心の闇
とあるボクの話。自分の考えを文字にしたくなったボクの話。
<闇が生まれる>
そう言う人がいるのを聞いて、ボクは首を横に振った。
闇は誰にでも、何処にでも、最初からある物なんだ。きっと感情とか、意識とか、人としての何かが揃う前から何よりも先にある物なんだ。それをうまく押し込めているだけで、気付いた人は気付いたその時から闇に身を委ねてしまう。
何も考えられず、何も持たず、何もできないまま・・・
たぶんボクは、それが人より早かったんだと思う。人間は信じられない・・・頼る物は何もない。誰かといても浮いてしまう。一人の方が楽。騒がしいのが嫌い。何かをしてもつまらない。聞く人からしてみれば、ただの引き籠りの戯言・・・言い訳を作って自分を正当化しようとしている。ただの弱虫。
そんな人間が、時々人に感謝される。
「聞き上手」「なんでも話せる気がする」「話してスッとした」
「誰にも言わないよね」「これは2人の秘密ね」
なんとでも言え。ボクがやってるのは、ボンヤリ話を聞き流して、時々相手の話をオウム返ししているだけだ。人間は簡単だ・・・話しをする人間は話す事に夢中。だから話したワードをたまに拾うだけで、
『この人は話を聞いてくれている』
そう錯覚する。どうでもいい話に頷いて、相手が笑ってる時に笑って見せて、声色が変わる所で共感したような表情をする。相手の顔を見て、相手に合わせて、それでキミは満足するんだから・・・本当に単純だ。別に話を聞いていないわけじゃない。ちゃんと聞いてるし、内容も理解してる。だからって、何を言えばいい?ボクは聞き上手じゃない。何も言えないだけだ。他人の愚痴に付き合って、一緒になって言えばいいのか?
「アイツがムカつく」「あの人が嫌い」
「気持ち悪い」「そう思わない?」
思ってたらなんだ?思ってなかったらどうなんだ?そこで共感したら、ボクはその人の敵になる。否定したら、キミはボクを敵と思う・・・どっちつかず。
「そんなとこもあるね」なんてはぐらかして、話題を変えるのが一番早い。そうやって逃げても、話したい事が話せれば終わる。そうしてまた感謝される。そうしてボクは良い人をやってる。他人からすれば良い人。でもボクは、自分自身が分からない。
誰かに肩入れして仲間のふりをする、虚無
嫌な事を忘れようと楽しいふりをする、抑制
誰かの真似をしてみる、一化
誰も見ないのに想いを文章にしてみる、昇華
自分が嫌いなだけなのに相手のせいにする、投影
嫌いな人におもっきり親しくしてみる、反動形成
相手にされないのは友達が多いからと思い込む、合理化
人が傷つく事は避ける、偽善
人のためと言って頼み事を受け入れる、偽善
思った事を押し込めて相手に委ねる、偽善
助けになるからと自分を売る、偽善
偽善、偽善の塊だ。自分が傷つく事から逃げて、誰かに知ってもらおうとして・・・でも何もできなくて、何も話せなくて。相手を受け入れて、一人で傷ついて・・・その傷さえ隠して・・・誰にも触らせない。だってこの傷は、ボクの物だから。うまく隠して、触れないようにして・・・知られないようにして、全て一人で噛み潰す。そう言う物だ。心の傷っていうのは、言葉では1㎜も伝わらない。伝えられない・・・心が隠してしまうから。震えてしまうのを押さえ込むから。
最近のニュースでよく言ってる
<学校のいじめ問題>
<教師や親は何ができるのか>
<何をするべきなのか>
何もできません。出来るわけがありません。だって子供は話さないから。人間への恐怖心で闇に包まれたから。
子供のいじめは大した事はしない
だから大人は楽観視する。その程度って言う。
例えば、椅子に糊がついてるとか・・・大丈夫、水で取れるよ。
例えば、机に油性マジックで悪口描いたとか・・・大丈夫、机の替えがあるよ。
例えば、ハンカチが盗まれたとか・・・大丈夫、運動場の隅を掘れば見つかるよ。
例えば、ノートに悪口の落書きをされたとか・・・大丈夫、新しく買えば良いんだから。
