追放されたからジャガイモ育ててポテチ作ろう〜隣のニート男とジャガイモを育てて餌付けしたら、王子妃になりました〜
名前を借りました
フィクションです
私は転生したらしい。
オシリス王太子という婚約者がいたが、婚約破棄された。
聖女イシスをいじめたとして、キルヒホッフ国を国外追放になったのだ。
だから、隣のドルーデ国へ行った。
両親からこっそり逃亡資金をもらい、迅速にドルーデ国へ行き、祖国とは最も遠い辺境へ行った。
先に行っていた執事が、入国の手続きがスムーズにいくように手配したり、家を借りていてくれた。執事は、すぐに祖国へと帰った。
引っ越しが終わり、やっと落ち着いた。
隣に家があるが、ひっそりとしている。
隣といっても1キロくらいは離れているが。
挨拶に行かなきゃかなぁ?
ま、いっか。
私は、日がな1日、読書した。
他に何もする事もない。
庭をぼんやり眺める。
ポテチ食べたいなぁ…
ぼんやり考えていたが、やる事無いし、ジャガイモ育ててポテチ作ろう!
庭を耕す事にした。荒れ放題の庭だ。
最初に、草や石を取り除く。
鍬で、土を20〜30cm掘り起こす。
言うだけなら簡単だが。
貴族令嬢は、体力無いから大変。
すぐに筋肉痛になった。
数日後。
知らない男が、声を掛けてきた。
家の敷地の周りには、垣根しかない。
垣根越しに話し掛ける男。
「何してるの?」
男が言った。
「畑を作ってるの」
私は、手を動かしながら言った。
「畑?」
「ジャガイモ畑よ」
「した事あるの?」
「無いわ」
「無謀だね」
からかうように言う男。分かっとるわい。
「ジャガイモが食べたいのよ」
「手伝おっか?」
そこでしばらく考えた。
「…貴方、誰?」
「今頃?」
男は呆れたように言った。
「誰?」
「隣に住んでる」
男は隣の家を指差した。
隣といっても、1キロくらいは離れているが。
「お隣さん?」
「そう」
「隣に引っ越してきたハトホルです。よろしく」
「こちらこそよろしくアモンだよ…じゃなくて!」
ノリツッコミか。高等だな。
「何?」
「中々進んでないから、可哀想だなって思って」
痛い所を突いてきた。
「見てたの?」
「見てた」
見てたんかい。
「面白そうだから、手伝わせて」
「面白そう?」
「面白そう」
「勝手にすれば」
「勝手にする」
自由な男である。身なりは平民だが、貴族っぽい気品がある。
肥料を混ぜる。
平らにしてから、畝を作る。
どうにか畑ができた。
素人だしなあ…大丈夫かなぁ?
ジャガイモを買いに行く。
本も読んだし。
農家の人に育て方のコツを教えてもらったし。
「ジャガイモを買うの?」
アモンが言った。
「ここに窪みがあるでしょ?ここから芽が出るの」
ジャガイモを見せながら言う。
「え!?そうなの?」
「そうよ」
買ったのは10個である。
「何で少ししか買わないの?」
「失敗したら困るから、少しだけ試しに育てるの。慣れたらもっと育てるわ」
「なるほど〜」
毎日世話する。水やりや、雑草を取る。
「手間がかかるんだなぁ」
男が雑草を抜きながら言った。
「収穫までどのくらいかかるの?」
「90日から120日くらいですね」
「えっ!そんなに?」
貴族は、どれだけ手間が掛かっているかなんて知らないよね。
私は、小学校の理科の授業で育てただけだけど。
「いつ芽が出るかなぁ?」
毎日見に来るつもりか?
