びっくり
Twitterでのちょっとした出来事ことから書くことになった競作作品です。お題は『びっくり』ということで、それをテーマにした作品になってます。いつも私が書いているものとは少し違った色の作品になっていますが、こちらもよろしくお願いいたします。
ゆらゆらゆられて、僕はどこかへ連れていかれる。
知らない人達。小さな男の子と、女の子。それと大きな男の人と女の人。親子なのかな?
みんないきなり笑うから、僕はびっくりしちゃうよ。
怖いなぁ。どこに行くんだろう。
びくん。今度は急に男の子が僕の足を握ってきた。
身体をいきなり触られると、びっくりしちゃうよ。
僕が体を丸めると、ぺたぺたぺた。男の子と女の子が身体を触ってくる。怖いなぁ。
あれ?ゆらゆらが止まったよ?
そしたら、今度は女の子が僕をぎゅって抱きしめるの。
わー、びっくりした。なになに?僕は何をされちゃうの?
きょろきょろ、僕が周りを見渡していると、目の前の大きな扉が開いたよ。
女の子がぴょん、と僕を抱いたまま乗ってきた大きな箱の乗り物から飛び降りると、お外は真っ暗。
僕は抱かれたまま、おっきなお家に連れていかれた。
女の子が僕を降ろすと、灰色の地面が冷たくてびっくりしちゃった。そんな僕を見て、男の子が笑って何かを言っている。
ここはどこだろう?。周りも真っ暗で怖いよう。
え?え?何するの?おっきな男の人が僕の首に何かを付けちゃった。
苦しいよ。それに、このながーいヒモも邪魔だし。
そしたら、男の人がヒモを太い柱にむすんでお家の中に入っちゃった。
女の子たちも、僕に手を振ってお家の中に入っちゃう。
一人ぼっちになっちゃったね。
うわぁ、すごくびっくりしちゃった。がさ、って遠くの草むらで音が聞こえたよ。
怖いよ、みんなお家の中で何してるの?僕も入りたいよ。
結局、あの後も寝れなかったから疲れたよ。
お腹も減ったな、喉も乾いた。
お空は太陽さんがぎらぎら輝いてて眩しいや。
あ、みんなが起きてきたみたい。お家の中から声が聞こえたよ。
ドアががらっと開いたら、男の子が走って僕のところへやってきた。
わわ、いきなり持ち上げられたらびっくりしちゃうよ。
少しはなれたけど、やっぱりまだ怖いよぉ。
あれ?男の子はヒモを持って、なにをするんだろう?
ねぇ、お腹減ったよ。お水は?
あれれ?どこ行くの?引っ張らないで。
でも男の子の力はとっても強くて、僕は引っ張られてずるずるずる。
あちち、この地面熱いよ。しかもかたくて足が痛いや。
それでもしかたなく男の子についていくけど、沢山の知らないものが一杯で怖いなぁ。
途中で何度も、僕の仲間に怒鳴られてびっくりしちゃった。もう帰りたいよ。
でも、男の子はまだ僕と遊びたいみたい。
ここはどこだろう?たくさんの人がいるよ。
わわ、急に走らないで、首が締まって苦しいよ。そんなに急いでどこに行くの?
あ、男の子は友達のところに行きたかったみたい。
たくさんの小さな男の子が僕を囲んでる。ちょっと怖いなぁ。
わぁ!?誰か今僕のお尻を触ったの?僕が見てない時にいきなり触られると、びっくりしちゃうよ。
みんなに触られて疲れたけど、どうやらやっと帰れるみたい。
お腹もすいたし、喉も乾いたよ。
あ、女の子が僕のごはんを用意してくれてるみたい。
うーん、でもいつも食べてたごはんと味が違うし、温かいお水も一緒じゃないから、かたくてなんだか食べにくいなぁ。
頑張って食べたけど、毎日このご飯は嫌だなぁ。お水も出してくれたけど、すっごく冷たくて驚いちゃった。あんまり冷たいと、お腹が冷えちゃうよ。
また、お外が真っ暗になったよ。
今日も一人ぼっちなのかな?それは嫌だなぁ。
あ、女の子が僕の頭を撫でてくれた。えへへ、嬉しいな。
もっとなでて、ねぇ、もっとなでて。
僕が喜ぶと、みんなも嬉しいみたい。みんな笑顔で、楽しそう。
あれ?やったぁ、今日はお家に入れてくれるみたいだね。よかったぁ。
たくさんの怖いやびっくりがあったけど、この人たちは悪い人じゃないみたい。
これからずっと、この人たちと一緒なのかな?
だったら、もっともっと大きくなって、今度はあの子達をびっくりさせちゃおう。
よーし、頑張るぞ!