたの?」


ニコニコ笑いながら私を見ていたアルに、思いついた事を話した。


「私ね『変化』のスキル持ってるの。それで、大人になれば料理できないかな?」


「へぇ~人族がそのスキルを持ってるのは珍しいね」


「前にチェイスからコピーしておいたの」



「そうなんだ……チェイス(・・・・)から」


やけにチェイスを強調しながら笑うアルを不思議に思いながらも話を続けようとしたが、できなかった。


「うん!チェイスから…………あっ!?」


血の気が引き青くなっていく私を心配するそぶりもなく、アルが笑いながら見ていた。


「どうしたの?顔が真っ青だよ……フフッ」


「アル……もしかして分かってたの?」


「何が?」


しらを切るアルを問い詰めた。


「さっき歩いてる時、私が何を忘れてるか考えてたら何か言いかけて止めたでしょ!チェイスの事だって分かってたんだよね!」


そう、私が忘れてたのはチェイスに連絡を入れる事だった。


「こういうのは自分で思い出したほうがいいと思って……ごめんね」


「うっ……教えてくれてもいいのに……絶対心配してるよ……怒られる」


「まぁ、それは食事の後にしようよ。来たよ」


アルが指差した方を見ると、女の子が食事をお盆に乗せて歩いて来ていた。


「お待たせしました!こちらオーク肉のステーキと野菜スープです。熱いので気をつけてくださいね」


そう言って女の子は戻って行った。


「取り合えず食べようか」


「……うん」


「「いただきます」」


先ずはステーキを食べようと見ると、子どもの一口サイズに切られていた。

本当に親切な店で感動した。

ステーキは柔らかくクセもないので食べやすかったし、美味しかった。

スープもたくさんの野菜が入り、味も出ていて美味しくて、ニコニコしながら食べる私を先に食べ終わったアルが見ていた。


「「ごちそうさまでした」」



食べ終わり、会計に向かうと恰幅のいいおばさんが立っていた。


「すいません会計をお願いします」


「はいよ!2人で銀貨1枚と銅貨2枚だ……見ない顔だね。旅行かい?」


「そんなとこです。この店は食事も美味しかったし、子どもに対する気遣いもいいですね。また来させてもらいますよ」


「ありがとよ!いつでも来ておくれ!」


「はい。あの、子ども用の服屋はどこにありますか?」


「それなら、ここを出て右に真っ直ぐ行ったところにあるよ。『ルミナ』って店さ」


「ありがとうございます」



おばさんに頭を下げて店を出ると、先ずは服屋を探した。

おばさんに言われたとおり進むと、女の人がアルを見て頬を赤くしたり、ヒソヒソ話していたが本人は気付いていないのかキョロキョロと店を探していた。

私は何だかモヤモヤして、アルの服を握り締めた。


「フェリどうしたの?疲れたかい?」


「……何でもないよ。あっ!あれじゃないかな」


私が指差した店を見ると、看板に『ルミナ』と書かれていた。


「『ルミナ』って書いてあるね。入ってみようか」


店に入ると、たくさんの子ども服が並んでいて、少しだが大人用の服も置いてあった。


「結構あるね。フェリはどんな服がいいの?」


「動きやすいのがいいかな。でも、たくさんあるから迷っちゃうよ」


アルに降ろしてもらい、見て回る事にした。

2人で迷っていると、品のいい初老の男の人がにこやかに話しかけて来た。


「いらっしゃいませ。どのような服をお探しですか?」


どうやら店員さんだったらしい。


「この子の服を何着か欲しいんだけど。本人は動きやすいのがいいみたいで」


「それでしたら……こちらの服はいかがでしょうか?」


そう言って手にしたのは青いワンピースで胸元に白いレースがあしらわれてる。


「この服は軽い素材で作ってますが丈夫ですし、お嬢様の髪は綺麗な銀ですので、色もこのくらいが合うと思いますが」


(お、お嬢様って言われちゃた……)


「へぇ~フェリどうする?」


「えっと……それでお願いします」


「じゃあそれと同じ素材の服で……5着選んでくれる?後、寝間着を3着と服に合わせて靴も頼めるかな」


「畏まりました。そちらの椅子にかけてお待ち下さい」


私たちは案内された椅子に座り待つ事にした。


「アルの服は買わないの?」


「僕は変化で服も変えられるからね。今はフェリのを揃えておこう」


「うん」


しばらくすると、店員さんが選んだ服を持って来たので見てみると、どれも気に入ったので購入する事にした。


「それでは会計は銀貨6枚になります」


「はい、これでいいかな。選んでくれて助かったよ。ありがとう」


「いいえ。またのお越しをお待ちしております」


頭を下げて店を出て、歩き出した。


「すごく丁寧な人だったね。アル、服はアイテムボックスに入れようか?」


「そうだね、お願いするよ」


服をアイテムボックスに収納して、食料を買いに行く事にした。

今度は適当に歩くと、他の店より大きな建物があり見ると、看板に『マライカ商会』と書いてあった。


「アル、ロバートさんのお店だ!大きいね」


「へぇ~どうする?寄ってみる?」


「うん!」


マライカ商会に入ろうとすると、後ろから声をかけられた。


「おや、フィアフル様にフェリーチェ様」


声の方に振り向くと、ロバートが立っていた。


「やぁロバート、今戻ったのかい?」


「えぇ、オースティン殿たちと昼食をとっていたので。お二人はどうしました?」


「食料品と調味料の店を探してたら君の店を見つけたから寄ってみようと思ってね」


「でしたらちょうど良かった。調味料ならうちでも扱っていますし、もしよければ今回の旅で使わなかった食料ももらってください。まだ鮮度も大丈夫ですから」


「それは悪いよ」


「私どもでは消費仕切れませんから是非」


「……じゃあ、ありがたくもらうよ」


「ありがとうございますロバートさん」


「いえいえ、さぁ中にどうぞ」


ロバートに食料を分けてもらい、塩・胡椒そして、醤油や味噌等の調味料も購入出来た。

醤油や味噌は取り扱ってる店が少ないらしいので、マライカ商会を見つけて本当に良かったと思った。

ロバートにお礼をして、私たちは家に向かって歩き……出すことはせず路地に入り転移で帰った。

そして、ついにこの時が来た。


「さて、荷物は僕が整理しておくからフェリは連絡するといいよ」


「……はぁい」


アルに言われ、チェイスに連絡する事にした。


(う~何で忘れるのよ私のバカ!)


{チェっチェイス聞こえますか?……チェイスさ~ん}


話しかけても返事が無く、タイミングが悪かったかな?と思い念話を切ろうとした時、チェイスが答えた。


{お前は今のいままで何してたんだ!!}


やっぱり怒られた。

読んでくれてありがとうございます。

次回、「報告」です。

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