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5話

「せっかくだからね、これはサービスだよ。今度は買い物しにおいでね。」


「は、はい…。あ、ありがとうございます…。」


アクセサリー屋のお姉さんから簡素な指輪を一つ貰った俺は、顔を引きつらせながらそう答えた。



店を出て、1人大きなため息をつく。

ん?なんで冒頭からこんなにテンション低いかって?

そりゃあだって…ねぇ?

まぁ、まずは今の俺の状況から見てもらおうか。



プレイヤー名 レイン


ステータス

 力     10

 体力    10

 素早さ   10

 器用さ   10

 魔力    10

 賢さ    11

 精神力   10

 運     10


装備

 銅製のナイフ

 布製の服

 布製のズボン

 皮の帽子

 古びた靴

 簡素な指輪

 マジックポーチ

 剥ぎ取り用ナイフ


アイテム 

 スモールポーション×3

 携帯食×2

お金

 1000Gold




…何か色々増えてることにお気づきだろうか?


まず、武器屋のおっちゃんのところで銅製のナイフをもらった後、初心者の館を目指して歩いていた俺は、今度は防具屋らしき店のおばちゃんから話しかけられた。武器屋と同じような流れで店に入り、盾や鎧や兜などが並べてある店の中を見ていると、また気が付けば相当時間を使っていた。おっちゃんと同じようにおばちゃんもサービスだと言って皮の帽子をくれた。まぁ、くれるというのだから有り難くいただくのだが、俺ってこんなに周りが見えなくなるほど集中するような人間だったっけ?

そんなことを考えつつ歩いていると、今度は窓が開いたカウンタータイプの店でポーションが売られているのを見つけた。並んでいるものを見ると主にはポーションが置いてあり、数が少ないながらも毒消し薬や生活に必要な蝋燭や石鹸なども売っていた。おそらく雑貨屋で、今日は俺たちみたいなプレイヤーがくるとわかってたからポーションを多めにおいてあるんだろうな。そう思いつつ商品を見る。そして気が付くと店主は苦笑い、時間も…。だがここでもサービスでスモールポーションを貰えた。もしかしたらお金が無くて買えない可哀想な人に見られたのかもしれない。

ちなみに、ポーションの種類は効果が低い方からスモールポーション、ミドルポーション、ラージポーションとなっており、それぞれ略してSポーション、ポーション、Lポーションと呼ばれている。ミドルポーションがMポーションと呼ばれない理由は、一番普及しているポーションがミドルポーションで、わざわざMを付けるのが面倒くさいからだそうだ。又、Sポーションがポーションに比べて割と効果が低く、家に常備する絆創膏ぐらいの扱いの為、ミドルポーションが基本のポーションという認識も強い為というのも理由の一つだそう。

ポーションを貰った俺は、「何かおかしい、もう店により道はしない!」と心に決めて歩くが、途中お弁当屋さん?みたいな店 (外から作ってるところが見える作りの店)が視界に入り、気が付けば手には携帯食、時間は過ぎ去り、店の人の少し憐れんだ眼…。

逃げるように店を去り、少し心に傷を負った俺に話しかけてきたのはアジアンチックな色気のあるお姉さん。傷心の俺はお姉さんに話しかけられたことで浮かれ、一緒にお姉さんの経営している店へ。そこはアクセサリー屋さんで、お姉さんが全て作っているとのこと。店の中を見せてもらい、そして武器屋や防具屋と同じ流れで冒頭へ戻るというわけだ。




「はぁ、くそぅ集中スキルめ…。」


ここまで来ると何となくわかる。この周りが見えなくなるほどの集中力。おそらくこれは【集中】スキルが関係しているのだろう。


「色々貰えたのはいいが、これじゃ時間泥棒じゃないか。」


1人愚痴ってみるが、実際は各店で色んなものを見れたし、そのおかげか賢さが1上がってるし、まぁいいかとも思えなくもない。が、時間の経過を気づけないぐらいになってしまうのはどうなんだろう。せめてオン・オフ機能でもあれば………ん??


