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追放されたからジャガイモ育ててポテチ作ろう〜隣のニート男とジャガイモを育てて餌付けしたら、王子妃になりました〜

作者: 井上さん
掲載日:2026/10/11

名前を借りました


フィクションです

 私は転生したらしい。



オシリス王太子という婚約者がいたが、婚約破棄された。

聖女イシスをいじめたとして、キルヒホッフ国を国外追放になったのだ。




 だから、隣のドルーデ国へ行った。


両親からこっそり逃亡資金をもらい、迅速にドルーデ国へ行き、祖国とは最も遠い辺境へ行った。


 先に行っていた執事が、入国の手続きがスムーズにいくように手配したり、家を借りていてくれた。執事は、すぐに祖国へと帰った。


引っ越しが終わり、やっと落ち着いた。



 隣に家があるが、ひっそりとしている。

隣といっても1キロくらいは離れているが。


挨拶に行かなきゃかなぁ?

ま、いっか。


私は、日がな1日、読書した。




 他に何もする事もない。


庭をぼんやり眺める。




 ポテチ食べたいなぁ…




ぼんやり考えていたが、やる事無いし、ジャガイモ育ててポテチ作ろう!




 庭を耕す事にした。荒れ放題の庭だ。



最初に、草や石を取り除く。

鍬で、土を20〜30cm掘り起こす。



言うだけなら簡単だが。


貴族令嬢は、体力無いから大変。

すぐに筋肉痛になった。




 数日後。

知らない男が、声を掛けてきた。

家の敷地の周りには、垣根しかない。


垣根越しに話し掛ける男。


「何してるの?」


 男が言った。


「畑を作ってるの」


 私は、手を動かしながら言った。


「畑?」


「ジャガイモ畑よ」


「した事あるの?」


「無いわ」


「無謀だね」


 からかうように言う男。分かっとるわい。


「ジャガイモが食べたいのよ」


「手伝おっか?」


 そこでしばらく考えた。


「…貴方、誰?」


「今頃?」


 男は呆れたように言った。


「誰?」


「隣に住んでる」


 男は隣の家を指差した。

隣といっても、1キロくらいは離れているが。


「お隣さん?」


「そう」


「隣に引っ越してきたハトホルです。よろしく」


「こちらこそよろしくアモンだよ…じゃなくて!」


 ノリツッコミか。高等だな。


「何?」


「中々進んでないから、可哀想だなって思って」


 痛い所を突いてきた。


「見てたの?」


「見てた」


 見てたんかい。


「面白そうだから、手伝わせて」


「面白そう?」


「面白そう」


「勝手にすれば」


「勝手にする」


 自由な男である。身なりは平民だが、貴族っぽい気品がある。






 肥料を混ぜる。


平らにしてから、畝を作る。




 どうにか畑ができた。



素人だしなあ…大丈夫かなぁ?



ジャガイモを買いに行く。



本も読んだし。

農家の人に育て方のコツを教えてもらったし。



「ジャガイモを買うの?」


 アモンが言った。


「ここに窪みがあるでしょ?ここから芽が出るの」


 ジャガイモを見せながら言う。


「え!?そうなの?」


「そうよ」


 買ったのは10個である。


「何で少ししか買わないの?」


「失敗したら困るから、少しだけ試しに育てるの。慣れたらもっと育てるわ」


「なるほど〜」






 毎日世話する。水やりや、雑草を取る。


「手間がかかるんだなぁ」


 男が雑草を抜きながら言った。


「収穫までどのくらいかかるの?」


「90日から120日くらいですね」


「えっ!そんなに?」


 貴族は、どれだけ手間が掛かっているかなんて知らないよね。


私は、小学校の理科の授業で育てただけだけど。





「いつ芽が出るかなぁ?」


 毎日見に来るつもりか?

