3 end
「なぁ、彼方。今日、お墓行ってみないか?」
え?お墓って。大翔さんと彼方さんの?
「うん、いってみたい。」
悠真が、手を横にふると白い光が現れる。これは、とくもと家に言わば、古くから伝わる空間移動の術なのだ。二人で肩を並べて入ってく。空気のなかは、暖かくて包んでくれるような布団みたい。やっと、解放されて、着いたところはなんと。お花畑があって、そこには、大翔さんと彼方さんの絵が大きく飾ってあったのだ。そして、この空の空気。私は、悠真に話しかけた。
「ねえ、悠真。何でこんなにきれいなの。お墓なのに。」
「その方が、いいだろ?怖いお墓より、きれいなお墓のほうが、気持ちいいしな。この花畑、これな彼方さんが、作っていた花なんだ。死ぬ前からずっと。」
そうなんだ。そんな、いとおしそうに言わないでよー 。でも、こんなにきれいなお墓初めて見た。ましてや、お墓って、お花持っていくものだよね?でも、こんなに、咲いてるなら持って来なくていいかなー。うそうそ、持って来なきゃ行けないよね。
(彼方。)
ふいに声がした。透けとおった声。誰だろう?って思い見てみると…。
(彼方さん…。)
そうだ。私には何がなんだか。だって私にそっくりで、それでいて声も一緒だったから。
(彼方、私はね。あなたたちにね、願いをかなえてほしいなんて思ってもない。ただ、そういうことが過去にあったことを知ってほしかっただけなの。あなたたちが偶然、両方が好きだって言うなら話しは違うけど。彼方、あなた悠真さんが好きなんでしょ。悠真さんだってくれるはず。 )
そういって、彼方さんは消えた。横を見てみると、悠真がこっちを見ていたのだ。
「まさか、今の話聞いてた?」
「あっ、ああ。」
「悠真、私ね悠真のことが好き。断られてもいい。ただこの気持ちだけは。」
がさ。てに持っていたものが落ちた。なぜかって?
キスをされたから。
「そんなんは、女が言うもんじゃねーよ。俺も好きだよ、彼方のことが。」
といって、今度は長いキス。甘く切ない、恋が今、心の花と一緒に咲き乱れた。
心の花がいつか皆さんにも、咲き乱れますように。