例えば、筆箱を盗まれたとか・・・大丈夫、知らない通学路の池で発見されるから。
例えば、階段から落とされたとか・・・大丈夫、3段目からだと事故だから。
例えば、親友に死ねって言われたとか・・・大丈夫、一緒に嫌ってた子と仲良くしてろよ。
例えば、家に遊びに来て何か盗んでいくとか・・・大丈夫、キミが捨ててくれるんだよね。
例えば、影で指を指して笑うとか・・・大丈夫、話題が出来て良かったね。
例えば、嘘吐き扱いされるとか・・・大丈夫、大丈夫だよ。
ボクは何も喋ってないから。小さい事ばっかり。たかが子供のいたずら。小さな小さなお遊び・・・でも、心に亀裂が入るには充分すぎる材料。人間不信を作るのはとても簡単。人間への恐怖心を抱かせるのは、とてもとても簡単。
何故なら、自分がされて嫌な事を、全部与えればいい。
痛みも、屈辱も、恐怖も、羞恥も、悲しみも、絶望も・・・全部全部与えればいい。そうしたら、立派な人間不信の出来上がり。与えるのは特に親しい人間が良い。例えば親とかね。絶対の信頼を寄せる理解者が、否定しか返さなかったら・・・どうだ?何にすがる?何に助けを求める?いや、その前に、助けを求めると思う?誰に?どうやって?どんな風に?どうしようもないよね?だから自己破壊になる。
嫌な事は忘れて、自分の価値を確かめたくて、居場所が欲しくて・・・
・・・あぁ違う。
嫌な事に埋もれて、自分の価値が見い出せなくて、居場所がなくて・・・
全てが嘘に思えてしまう。
闇ってすごいよね。どんなに楽しくても、どんなに幸せでも、一瞬で全てが黒く染まるんだ。
友達と楽しくお喋りしました。みんな楽しくて笑顔でした。楽しかったです。
一緒に出掛けました。いろんなとこを回りました。楽しかったです。
・・・ホントにそう思ってるのか?
ボクがいなくなったら悪口を言ってるかもしれない。ホントは気を遣ってくれてたのかもしれない。合わせてもらって自由に出来てなかったかもしれない。ボクがいたから、したい話も出来なかったのかもしれない。ホントは、ボクは、邪魔だったのかもしれない・・・
ボクがこんな感覚を覚えたのは、保育園の時だった。ボクは目立つ子ではなかった。外が嫌いで本を読んでいる子だった。運動が苦手・・・まず太陽光が苦手。汚れるのも嫌い。痛いのも嫌い。うるさいのも嫌い。人に触れるのが汚く感じた。別に潔癖症ではない。自分の部屋は汚いし、動物にはよく触る。ただ、人間が嫌いだった。今でもそうだ。自分を含め4人で限界・・・それ以上は疲れるし、その場にいられない。集団行動がとにかくできない。保育園にも行きたくなかった。隙があれば部屋を抜け出していた。一番高い遊具の頂上に上っていた。
そんなボクに 怒りが芽生えたのは5歳の時。言葉がちゃんと理解できるからかもしれない・・・同じ年の子にバカにされて、思わず殴った。迷わず顔を殴るのもこの頃からだった。ボクは他の男の子より強かった。加減が分からないから・・・そうすると余計に、みんなはボクを避けた。まぁ当然の反応だ。
小学校は半不登校だった。母親が無理やり連れて行った。引き摺られた事も多々ある。小1でランドセルの塗装は剥がれきっていた。元々赤色は嫌いだった。自分で削ぎ落とそうともしていた。
赤色は<女の子>
ボクは自分を男と思って生きていた。10歳まで。周りには男の子しかいなかったし、性別がよく分からなかった。10歳で女と知ったのは、月経の説明があった時。なんでボクはこの話を聞くのか、正直謎だった。謎だったから母親に話した。
「もうそんな時期か」
母親はそんな事を言って納得してた。そこでボクは違うと感じた。そして納得した。母親や親戚が執拗に女の子の物を与える事に・・・スカートを履かせたがる事に・・・ボクを「かわいい」と言いたがる事に・・・不思議だった事が理解できて、やっと謎が解けて、でも謎がまた生まれた。大きくて理解できない謎・・・
なんで女なの?