まぁ、毎日来ているが。


本当に暇なんだな。




「あっ芽が出た!」


「早く大きくならないかなぁ…」


 アモンは、まるで子どものようだ。




「大きくなってきた」




「え?つぼみ?」




「花が咲いた!」


 アモンは毎日、何かしら感動している。




「いつ収穫できるの?」


 アモンが言った。


「葉や茎が、7割以上黄色くなったり、茎が倒れてきたらです」


「まだ緑だなぁ…」





「あっ黄色くなってきた」


 今日も楽しそうなアモン。


「これ、下はどうなってるのかなぁ?」


 興味津々で、子どもみたい。


「小さいジャガイモができてますよ」


「そうなの?」


「例えばリンゴは、実はできてるけど小さかったり、緑だったりしますね」


「うん」


「段々実が大きくなり、赤くなりますね」


「うん」


「見えないだけで、同じような事がおこってるんですよ」


「そうなんだ…不思議だなぁ…」


 見えないからね。




「随分黄色くなってきたな」


「もう少しですね」




「ほとんど黄色くなってきた」


 アモンがワクワクしながら言った。


「晴れた日に収穫ですよ」


「晴れた日?」


「土が湿っていると、ジャガイモが腐りやすくなってしまうんです」


「そうなんだ」




 茎が倒れている株があった。


「試しに1株、抜いてみましょうか」


「1株だけ?」


「あまり早く収穫すると、毒成分が多く含まれてしまうんです。1株抜いて、大きさを確認しましょう」


「うん」


 ワクワクしているアモン。


「やってみますか?」


 私が言うと


「良いの?」


 アモンは嬉しそうに言った。


「はい。根元をしっかり持って、引っ張ってください」


「うん」


 がんばって引っこ抜くアモン。


「わっ!」


 ジャガイモが見えた。


「あら、良い感じですね」


「本当にジャガイモがある!」


 アモンは引っこ抜いたジャガイモを持ち上げ、しげしげと観察する。


「1個だけじゃないんだ…」




 半日くらい土の上で乾かす。




「種芋として何個か残して、また植えましょう」


「植えて良いの?」


「ジャガイモは、春と秋に植えられます」


「じゃあまた育てられるの?」


「はい」


「やったぁ~」


 そんなに楽しかったのか?


しばらくはしゃいだあと。


「どうやって食べるんだ?」


「まずは、じゃがバターでしょう」


「じゃがばたー?」






 次の日。


「今日はポテサラです」


「ぽてさら?」






 次の日。


「ポテチ作りましょう」


「ぽてち?」






 次の日。


「ねぇ…あのさ…」


 どうした?今日は元気無いな?


「はい?」


「まだジャガイモ、植えない?」


 叱られそうな子どもみたいな顔をしている。何かあったのか?


「そうですね…もう少し先です」


「…俺…家に帰る事になって」


「家?」


「後継者争いから避難してきてたんだけど」


「そうなんですね」


 品の良さから、貴族じゃないかと思っていた。


「一緒に来てほしい」


「え?」


「うちの庭でまた、ハトホルと一緒にジャガイモを育てたい」


 なんですと〜!?


「でも…」


「俺の事嫌い?」


 捨てられた子犬みたいな顔をするアモン。

あざとい。


「私…婚約破棄されて…聖女をいじめたと国外追放されたんです」


「え!?」


 意味が分からないだろう?私も意味が分からない。


「私がいたら、ご迷惑を掛けてしまいます」


「婚約破棄はともかく、聖女をいじめたの?」


 きちんと話を聞くアモン。


「いいえ」


「いじめてないの?」


「はい」


「それなのに何で国外追放に?」


「王太子は聖女と婚約したがってましたから、私が邪魔になったのでしょう」


「は?」


 意味が分からないだろう?私も意味が分からない。


「王太子…婚約者の王太子は聖女と浮気していて、私を蔑んでいたので、婚約破棄は嬉しいんです。万が一、よりを戻そうと言われるのが嫌なので、ここに隠れ住んでいました」


「そうだったんだ…未練はないの?」


「無いです」


「無いんだ…」


 ハッキリと言った私に、むしろ戸惑っていた。


「むしろ、王太子をもらってくれてありがとうと思ってます」


「本当に…?」


「浮気者は何度も浮気するって言いますし」


「確かに」


 アモンは、しばらく考えた。


「じゃあ、やっぱりうちに来なよ。よりを戻そうと言って来た時に、守ってあげられるよ」


「王太子が来ても、ですか?」


「王太子が来ても、だよ」


 まさか…王子…?


私はじっとりとアモンを睨む。


「あっ警戒してる?」


 イタズラが成功したような顔をするアモン。


「俺は、またお前と一緒にジャガイモを育てたいし、一緒に収穫して、一緒にジャガイモを食べたい」


「…」


「また…ぽてち作ってよ」


「気に入ったんですか?」


「気に入った」


 ドヤ顔をするアモン。さいですか。






隣のニート男アモンの実家に行った。


一度で良いから家族に会ってほしい…移住は、それから考えれば良いから…と言われたから仕方なく…


馬車に乗せられた。

揺られること1日。


「ここが俺の家」


「お城じゃない!」


 ドルーデ国の王城だった。


応接室に連れて行かれた。

国王の私的な応接室らしい。


「父と兄だ」


 聞いてないよ〜!