ふと視界の端に簡易メニューが映った。わざわざ大きなメニュー画面を開かなくても、現在の時間が見れたり、スキルのレベルアップなど何か変化があれば!マーク等で教えてくれたりするやつだ。

その簡易メニューに!マークが点滅している。メニュー画面を開きログを確認してみる。



スキル【集中】がレベルアップしました

スキル【集中】がレベルアップしました

スキル【集中】がレベルアップしました

スキル【集中】がレベルアップしました

スキル【集中】がレベルアップしました

これまでの行動によりスキル【鑑定】を習得しました




…なにやらレベルアップしているようだ。まぁあれだけ集中していたわけだからレベルが上がっていて何もおかしくないんだが。

で、新しく手に入ったスキルだが…。


 【鑑定】


 様々な物を鑑定できる

  アイテムの詳しい情報が分かる

  スキルレベルが上がれば情報がより詳しくなる

  人や魔物には使用できない



これは相当やばいスキルでは…?


実はこのALOでは、始めて見る武具やアイテム等は、基本的に情報が詳しく表示されない仕様になっている。

例えば銅製の剣。普通の人にはこれだけしか表示されない。



【銅製の剣】


 銅で作られた剣




これでは剣の能力がまるで分らない。ではどうすれば分かるようになるのか。

実は、これが最初から分かるのは生産スキルを持っている人だけである。具体的に言うならば、鍛冶スキルを持っており剣を作れる人ならば、剣の能力、詳しい情報を知ることができる (鍛冶スキルの持つ能力の一つとして、鍛冶スキルにて作られたものの詳細が分かる。というのがある為)。又、使われるのが鉱石ということもあり、発掘スキルを持っていても多少分かるらしい。同じく調薬スキル等を持っていれば摘んだ草が薬草かどうかも分かるし、料理スキル等を持っていれば料理を食べたときの特殊効果がわかったりする。


ではそういったスキルを持っていなければ一切見ることができないのかと言われれば、そういうわけではない。これらの品は完成時に、情報を公開するかどうか選択肢が出る。公開するを選べば誰でもアイテムの情報を見ることができるようになるが、公開しないを選択すると、関係スキルを持っていないと情報を見ることができない。但し、情報公開しないアイテムを店に並べる等があれば信用問題に関わるので、店売りのアイテムはほぼ全て情報公開になっている。情報公開してない品は精々作った本人が自分で使う用の物ぐらいだろう。


そしてもう一つ。アイテムの詳細は情報を共有することができる。

ダンジョンや魔物のドロップで入手したアイテムは基本、詳細が非公開状態になっており上記のスキル持ち出なければすぐさま詳細はわからないが、彼らが情報共有を選択すると、指定した人にその情報をすぐさま教えることができる。又、この情報共有は一部だけ隠したり等のズルはできない。そして、一度その情報を知る事が出来たアイテムは、それ以降そのプレイヤーにとってはずっと公開状態となる。その為、wikiでは何か一つ生産系スキルをサブ取ることを推奨していた。それぞれが違う生産系スキルを持った人たちでパーティーを組めば、その場でどんなアイテムか分かる可能性が高くなるからだ。


さらに、このシステムを利用した『鑑定屋』なる店もあるらしい。

どんなアイテムでも鑑定できるが、そこそこ鑑定料を取るそうだ。

β版でプレイヤーが店主に【鑑定】なるスキルを使用しているという情報だけは聞き出せたが、β版終了までにプレイヤーたちが【鑑定】スキルを手に入れることはできなかったそうだ。



もし俺がその鑑定スキルを持っているというのがほかのプレイヤー達に知れたら、きっと入手方法を教えてくれって人が押しかけてくるだろう。

もし情報を流すにしても、俺自身はっきりとした入手方法が分かっているわけではないし、十中八九集中スキルが絡んでくるだろう。ならばその情報を人に教えたところで、集中や鑑定が簡単に手に入るかもわからないし、そのせいでやれチートだだの、やれ嘘つきだの言われるのも嫌だし。

よし、とりあえず鑑定スキルを持っていることはしばらく秘密にしよう。


しかし、このALOには多くのプレイヤーがいるから何かの拍子にばれる可能性もありそうだし…、どうしたもんかな…。



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