まぁ、毎日来ているが。
本当に暇なんだな。
「あっ芽が出た!」
「早く大きくならないかなぁ…」
アモンは、まるで子どものようだ。
「大きくなってきた」
「え?つぼみ?」
「花が咲いた!」
アモンは毎日、何かしら感動している。
「いつ収穫できるの?」
アモンが言った。
「葉や茎が、7割以上黄色くなったり、茎が倒れてきたらです」
「まだ緑だなぁ…」
「あっ黄色くなってきた」
今日も楽しそうなアモン。
「これ、下はどうなってるのかなぁ?」
興味津々で、子どもみたい。
「小さいジャガイモができてますよ」
「そうなの?」
「例えばリンゴは、実はできてるけど小さかったり、緑だったりしますね」
「うん」
「段々実が大きくなり、赤くなりますね」
「うん」
「見えないだけで、同じような事がおこってるんですよ」
「そうなんだ…不思議だなぁ…」
見えないからね。
「随分黄色くなってきたな」
「もう少しですね」
「ほとんど黄色くなってきた」
アモンがワクワクしながら言った。
「晴れた日に収穫ですよ」
「晴れた日?」
「土が湿っていると、ジャガイモが腐りやすくなってしまうんです」
「そうなんだ」
茎が倒れている株があった。
「試しに1株、抜いてみましょうか」
「1株だけ?」
「あまり早く収穫すると、毒成分が多く含まれてしまうんです。1株抜いて、大きさを確認しましょう」
「うん」
ワクワクしているアモン。
「やってみますか?」
私が言うと
「良いの?」
アモンは嬉しそうに言った。
「はい。根元をしっかり持って、引っ張ってください」
「うん」
がんばって引っこ抜くアモン。
「わっ!」
ジャガイモが見えた。
「あら、良い感じですね」
「本当にジャガイモがある!」
アモンは引っこ抜いたジャガイモを持ち上げ、しげしげと観察する。
「1個だけじゃないんだ…」
半日くらい土の上で乾かす。
「種芋として何個か残して、また植えましょう」
「植えて良いの?」
「ジャガイモは、春と秋に植えられます」
「じゃあまた育てられるの?」
「はい」
「やったぁ~」
そんなに楽しかったのか?
しばらくはしゃいだあと。
「どうやって食べるんだ?」
「まずは、じゃがバターでしょう」
「じゃがばたー?」
次の日。
「今日はポテサラです」
「ぽてさら?」
次の日。
「ポテチ作りましょう」
「ぽてち?」
次の日。
「ねぇ…あのさ…」
どうした?今日は元気無いな?
「はい?」
「まだジャガイモ、植えない?」
叱られそうな子どもみたいな顔をしている。何かあったのか?
「そうですね…もう少し先です」
「…俺…家に帰る事になって」
「家?」
「後継者争いから避難してきてたんだけど」
「そうなんですね」
品の良さから、貴族じゃないかと思っていた。
「一緒に来てほしい」
「え?」
「うちの庭でまた、ハトホルと一緒にジャガイモを育てたい」
なんですと〜!?
「でも…」
「俺の事嫌い?」
捨てられた子犬みたいな顔をするアモン。
あざとい。
「私…婚約破棄されて…聖女をいじめたと国外追放されたんです」
「え!?」
意味が分からないだろう?私も意味が分からない。
「私がいたら、ご迷惑を掛けてしまいます」
「婚約破棄はともかく、聖女をいじめたの?」
きちんと話を聞くアモン。
「いいえ」
「いじめてないの?」
「はい」
「それなのに何で国外追放に?」
「王太子は聖女と婚約したがってましたから、私が邪魔になったのでしょう」
「は?」
意味が分からないだろう?私も意味が分からない。
「王太子…婚約者の王太子は聖女と浮気していて、私を蔑んでいたので、婚約破棄は嬉しいんです。万が一、よりを戻そうと言われるのが嫌なので、ここに隠れ住んでいました」
「そうだったんだ…未練はないの?」
「無いです」
「無いんだ…」
ハッキリと言った私に、むしろ戸惑っていた。
「むしろ、王太子をもらってくれてありがとうと思ってます」
「本当に…?」
「浮気者は何度も浮気するって言いますし」
「確かに」
アモンは、しばらく考えた。
「じゃあ、やっぱりうちに来なよ。よりを戻そうと言って来た時に、守ってあげられるよ」
「王太子が来ても、ですか?」
「王太子が来ても、だよ」
まさか…王子…?
私はじっとりとアモンを睨む。
「あっ警戒してる?」
イタズラが成功したような顔をするアモン。
「俺は、またお前と一緒にジャガイモを育てたいし、一緒に収穫して、一緒にジャガイモを食べたい」
「…」
「また…ぽてち作ってよ」
「気に入ったんですか?」
「気に入った」
ドヤ顔をするアモン。さいですか。
隣のニート男アモンの実家に行った。
一度で良いから家族に会ってほしい…移住は、それから考えれば良いから…と言われたから仕方なく…
馬車に乗せられた。
揺られること1日。
「ここが俺の家」
「お城じゃない!」
ドルーデ国の王城だった。
応接室に連れて行かれた。
国王の私的な応接室らしい。
「父と兄だ」
聞いてないよ〜!