「ようこそ我がドルーデ国へ」


「弟が、お世話になったみたいだね」


 国王と王太子らしい。聞いてないよ〜!(再)


「…恐れ多いです…」


「緊張してる?」


 からかってくるアモン。

無言の私を見て笑う。


「ははっ…」


「お前…王子だと言ってないのか?」


 王太子が呆れたように言った。


「言ってない」


 ドヤ顔をするアモン。


「驚いただろう?弟がすまない」


「いえ…」


 優しい父と兄だなぁ…






「俺は第2王子で、俺を傀儡にしたい奴らが寄って来て嫌だった。だから、辺境でひっそりと暮らしていた。5年間」


 なるほど。


「5年も行方不明の王子を、さすがに王太子にはできないからね」


 そうだね。


「その間に兄上が、きっちり基盤を整えてくれ、王太子として確立したから、帰ってこいって」


 王太子に呼び戻されたのか。


「つまらない毎日だったけど…ある日、隣に誰かが住みだした」


 私ですか?


「お前は、いつも楽しそうだった。何が楽しいのか興味が出て…声を掛けた」


 いきなり来たものね。


「お前とジャガイモを育てるのは楽しかった。だからまた一緒に育てたい」


「ポテチが食べたいんでしょ」


「それもあるけど」


 それ以外にもあるの?


「俺の心と胃袋を掴んだんだ…責任取って」


 アモンは私の髪を一房取り、口付けた。


「俺の事、嫌いじゃないでしょ」


「すごい自信ね」


「まさか…すごく緊張している」


「信じられない」





 そんなこんなでアモン王子と婚約した。





そんな事など知らない祖国の夜会に、ドルーデ国王が招待された。

元婚約者のオシリス王子と聖女イシスの婚約披露パーティーだ。


私がいなくなってすぐに婚約すると思っていたが、今頃か。


 王太子と婚約者、アモン王子と私が国王代理で参加する事になった。





 夜会当日。豪奢な王城の大広間で、ドヤ顔をしている元婚約者に挨拶に行った。


婚約者ですと紹介された私を見て、ギョッとするオシリス王子とイシスの2人。


「そいつは聖女をいじめたんだ!」


 オシリス王子、指を差すな。


「あ、それ嘘です」


 私はアッサリ言った。


「は?」


「私は未来の王子妃として王家の影がついていました」


「は?」


「王家の影が監視していたので、聖女をいじめていないと確認されています」


 私の言葉を疑ってかかるオシリス王子。


「聖女が嘘をついていると?」


「嘘をついています」


 私が言うと


「違うわ!」


 聖女が叫んだ。


「国王もご存知です」


「「は?」」


 オシリス王子とイシスがきょとんとした。


「国王は、私が無実なのもご存知だし、私が無事に国外へ行けるように、護衛をつけてくれたり、隣国に入国できるように手続きしてくださいました」


「は!?」


「私が国を出てから貴方達は何をしていましたか?」


「何だと?」


 オシリス王子が睨みつけてきた。


「お茶会や夜会を開いて…聖女としての務めはどうしましたか?」


「か…関係ないでしょ!」


 聖女は慌てた。サボってたもんね。


「私が追放されて半年以上経ちましたが、いまだお2人は婚約したまま、結婚式をするのを許されていませんね。何故かお考えですか?」


「は?」


「オシリス王子の王位継承権を剥奪し、弟王子が王太子となります」


「は?」


「今日は、オシリス王子の婚約披露パーティー兼国境の騎士団入団祝いのパーティーですよ」


「国境…騎士団?」


 知らなかったのかオシリス王子。時代についてこい。


「国境で国の為にがんばってくださいね!」


「何を勝手な事を!」


 オシリス王子が叫んだが、国王が口を開いた。


「王命の婚約を勝手に破棄したのだ。

お前を王太子としていたが、頭が足りない。お前は王には向いていない」


「そんな!」


 愕然とするオシリス王子。


「騎士として国の為に働け愚か者」


「聖女も国境の騎士団で務めを果たせ」


 王子と聖女は、がっくりと膝をついた。






ドルーデ国に帰り、ジャガイモを育てる。


「やっぱ、こうしてるのが1番楽しい」


 王子らしくない発言だ。


「厨房にジャガイモあるからさ、ぽてち作ってよ。料理長にも作り方を教えて」


 我儘王子め。




…でも、フライドポテトも食べたいなぁ…




 私がポテチを作ると思っていた我儘王子は、フライドポテトを作った私を見て、驚いていた。



ふふっ…



 次は、アイスでも作って、ポテチやフライドポテトをつけて食べようかな。


 また驚かせよう。隣のニート…じゃなかった。アモン王子を。






 覚えていますか?

某アニメでは、オープニング曲でコロッケの作り方を歌っていたのを…



よし、明日はコロッケを作ろう。


ハトホルの夢は膨らむのだった。




 考え事をしながらニヤニヤしているハトホルを見て、可愛いなぁ…と思うアモンなのでした〜

読んでいただきありがとうございます

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とりあえず、コロッケ作るんだろ? 最後、歌でツッコまれる野菜があるけど、用意した?
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