その前に
ボクは何なの?
ボクをボクだと決める物は何なのか・・・ふと考えると全てが恐ろしくなる。名前は親が付けた・・・でも違う名前を名乗るのは簡単。親が生んだ姿・・・でも整形すればいくらでも変わる。生まれ持った性格・・・取り繕うなんて誰でもしてる。口調なんか時と場合で全く違う物に変化する。髪なんか色も長さも量も変わる。声だって意図的に高くも低くもできる。今までの思い出や記憶・・・思い込みでしかないただの妄想。他人からの認識・・・ボクを知らなければ認識なんてできない。
たまに考えるんだ。ボクがボクだと証明できるのは、ボク自身だけ。そのボクが、
もし 自分 を 否定 したら ?
記憶喪失ってそういう状況なんだろうなと思う。自分が誰か分からない。相手が誰か分からない・・・他人の話が信じられない・・・自分の事に思えない。
ボクはいつもそんな気がしている
褒められても、怒られても、アナタらしいと言われても、何の事か分からない。ボクらしいってなんだ?どれだ?ボクの何を知ってる?ボクの人生の1/100も知らないくせに?昨日今日の付き合いのくせに?分かったような顔してボクを見るな・・・
でも、何も言わないでおく。
言ったところで何も変わらないから・・・変わるわけがないから・・・
実は、ボクはとっくに死んでいて、みんなが嘘をついている。そんな事をよく考える。
過去に3回ほど死にかけた。実はどこかで死んでいて、生きているように勘違いしてるんじゃないかと。もしくは、この世界自体が嘘なんじゃないかと・・・いつか全てが終わって、地球は存在しなかった・・・とか。実は人間も飼育されているんじゃないか・・・とか、どうしようもない事を考えたりする。記憶なんてあてにならない。特に遠い過去の事は。ボクはある1年分の記憶がごっそりと抜けた事がある。今はじわじわ戻ってるが、それも真実とは言えない。記憶はデータと同じで 何度でも書き換えが出来る。都合の良い様に変えられる。だから、何も信じられない。人の言葉は信じられない。
じゃあ どうやって ボクを知る ?
答えは決まっている。
<分からない>
ボクがボクである事も、今存在している事も、友人の話も、親の話しも、周囲の話しも、全部信じられない。でも、何も言わない。虚無感を抱えて、不信感で人を睨んで、自分さえも疑わしい。よく分からない。ボクはとてもめんどくさい・・・信じられない。でも信じたい。よく分からない・・・めんどくさい・・・でも理解したい・・・ボクは人間が嫌いだ。殺したいほどに。だけどボクは人間が好きだ。それこそ、殺したいほどに。群がるのは嫌いだ。でも、独りは嫌いだ。話すのが苦手だ。でも、誰かに話したい。
寂しい 悲しい 空しい 苦しい
愛されたい 愛したい 傍に居てほしい 離れないでほしい
ボクを 独りにしないで
いつもこんなことで悩んでる。人を求めていろいろしてみる。ネットで遊んでるのも、その一環だった。顔が見えない相手・・・でも話は出来た。楽しかった。共通の話題で盛り上がって、一緒に夜中まで過ごした。何人も集まって遊んでた。誰かなんて知らないけど、楽しかった。
でも なんで みんないなくなる ?