「ようこそ我がドルーデ国へ」
「弟が、お世話になったみたいだね」
国王と王太子らしい。聞いてないよ〜!(再)
「…恐れ多いです…」
「緊張してる?」
からかってくるアモン。
無言の私を見て笑う。
「ははっ…」
「お前…王子だと言ってないのか?」
王太子が呆れたように言った。
「言ってない」
ドヤ顔をするアモン。
「驚いただろう?弟がすまない」
「いえ…」
優しい父と兄だなぁ…
「俺は第2王子で、俺を傀儡にしたい奴らが寄って来て嫌だった。だから、辺境でひっそりと暮らしていた。5年間」
なるほど。
「5年も行方不明の王子を、さすがに王太子にはできないからね」
そうだね。
「その間に兄上が、きっちり基盤を整えてくれ、王太子として確立したから、帰ってこいって」
王太子に呼び戻されたのか。
「つまらない毎日だったけど…ある日、隣に誰かが住みだした」
私ですか?
「お前は、いつも楽しそうだった。何が楽しいのか興味が出て…声を掛けた」
いきなり来たものね。
「お前とジャガイモを育てるのは楽しかった。だからまた一緒に育てたい」
「ポテチが食べたいんでしょ」
「それもあるけど」
それ以外にもあるの?
「俺の心と胃袋を掴んだんだ…責任取って」
アモンは私の髪を一房取り、口付けた。
「俺の事、嫌いじゃないでしょ」
「すごい自信ね」
「まさか…すごく緊張している」
「信じられない」
そんなこんなでアモン王子と婚約した。
そんな事など知らない祖国の夜会に、ドルーデ国王が招待された。
元婚約者のオシリス王子と聖女イシスの婚約披露パーティーだ。
私がいなくなってすぐに婚約すると思っていたが、今頃か。
王太子と婚約者、アモン王子と私が国王代理で参加する事になった。
夜会当日。豪奢な王城の大広間で、ドヤ顔をしている元婚約者に挨拶に行った。
婚約者ですと紹介された私を見て、ギョッとするオシリス王子とイシスの2人。
「そいつは聖女をいじめたんだ!」
オシリス王子、指を差すな。
「あ、それ嘘です」
私はアッサリ言った。
「は?」
「私は未来の王子妃として王家の影がついていました」
「は?」
「王家の影が監視していたので、聖女をいじめていないと確認されています」
私の言葉を疑ってかかるオシリス王子。
「聖女が嘘をついていると?」
「嘘をついています」
私が言うと
「違うわ!」
聖女が叫んだ。
「国王もご存知です」
「「は?」」
オシリス王子とイシスがきょとんとした。
「国王は、私が無実なのもご存知だし、私が無事に国外へ行けるように、護衛をつけてくれたり、隣国に入国できるように手続きしてくださいました」
「は!?」
「私が国を出てから貴方達は何をしていましたか?」
「何だと?」
オシリス王子が睨みつけてきた。
「お茶会や夜会を開いて…聖女としての務めはどうしましたか?」
「か…関係ないでしょ!」
聖女は慌てた。サボってたもんね。
「私が追放されて半年以上経ちましたが、いまだお2人は婚約したまま、結婚式をするのを許されていませんね。何故かお考えですか?」
「は?」
「オシリス王子の王位継承権を剥奪し、弟王子が王太子となります」
「は?」
「今日は、オシリス王子の婚約披露パーティー兼国境の騎士団入団祝いのパーティーですよ」
「国境…騎士団?」
知らなかったのかオシリス王子。時代についてこい。
「国境で国の為にがんばってくださいね!」
「何を勝手な事を!」
オシリス王子が叫んだが、国王が口を開いた。
「王命の婚約を勝手に破棄したのだ。
お前を王太子としていたが、頭が足りない。お前は王には向いていない」
「そんな!」
愕然とするオシリス王子。
「騎士として国の為に働け愚か者」
「聖女も国境の騎士団で務めを果たせ」
王子と聖女は、がっくりと膝をついた。
ドルーデ国に帰り、ジャガイモを育てる。
「やっぱ、こうしてるのが1番楽しい」
王子らしくない発言だ。
「厨房にジャガイモあるからさ、ぽてち作ってよ。料理長にも作り方を教えて」
我儘王子め。
…でも、フライドポテトも食べたいなぁ…
私がポテチを作ると思っていた我儘王子は、フライドポテトを作った私を見て、驚いていた。
ふふっ…
次は、アイスでも作って、ポテチやフライドポテトをつけて食べようかな。
また驚かせよう。隣のニート…じゃなかった。アモン王子を。
覚えていますか?
某アニメでは、オープニング曲でコロッケの作り方を歌っていたのを…
よし、明日はコロッケを作ろう。
ハトホルの夢は膨らむのだった。
考え事をしながらニヤニヤしているハトホルを見て、可愛いなぁ…と思うアモンなのでした〜
読んでいただきありがとうございます




