表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

6話

鑑定スキルが手に入った俺は、初心者の館に向かうのを止め、とある場所へと足を進めた。








「すいませーん。」


「はい、いらっしゃい…って、なんだ、さっきの兄ちゃんじゃないか。どうしたんだ?」


「実は、自分で武器を作ってみたくて…、誰か鍛冶屋さんを紹介してもらえないかと思いまして。」


「お?兄ちゃん鍛冶に興味あるのか?」


「まぁ、鍛冶だけでなくできれば色んなことが経験できたらと…。」



そう、鑑定スキルを持っていることを他人に知られないようにするには、別のスキルを覚えればいいのだ。

これならもし大勢の人の前で不意に武器を鑑定してしまっても、鍛冶スキルを持っているってことにすれば問題はない。

フッ、我ながらナイスアイデア!


「色々か…、それならうってつけの人がいるが…。 ん~、ただなぁ…。」


何となくおっちゃんの歯切れが悪いので聞いてみる。


「ただ?変わった人なんですか?」


「変わってるっていえば変わってるが………、まぁ兄ちゃんなら大丈夫かな? よし!じゃあその人に連絡とるから待っててくれ。」


何となく不安を感じるが、こちらからお願いした手前断れず、おっちゃんはその人と連絡を取る為店の奥に行ってしまった。





しばらくして、おっちゃんが帰ってきた。


「おう、すまんすまん。どうやら今忙しいみたいでな。悪いがその人の家の場所を教えるから自分で行ってくれないか?」


そしておっちゃんは簡単な地図を書いてくれた。




おっちゃんに礼を言い、その鍛冶屋さん?へ向かう。


「兄ちゃんが行くことは向うには伝えてあるから、武器屋のジョージから連絡した者だって言えば分かるからな。気を付けていって来いよ。」


そう言っておっちゃんは見送ってくれた。

本当おっちゃん、ええ人や~。











その建物は大通りには面しておらず、細い道の奥にあった。しかし見えないだけで決して小さい建物ではないと感じた。屋根には大きな煙突が立っており、モクモクをはきだしている。意を決して開けた扉の先。そこにいたのは、











何やら液体の入った試験官と睨めっこしている、幼女だった。





「ん?誰だあんたは?」


幼女が俺に気づきそう問いかけてくる。


「え!? あ! えっと、さ、さっき、ジョージさんから連絡してもらった者です。」


「あぁ、あんたが。ほれ、そんなところに突っ立てないでさっさと入れ。」


幼女にそう言われ俺は建物の中に入るが、頭の中はパニックになっていた。



(え?幼女?何で?というより鍛冶屋じゃないの?何で試験管?いやその前に幼女が試験管?いやわけわかんねー!!!)



「ほら、ぼさっとしてないで手伝え。とりあえずそこの棚のすり鉢を取っておくれ。」


「あ、は、はい…。」



頭の中が混乱したまま、幼女の言う通り手伝いをする。道具を取って渡したり、鍋の液体を瓶に移したり、散らかったところの掃除をしたり…。

どうやら幼女はポーション?を作っているようだ。


…俺武器屋のおっちゃんにちゃんと『鍛冶屋』を紹介してって言ったよな…?

何でポーション作る手伝いしてるんだろう?


まぁ、ポーションや薬草の鑑定ができる調薬スキルも必要ではあったけど…。




そうこうしていると、どうやら幼女も一段落着いたようだ。


「ふぅ、ようやく片付いたよ。さて、そういえばあんたの名前を聞いてなかったね。」


そう言われて答える。


「俺はレインって言います。…あの、ちょっと聞いても良いですか?」


「ん?なんだい?」


「俺、ジョージさんに鍛冶をしてみたいから知ってる人紹介してもらえないか聞いてみたんですが…。」


「ん?そうなのかい? ……聞いたのはそれだけかい?他に何か言わなかったかい?」


「えーと、そういえば、鍛冶だけじゃなくて色んなことをしてみたいって話したような…。」


「なるほど、それでかい。私も連絡があったときには忙しかったからね。私の手伝いをさせてやってほしいやつがいるって話しか聞いてなかったんだよ。」


なるほど、それで鍛冶に関係ない手伝いばかりさせられてたんだな。

そう一人で納得していると幼女はさらに話を進めてきた。


「じゃあまずは私の事から話さないといけないね。私の名前はルージュ・エクラ。ルーと呼んでくれ。」


ルーさんはそう言った。名前の通り、真っ赤で宝石のように綺麗な目をしている。


「こんななりだがあんたらの十倍以上は生きてるよ。で、昔から色んなものを作るのが趣味であちこち手を出してね、今してた調薬や勿論鍛冶なんかも一通りはできるつもりだ。」



まさかのロリバb…ゲフンゲフン。

しかしなるほど、ジョージさんが紹介してくれたわけが分かった。ルーさんなら鍛冶だけじゃなくて色んなことを教えてもらえるだろう。


「そうですか。俺も物を作るのが好きなので、これからここでお手伝いさせてもらってもいいですか?」


俺が尋ねるとルーさんは頷きながら答えた。


「勿論さ。私も一人じゃしんどいことが多くてね。よろしく頼むよ。」



こうして俺は、ルーさんのところで物作りの手伝いをさせてもらうことになった。



「ただ、今日はもう手伝ってもらってすることは済んだし、一旦帰って明日また来な。」


そう言われて時計を見ると時刻はもう夜になっていた。

初のログインだったし、確かにそろそろログアウトした方が良いかもしれない。

俺はルーさんに挨拶をして家を出た。





MMORPGはゲームによって、ログイン・ログアウトの仕様が違うが、ALOは基本的に戦闘中以外ならどこでもログアウトできるようになっている。そしてログアウトした場所に次回ログインすることになる。

その為、町の外でログアウトした場合にはログインしたら魔物に囲まれていたり、他のプレイヤーが戦闘中だったりする可能性もあるし、街中でログアウトしたとしてもログインしたときに丁度その場に別の人がいたり、屋台を出してたりする場合もある。なので基本ログアウトは、プライベートスペース(宿屋の個室や個人又はパーティーで家や建物を買ったり借りたりしたときにできる他人から干渉されない空間)で行うことを推奨されている。プライベートスペース以外でログイン・ログアウトした時に生じる問題は自己責任で。ということだ。



俺はひとまず宿を探すことにした。

といっても、実は昼間におっちゃんの武器屋の近くに宿屋があるのを見つけていたから、そこに行って部屋が空いてるか確認するだけだが。


早速向かった宿屋は運よく部屋が開いており、そこで今日はログアウトすることにした。



さて、明日からはルーさんのところで手伝いだな。

何かなし崩し的に生産職の道に行ってるけど…、まぁ特に何するかは決めてなかったわけだし、流れに任せて楽しむとしよう。ルーさんも生産職のレベル高そうだし。

よーし、こうなったら一流の生産職になってやるぜい!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