長くて半年くらいの付き合いだった。2年間で4回、ごっそり友達が入れ替わった。友人の友人といざこざ・・・そんなの知らない。派閥でのいざこざ・・・知らない。ペアの片方と仲良くして嫉妬された・・・知るか。ボクの相方の存在否定・・・うるさいな。
俺の知った事か。勝手にごたごたしてるだけじゃねぇか。俺を巻き込むな。俺が何をした。勝手に妄想してろ。くそ・・・
楽しい事がしたかっただけなのに・・・楽しくいたかったのに・・・面白いから好きだったのに・・・好きだったのに・・・裏切られた感覚。飛火で被害を被って、どっちについても悪者扱い。
言いたい事があるなら言えよ。ハッキリ言えばいいだろうが・・・こそこそしやがって、ゴキブリかハエか?クソにたかってご満悦かよ。だから人間なんか嫌い。信じられるか。
ちょっとだけこういうの漏らすと、たまたま拾う人がいる。
「話せば楽になる」「私は味方だ」
嘘付け。偽善者。良い顔して結局は他の人間と一緒だろうが。偽善者。
そういえば、あるSNSで書き込みがあって、フォローしてた人が何か探ってるようだった。
「大丈夫なの?」
「今まで何かされた?」
「警察とか相談しないの?」
「心配してるんだよ」
誰かの書き込みへの反応らしい・・・嫌気が差した。偽善者だ。心配してるとか言いながら、ただ傷を抉ってるだけじゃないか。察しろよ・・・人に相談してないんだったら、出来ない理由があるんだろうが。最終的にフォロー切る宣言してるし・・・だったら突っ込むなよ。傷口広げたのお前だろ。ツラい想い蒸し返させといて、広げるだけ広げて、それでさよなら・・・何様だよ。
「それを聞いてキミに何ができる?何のつもりでその話を聞いている?
具体的に助ける手段もないのに話だけ聞いて傷抉って、何がしたい?
優しいって思われたいのか?救われたって言われたいのか?
それは優しさじゃなくて嫌がらせじゃないのか?お前は良いかもしれない
それを言われた相手は?どう感じてると思う?
特に責任もとれないのに口挟むなよ」
なんて乱入しようとして、やめた。相手の子を庇うとしたら偽善・・・この子を諭すとしても偽善。相手の子がどんな話をしたのかも知らない。この子がどう思っていたかも知らない。でも 「心配してる」 って・・・この言葉が、なんだか軽く見えた。言うだけなら誰にでも出来る。
そう、何でもできる。
でも出来ない事もある。ネット上だからこそ、証拠がない。嘘に対しての証拠が、何の役にも立たない・・・提示できない。だから 「信じられない」 そう言われても仕方がない。むしろボクも同じ事を言う。
信じられない。信じることが出来ない。信じる何かがない。何にもない。
真っ暗なんだ、いつも・・・楽しそうな人を見ながら、その空間との距離を感じて・・・
入れない世界に嫉妬して、入らない弱さに苛立って、自分を見失って、また闇に埋もれていく。
これはボクの話。
とある精神病を発症し、症状に悩みながら生きたフリをしてる話。
他の誰も語れない、ボクの話。これはごく一部。
人にどう見えるだろうか
怒りか、悲しみか、寂しさか・・・
独りよがりの文章か・・・自意識過剰な文章か・・・
なんでもいい。
読んだキミが1㎜でも、ボクに興味を持ったら・・・
それでいい気がする。
ボクは統合失調症と解離性人格障害とトランスジェンダーを抱える患者です。幼い頃の発症なので、今も悩みしかない生活を送ってます。本文の内容は本当にごく一部の経験と感じた内容です。精神科患者について、ボクについて、どんな人間かを表出したくなった気まぐれのものです。読んでいただいてありがとうございました。